「本訴訟に至る経過」転載--教科書の乗っ取りにとりあえず成功した育鵬社と八木氏 転載歓迎

   今回は、声明文とともに発表された「本訴訟に至る経過」を掲げることにする。今回も小見出ししを私なりに付している。邪魔な方は、小見出しを無視して読まれたい。

  まず、(3)に注目されたい。八木氏や育鵬社らは、年表問題の際、自由社に教科書から撤退しろとまで言っておながら、コラムは違うが単元本文には著作権はないと主張した。、単元本文に著作権がないなら、年表には更に著作権はないことになろう。言葉に責任を持たない彼等には本当にあきれるばかりである。

  今回の判決までの一連の経過を見ると、扶桑社・育鵬社と八木秀次氏等の連合勢力は、「つくる会」の乗っ取りには失敗したが、教科書の乗っ取りにはとりあえず成功したことになる。八木氏について行った人たちは、文化史を書いていた一人を除けば、『新しい歴史教科書』の執筆をしていなかった人ばかりである。

  自分たちには書く力も情熱もなかったから、八木氏らの陳述によれば、彼らは、中学校教員に他社の教科書を参考にして全部執筆させた。他社の教科書の中心は言うまでもなく『新しい歴史教科書』である。つまり、『新しい歴史教科書』を基にしてリライトさせて、育鵬社の『新しい日本の歴史』を作成したのである。リライトしても盗作とは言えないほどに文章を換骨奪胎したものもあるけれども、ほとんどコピーしたのではないかと思われる箇所さえもある。我々は、それらのうち酷似している47箇所を盗作認定して告発した。47箇所の分量は単元本文全体の3分の1にも上る。その中には、1頁を優に超える箇所も存在する。しかし、そのコピーした部分も含めて著作権侵害ではないとされたのである。1頁を越えて酷似した文章が著作権侵害ではないとされたケースは、ほとんど例がない。少なくとも歴史関係の記述については、例がない。

 要するに、他人が書いた文章の3分の1ほどもの分量を盗んだ教科書が合法とされたのである。つまり、扶桑社・育鵬社・八木氏らは、見事、とりあえず、教科書の乗っ取りに成功したのである。そして、更に、日本社会の著作権制度破壊に手を貸したのである。それが今回判決の意味するところである。


                ―――――――――――――― 


               本訴訟に至る経過

(1)一方的に「つくる会」との関係を解消した扶桑社(育鵬社) 

 「新しい歴史教科書をつくる会」は、(株)扶桑社から平成18年度使用開始の『改訂版 新しい歴史教科書』を発行し、原告・藤岡はその代表執筆者であった。しかるに、扶桑社は、平成18年秋頃から、「つくる会」の趣意書に基づいて書かれたその教科書が、「右寄りすぎて採択がとれない」との理由で、会との関係の解消を求めていた。そして、平成19年2月には、最終的に「つくる会」の教科書は発行しないとの通告をしてきた。同社は、100パーセント出資の子会社として新たに(株)育鵬社を設立し、「つくる会」を脱会した八木秀次氏を中心とする日本教育再生機構のグループに執筆させることとした。

(2)にもかかわらず、「つくる会」が書いた文章を流用した育鵬社

  平成23年3月、中学校の教科書検定結果が発表され、育鵬社が新たに制作した『新しい日本の歴史』が検定に合格した。ところが、その内容は、47箇所にわたって原告の執筆した文章と類似し、盗作と言わざるを得ない内容であった。「つくる会」は育鵬社と執筆者によるこの盗作の事実を、検定発表後すぐにつかんでいたが、これを公表すると教科書採択に大きな影響を及ぼす恐れがあることを配慮して、採択期間中は一切公表しなかった。

(3)年表問題に際し教科書事業から撤退しろと言った八木秀次氏

  他方、同時期に、「つくる会」が推進する自由社の『新しい歴史教科書』の年表が、編集過程の手違いで他の教科書会社が発行した旧版の教科書の年表を大部分流用してしまったという事実が判明した。これは使用開始までに年表を新たに作り直すことで、実害を与えずに解決した。しかるに八木氏は、採択期間中に地方議員主催の公的な会合の場に自由社の年表問題を持ち出し、朝日新聞の記事を振りかざして、「この教科書を発行する自由社は教科書発行の資格はなく、教科書発行事業から撤退すべきだ」と非難した。そのためもあって、自由社の教科書はほとんど採択されないという結果となった。しかし、「つくる会」は、その期に及んでも、公正な採択を願って、採択期間中は育鵬社による著作権侵害問題は持ち出さない方針を貫いた。

(4)「つくる会」の訴訟回避の努力を無にした育鵬社側

  「つくる会」は、採択期間が終わってから、育鵬社による著作権侵害の事実を正確に調査し問題点をまとめた書籍『歴史教科書盗作事件の真実』(自由社)を、平成24年10月に発行した。その上で、育鵬社側とこの問題を解決するための話し合いに入った。「つくる会」は、育鵬社が著作権侵害の事実を認めた上で謝罪することを条件に、事後的に原告の著作権の使用をさかのぼって認めることで、訴訟を回避することを提案した。また、この話し合いの過程では、「つくる会」は、保守系とされる2種類の教科書を1種類に統合する案も提案した。しかし育鵬社側は、著作権侵害の事実を一切認めず、謝罪の要求を受け入れようとはしなかった。そこで、「つくる会」は、社会的に許されず、明らかに違法行為である著作権侵害問題を解決するため、訴訟に踏み切るよりほかはなくなった。以上が、平成25年4月、原告側の提訴に至る経過の概要である。

  

 

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