不正検定問題検討19――レザノフ来航

今回19回目は、欠陥箇所241番の件である。今回も、『教科書抹殺』が取り上げた100件について検討することとする。241番は、240番と同じく、単元49【欧米諸国の日本接近】(156~157頁)の以下の記述に付けられた指摘である。

1804(文化元)年にはレザノフが派遣されて幕府に通商を求めました。幕府が鎖国を理由に拒否すると、彼らは樺太や択捉島にある日本人の居留地を襲撃し日本人を殺傷しました。  156頁

 これに対して、「生徒が誤解するおそれのある表現である。(幕府の通商拒否と日本人居留地襲撃との時間的関係)」との指摘がされ、欠陥箇所とされた。幕府がレザノフによる通商要求を拒否したこととロシアによる居留地襲撃には因果関係はないという立場から、欠陥箇所とされたのである。

育鵬社と山川出版も因果関係を認めるが、意見が付かず

 しかし、調べてみると、他社の教科書の中にも、全く同一の論旨で記すものがあった。育鵬社と山川出版の二社である。他社の中にはレザノフを書かない教科書もあるし、レザノフは書くけれども襲撃のことは書かない教科書もある。対して、この二社は、自由社と同じく、レザノフも襲撃も記している。以下の通りである。

・育鵬社140頁
  1804(文化元)年には、ロシア使節レザノフが長崎に来航し、ふたたび通商を求めましたが、幕府は応じませんでした。そのため、ロシア船が樺太や択捉島に攻撃を加えてきました。

・山川140頁
 ロシアは1804(文化元)年、使節レザノフを長崎に派遣したが、幕府は新たな通商は認められないとして、交渉を打ち切った。これに対し、レザノフの部下が樺太(サハリン)や択捉島を襲撃する事件が起こった。

 育鵬社も山川出版も、自由社と同じく、明確に、通商拒否と襲撃を結び付けて記しており、因果関係を認めている。にもかかわらず、二社には検定意見が付かず、自由社だけが問題にされ、欠陥箇所とされたのである。

 なお、この241番の件も、『教科書抹殺』でも検討されている。お読みいただきたい。また、月刊HANADA2020年12月号の藤岡信勝「〈他社は合格、自由社なら不合格〉の「ダブスタ」検定」も、この241番の件を扱っている。


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