不正検定問題の検討3――「ペリー神奈川上陸図」

 3回目は、『教科書抹殺』の事例18、欠陥箇所番号249番の件である。『新しい歴史教科書』は、159頁上欄に、ペリーが1854(嘉永7)年1月に神奈川(横浜)に上陸したときの様子を描いた絵画の写真を掲載した。この絵画は多くの教科書が掲載しているものであるが、自由社は「ペリー神奈川上陸図」という名称を付けて掲載した。だが、これに対して、「不正確である」との指摘があった。絵画の正式名称を書け、という要求である。だが、この絵画は文化史で扱われるようなものではなく、正式名称を生徒が覚える必要のないものである。

 では、各社はこの絵画をどのように扱っているだろうか。三タイプ存在する。第一はこの絵画を掲載していないものである。日本文教出版と帝国書院である。
 第二のタイプは、絵画の正式名称を記すものであり、東京書籍と教育出版である。
 ・東京書籍162頁……ペリーの上陸(ハイネ筆 ペリー提督横浜上陸の図 神奈川県 横浜開港資料館蔵) 
・教育出版160頁……横浜に上陸したペリーの一行(『ペリー提督神奈川上陸図』東京国立博物館蔵) 


 第三のタイプは、絵画の正式名称ではなく、絵画が現わす内容に合った名称を付けているものである。育鵬社、山川出版、学び舎と三社も存在する。自由社を入れれば四社となり、一番の多数派である。以下の通りである。

・育鵬社171頁 ペリー神奈川上陸図 (東京国立博物館蔵) 
・山川154頁 黒船来航図
 山川166頁……黒船の来航 神奈川県 横浜開港資料館蔵
・学び舎151頁……横浜に上陸するペリー(横浜開港資料館蔵)

   
三社は正式名称を記していないにもかかわらず、これに対しては何の意見も付いていない。育鵬社にあっては、「ペリー神奈川上陸図」という全く同一のタイトルを付けているにもかかわらず、何の意見も付かなかったのである。東京国立博物館蔵のものの正式名称は「ペリー提督神奈川上陸図」というものであり、正式名称でないのは育鵬社も自由社と同様である。

坂本龍馬の件と同じく、何社も同様の書き方をしていたにもかかわらず、文科省は自由社だけを槍玉にあげ、欠陥箇所としたのである。何という差別的扱いであろうか。〈法の下の平等〉を完全に無視した違法検定ではないか。

   転載自由 
 


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