その後の育鵬社問題--育鵬社のみから返事が来た

  ようやく、公民検定過程についての報告が一応終了した。それゆえ、長らく考える暇がなかった育鵬社丸ごと盗作問題について考えていきたい。

  既報のように、「つくる会」は、昨年12月12日付文書で育鵬社等4者にたいして、八木秀次氏をして責任をとらせるようにしていただきたいという趣旨の文書を送った。そして、この文書の最後に「貴方からの窓口担当者のご連絡を、お待ちしております。」と記した。この文書に対する回答が、今度は、育鵬社単独の名前で、平成24年12月27日付で送られてきた。

  その結果、正式に、育鵬社と「つくる会」との間で著作権問題をめぐって交渉する形が整った。まずは育鵬社からの回答を掲げる。その上で、考えたことを記していくこととしよう。

   
    ――――――――――――


     育鵬社からの回答

平成24年12月27日

新しい歴史教科書をつくる会
会長 杉原誠四郎 殿


                ご 回 答

株式会社 育鵬社
代表取締役社長 久保田榮一
電話 03-3432-8681
FAX 03-3432-8689

 拝復

 貴会からの平成24年12月12日付、株式会社育鵬社(以下、「当社」といいます)、育鵬社刊「中学社会 新しい日本の歴史」編集会議、一般財団法人日本教育再生機構、及び改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会宛の書状を拝受いたしました。

 書状を拝読させていただきましたが、貴会におかれましては、当社の歴史教科書に関する著作権について疑義の念を抱かれているようでございますが、ご指摘にある著作権に関わる問題につきましては、ご高承の通り、当社は、扶桑社の教科書事業を継承しております。その扶桑社の歴史教科書は、多くの執筆者、監修者、そして扶桑社の編集部らの共同作業によって作成されたものです。貴会や貴会の関係者の方々におかれましては、こうした作成経緯及び事実関係の捉え方、さらには歴史教科書記述の性格などについての認識に齟齬があるように思われます。

 平成26年春には、新たに文部科学省に検定申請本を提出し、よく27年春に検定合格となり、再び採択が始まります。その準備が始まっている現在は、当社並びに貴会と関係の深い自由社にとって極めて大事な時期でもあります。当社は、こうした中で、著作権に関する認識の齟齬につき誤解を解き、話し合いにより解決すべく協議したいものと考えております。

 そこで、この著作権に関わる問題は、当社の教科書事業の担当責任者である真部栄一を窓口とし、対応させていただきますことをお知らせいたします。

 上記、ご回答申し上げます。

                                               敬具

    
      ――――――――――――

  この回答でまず気になるのは、なぜ、育鵬社単独で回答が来たのかということだ。他の三者は育鵬社に委任したということなのか、それとも逃げ出したのか、実情がよく分からない。逃げ出したとすれば、逃げ出せるものではないということを強調しておこう。

  ともあれ、二つ目の下線部に注目していただければ分かるように、育鵬社が著作権問題を議題として話し合いを行うという趣旨を示したことは明確である。

  しかし、最初の下線部を読めば分かるように、育鵬社は、扶桑社版教科書は共同著作物であり、扶桑社・育鵬社側著者・「つくる会」側著者の三者の間に共有著作権が成立すると考えている。育鵬社版の著者である○○氏などが主張してきたことである。しかし、この共同著作物理論は、平成21年8月25日東京地裁判決で否定されている。地裁判決は、明確に共同著作物ではないと否定し、結合著作物と判示しているのである。 

 仮に共同著作物であるとしても、例えば縄文時代の扶桑社記述をリライトするとすれば、当然に縄文時代の単元の著者である藤岡氏と西尾氏の許可が必要であったことは否定できないことである。にもかかわらず、育鵬社サイドは、藤岡氏と西尾氏の許可をとらずに、縄文時代の扶桑社版記述を基にして育鵬社版の文章を作ったのである。だからこそ、盗作であり、著作権侵害だと我々は述べているのである。

  更におかしいのは、共同著作物理論であろうとなかろうと、育鵬社が東京書籍の文章を基にして原稿を作成したことを正当化できないことである。既に、新しい歴史教科書をつくる会『歴史教科書盗作事件の真実』(自由社、2012年)で展開されているように、育鵬社は東書の平成18~23年度版から最低4箇所の盗作を行っている。東書の文章をなぜ使ったのか、彼らはどのように説明するのであろうか。まさか、東書の文章を使ったことが正当な行為だと言い張ることは出来ないであろう。

  



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この記事へのコメント

憂子(ゆうし)
2013年02月16日 12:03
つくる会は4者宛に文書を送っているのに、その1者のみが話し合いに応ずるというのはおかしい。4者を代表してというのなら、その旨を記すべきです。やはり、彼らには誠意と真摯さが感じられません。
自由社版の盗用問題に係るつくる会の対処については、事を急いてはいけません。この問題の処理は話し合いの過程で検討さるべきものです。

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