全面削除された〈捕虜資格について知っておこう〉

 検定合格した『新しい公民教科書』の85頁を開いてみていただきたい。自衛隊機などの写真が6枚も掲載されているが、そのうち4枚はもともとは存在していなかった。その4枚分の箇所には、〈捕虜資格について知っておこう〉という文章が掲載されていた。この文章に検定意見80番が付き全面削除されたので、白い空白にすることも考えたがそうもいかず、写真で埋めることにした部分である。



 捕虜資格について知っておこう  

  いかに平和主義を掲げようとも、外国の軍隊がわが国土に侵入してくることが起こりえる。
 
  そのような場合、第9条をどのように解釈しようが、私たち国民は、領域内に侵入した外国軍隊に抵抗して戦うことができる。しかし、戦う場合 には、戦時国際法 (国際人道法)を守って戦わなければならない。戦時国際法は、戦争から不必要 な殺傷 (民間人や捕虜の殺傷)や建物等の破壊を減らし、残酷なできごとを減らす目的でじょじょに形成されてきたルールである。
 
 戦時国際法の中で私たちが真っ先に知っておくべきルールは、不必要又は残酷な殺傷を防ぐために、正当な戦闘員の資格を定め、資格をみたしている者だけが戦闘を行い捕虜になる権利をもつということである。捕虜の資格を得られる正当な戦闘員の要件は、以下の4つである。

1、指揮官を選任すること(指揮官要件)
2、戦闘員と認識できる特殊の標章を付けること(制服要件)
3、公然と武器を携帯すること
4、交戦法規を遵守すること  

 このうち絶対に守らなければならない要件は、 特に公然と武器を携帯して戦うことである。仮に、外国軍に侵入された場合、必ず、戦う日本国民も出てくるであろう。だが、4要件どころか、 3番目の絶対最低要件さえも守らず、武器を隠し持って戦う人も出てくるかもしれない。戦う意志 のない普通の民間人のふりをしながら、武器を隠し持って外国軍を攻撃した場合は、捕虜資格も得られないし、不法の戦闘、テロ行為を行ったものとして処刑されてしまうことになる。そのような不法な行為をする国民が一部にいれば、他の国民 もすべて疑わしいとして大量虐殺されてしまうかもしれない。  

 だからこそ、わが国も批准している捕虜条約 (ジュネーブ第三条約)は、軍隊教育と国民教育で捕虜資格などについて教えることを要求している。



 現在の日本人の感覚からすれば、保守系の人であっても、こんなことを載せるなんてと思うかもしれない。だが、捕虜資格を教えない日本の国民教育こそ極端なのだ。傍線部にあるように、国民教育で捕虜資格などを教えることは、条約上の義務である。それを日本は全く守っていない。私が上記文章を書きこんだのは、条約を守っていない日本の現状を変えようと思ってのことなのだ。

 ところが、削除されしまった。現在の日本人の感覚からすれば当然のことかもしれないが、国際標準からすれば、削除した方がとんでもないことなのだ。

 ただし、私が上記文章を書いた動機としては次のこともある。例えば尖閣有事が考えられる現状において、いくら平和主義を唱えようが外国に侵攻されてしまうこともあり得る。その場合に大虐殺の口実を侵略軍に与えてはならないし、口実を与えないためには交戦者資格即ち捕虜資格を国民が知っておいたうえで対応する必要があるという考えからである。

 ともあれ、今後、たとえば公民教育が捕虜資格を教えるようにならないと、日本の生き残りは難しいであろう。いろいろな点で、国民思想の大転換が求められているのである。
 

 転載自由
 
 







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