愛国心・愛郷心・公共の精神を唯一展開した―――『新しい公民教科書』の記述(2)

  平成十八(二〇〇六)年十二月、保守派の教育再生運動の結果、教育基本法が改正された。その第二条は、[教育の目標]を掲げ、「公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと」(第三号)、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する……態度を養うこと」(第五号)規定した。明確に、公共の精神、愛郷心、愛国心の育成ということが、教育の目標として設定されたのである。

  『新しい公民教科書』は、この教育基本法改正の趣旨に従い、公共の精神、愛国心、愛郷心をテーマとして設定し、詳しく展開した。他社の記述にも当然に愛国心などが記載されるものと信じていたが、全くそうはなっていない。見事に他社は、改正教基法を無視してのけたことに注目されたい。

  以下に、愛国心と愛郷心について記した 『新しい公民教科書』の記述を掲げておきたい。

   
  単元11「家族愛・愛郷心から愛国心へ」

  「愛郷心から愛国心へ」の小見出しの下、

  国民にとって最も大きな社会である国家は、共同社会の性質ももっています。自分が生まれ育った祖国を大切に思う心を愛国心といいます。オリンピックで日本の選手が活躍したときなどうれしくなるのは、愛国心の自然な表れといえるでしょう。

  自分を愛する気持ち(自己愛)を、家族や友人も同じようにもっていると気がついたとき、自己愛は他者への愛に広がります。さらに地域社会、郷土、美しい自然環境などの公的なものへと拡大して、愛国心は形成されていきます。故郷をいとおしく思う愛郷心(郷土愛)、そして愛国心は自然な感情として芽ばえ、育っていくものです。

  経済的および社会的地位、人種や信条などのちがいがあっても、同じ国家に属するという共通の意識から、国民は一体感をもつことができます。そして、先人が懸命に伝えてきた伝統・文化や連綿と続く歴史に対する理解が深まると、国家や社会の発展に努力していこうとする気持ちが自然と養われていきます。
 

 「愛国心と国際社会」の小見出し下、

  世界のどの国も、国民は祖国を大切に思い、よりよい社会を実現するために努力してきました。自国を愛せない者は他国を尊重することはできない、といわれます。なぜなら、外国の人々も、私たちと同様に自分の国に深い愛着の感情をもっているということを理解して初めて、共感をもって他国を尊重できるからです。愛国心は他国に対する憎悪や蔑視しと結びつくものではありません。愛国心は、国際社会の平和と発展に貢献しようとする精神の土台をなすものです。

  「愛国心と社会」の小見出し下、

   愛国心は国を愛する心です。自分の国の文化と伝統、さらに歴史、国民、社会、自然環境などを大切にする気持ちが愛国心の基礎になります。そこから、その国に生まれ、育ったことを誇りに思う気持ちもわいてきます。そして社会をより良くしようとする気持ちが一人ひとりの心のなかで強くなります。それによって社会をより良くしようとする努力が生まれ、より良い社会がつくられ、良い国になっていきます。

  国を愛することはこれから生まれてくる子孫を守ることにもつながっていきます。私たちは、祖先の残したすぐれた伝統や文化を現代に継承しつつ、未来をみつめて次の世代に伝え、そして国家・社会のさらなる発展に貢献しなければなりません。  
  
                                    (32~33頁)




"愛国心・愛郷心・公共の精神を唯一展開した―――『新しい公民教科書』の記述(2)" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント