平成24公民教科書資料Ⅲ(10)在日韓国・朝鮮人差別問題、外国人参政権問題

              Ⅲ、立憲主義か全体主義か


        (10)在日韓国・朝鮮人差別問題、外国人参政権問題
 

   在日韓国・朝鮮人差別問題は、平成5年度以来、公民教科書における差別問題の花形の役割を果たしてきた。この差別問題を強調するために、公民教科書は、在日は強制連行された人たちの子孫であるという嘘話を広めるとともに、その嘘話を根拠にして在日に参政権を与えないのは差別であるという言説を広げてきた。これは、参政権を日本国民固有の権利と規定した「日本国憲法」15条を無視する言説である。

  このような歴史偽造と「日本国憲法」違反の言説によって、公民教科書は、在日参政権付与運動の一翼を担ってきた。そして、更に、今回の教科書では、在日韓国・朝鮮人だけではなく、国籍を問わずすべての在日外国人に対して参政権を与えるべきであるという教科書さえも、教出と帝国の2社登場している。
 
  そこで、ここでは、在日韓国・朝鮮人差別問題をどう記しているか、外国人一般への参政権付与問題をどう記しているか、見ていこう。

  以下、7社の記述を比較されたい。



○分析項目
備考①分量、小見出し扱いかなど
②在日への地方参政権
③地方公務員
④「強制連行」された者の子孫としているか
⑤外国人一般に参政権を


○東京書籍
①分量、小見出し扱いかなど……「第2章 人間の尊重と日本国憲法」「2 人権と共生社会」の節見出し下、単元「平等権と共生社会」下、「在日韓国・朝鮮人への差別撤廃をめざして」の小見出しの下、10行
  他には、大コラムで0.8頁ほど(47頁)
  また、「全国高校ラグビー大会の準決勝に進出した大阪朝鮮高級学校(2010年)」の写真(43頁)
②在日への地方参政権……国政と地方政治の区別なく、与えないのは差別
③地方公務員……国と地方の区別なく、制限されるのは差別
④「強制連行」された者の子孫としているか……「日本に連れてこられて、意思に反して働かされた人たちとその子孫」
②③④「第2章 人間の尊重と日本国憲法」「3 人権と共生社会」の節見出し下、単元2「平等権と共生社会」の単元見出し下、「在日韓国・朝鮮人への差別撤廃をめざして」の小見出しの下、全文引用
 「2008年現在、日本には59万人の在日韓国・朝鮮人の人たちがくらしています。この人たちの多くは、1910年の日本の韓国併合による植民地統治の時代に、日本への移住を余儀なくされた人たちや、意思に反して日本に連れてこられて働かされた人たちとその子孫です。これらの人たちは、民族の誇りを守り、さまざまな分野で活躍しています。しかし、就職や結婚などでの差別がなくなっていません。また、日本国籍を持たないため、選挙権や公務員になることなども制限されています。日本で生まれ生活していることやその歴史的事情を配慮して、人権保障を推進していくことが求められています」(43頁)。
   *今回、「日本国籍を持たないため、」が入る。
・「ワンコリアフェスティバル」の写真(43頁)。
・43頁側注欄に「公務員の国籍条項」という一口エピソード
・大コラムの中で、「友達が教えてくれたこと」(在日コリアン三世の話)(47頁)
⑤なし

○日本文教出版
①分量、小見出し扱いかなど……小見出し、13行
②在日への地方参政権……国政と地方政治の区別なく、与えないのは差別
③地方公務員……国と地方の区別なく、制限されるのは差別と考えているようだ。
④「強制連行」された者の子孫としているか……していない。ただし、「歴史的事情」を考えろとする。
第1章2節、単元「5 等しく生きる権利②」の単元見出し下、「在日韓国・朝鮮人差別」の小見出し下、全文引用
 「わが国にはさまざまな国の人たちがくらしています。そのなかでも、最も多いのが韓国・朝鮮の人たちです。わが国は、第二次世界大戦が終わるまで朝鮮半島を植民地支配していました。その朝鮮から移住してきた人々が、民族の誇りを守りながら、その子孫もふくめて多く住んでいます。これらの人々は経済やスポーツなど多くの分野で活躍しています。しかし、公務員への門戸は広がりつつあるものの、選挙権はなお制限されています。また、入居や就職などでの差別も残っています。これらの人々の人権保障については、日本で生まれ生活していることや、歴史的な事情が考慮されなければなりません
  わが国にあるさまざまな差別の問題を解決するためには、私たち一人一人が基本的人権を理解し、多様な文化や社会を認めて、就職や結婚などの市民的権利を保障していくことがたいせつです」(55頁)。
・「在日韓国・朝鮮人の児童と交流する日本の児童(大阪市)」の写真(55頁)
・側注欄に「⑥国立大学の受験資格が広がることを報じる新聞」の説明で、「在日韓国・朝鮮人の公務員の採用は、各自治体によって対応が分かれています」(55頁)。
⑤なし

○教育出版
①分量、小見出し扱いかなど……小見出し、15行
②在日への地方参政権……国政と地方政治の区別なく、与えないのは差別
③地方公務員……国と地方の区別なく、制限されるのは差別
しかも、「日本に住む外国人」に与えないのは差別
④「強制連行」された者の子孫としているか……「日本に連れてこられ」た人々や、その子孫ととらえる。
⑤「日本に住む外国人」に参政権与えないのは差別
2章2節単元「4 差別をしない、させない」下、「定住外国人への差別」の小見出し下、
 「かつて政府は朝鮮を支配し、第二次世界大戦中には、多くの朝鮮人が日本に連れてこられました。戦後、朝鮮の独立によって祖国に戻った人もいましたが、多数の人々が日本に定住し、現在もその子孫が多く暮らしています(在日韓国・朝鮮人)。また、1,980年代以降は、主にアジアや南米から、多くの労働者や留学生が日本にやって来て、そのまま定住するケースが増えています。
 現在、日本に住む外国人には、選挙権や被選挙権、公務員になることなどに制限があります。これらについては、違憲ではないかとする訴訟がしばしば起こっています。また、雇用や子どもの就学をめぐって、問題を抱えている人も少なくありません。こうしたさまざまな差別の問題を、わたしたちはどのように考えていったらよいのでしょうか。差別問題と向き合いながら、ともに生きることの意味を、一人ひとり改めて考える必要があるのではないでしょうか」(47頁)。
 ・「④ 商店街で披露される韓国・朝鮮の伝統芸能」の写真(47頁)。
―――しかし、ひどい歴史偽造。
⑤しかも、外国人全般に参政権問題を広げる。

○清水書院
①分量、小見出し扱いかなど……小見出し、15行
②在日への地方参政権……国政と地方政治の区別なく、与えないのは差別
③地方公務員……国と地方の区別なく、制限されるのは差別
④「強制連行」された者の子孫としているか……している。
第1章2節単元4「平等権(2)」下、「ともに幸福に生きられる社会へ」の小見出し下、
 「日本には現在およそ215万人の外国人が住んでいる。在日外国人の約3割と多くを占めるのは韓国・朝鮮籍の人びとである。
 そのなかには、日本による植民地支配後、やむをえず日本へ移住してきた人びとの子孫も少なくない。民族の誇りをもって日本社会で活躍する在日韓国・朝鮮人も多いが、学校生活や就職での差別をさけるため、本名を名のれず、日本名でくらしてきた人びともいる。
  日本でともに生活しながら、日本国籍をもたない在日韓国・朝鮮人には、参政権や公務員になる権利などにも制約が残っている
……アジア諸国や南米などから来日する外国人労働者……
 こうした問題には改善の努力もつづけられているが、多様な文化と共生しながら、外国人にも平等な人権を保障する制度があらためて求められている」(39頁)。
 側注④として「1910年に日本政府は『韓国併合』を行い、第二次世界大戦中には、多くの朝鮮半島の人びとを強制労働のために日本に連行した」(39頁)。
⑤なし

○帝国書院
①分量、小見出し扱いかなど……小見出し、20行
②在日への地方参政権……国政と地方政治の区別なく、与えないのは差別
③地方公務員……国と地方の区別なく、制限されるのは差別
④「強制連行」された者の子孫としているか……していぬ
⑤外国人一般に与えないのは差別とれるような書き方
単元7「現代社会に残る差別(2)」下、「在日外国人への差別」の小見出し下、全文引用
 「現在、日本に多くの在日韓国・朝鮮人が住んでいます。第二次世界大戦が終わったとき、植民地政策などで約200万人の朝鮮人が日本にいました。多くの人々は戦後すぐに祖国へ帰国しましたが、仕事や家族のことで日本に残る人もいました。彼らの子孫をふくめ、現在、日本に住む外国人の3割近くをしめています。
  在日韓国・朝鮮人に対しては、戦前からあった朝鮮の人々への蔑視から、就職や結婚での差別、いじめなどが残っています。また、日本国籍がないため、日本に永住し、納税の義務をはたしても参政権はありません。職種によっては公務員になれず、社会保障も十分に受けられません。日本の学校で普通教育を受けられますが、在日韓国・朝鮮人の子弟のための学校を卒業しても、大学入学の資格などは日本の学校と同じではありません。
  最近は、アジアや中東諸国、欧米から日本にやってきて仕事をする外国人労働者も増えています。世界には、外国人でも定住していれば、地方自治への参政権を認める国もあります。日本でも、日本人と同様に教育の機会を保障し、社会保険料を支払えば、十分な社会保障が受けられる方向で努力がなされています。日本国憲法が認める人権を外国人にも保障するよう、制度が整備されつつあります。」(46~47頁)。
 ・「全国大会出場を喜ぶ大阪朝鮮高級学校の選手たち(2003年)」の写真(46頁)
⑤外国人全般に参政権を認めるべきだ、とのメッセージ
 
○育鵬社
①分量、小見出し扱いかなど……小見出し、12行
②在日への地方参政権……
③地方公務員……
④「強制連行」された者の子孫としているか……していぬ
第2章第2節単元2「ともに生きるために」下、「外国人差別」小見出し下、全文引用
 「国際化の進展や、日本が朝鮮半島や台湾を領土としていた歴史的な経緯から、日本には在日韓国・朝鮮人など多くの外国人が住んでいますが、言葉や習慣のちがいなどから外国人に対する差別が生じています。
外国人にも人権は保障されますが、権利の性質上、日本国民のみにあたえられた権利は、外国人には保障されません。例えば、選挙権や公務員になる権利は、国家の意思を形成するという国民主権にかかわる権利であるため、本来、国民のみに保障された権利であると考えられています。しかし、公務員になる権利は、今では一部で制約が解かれています。
  ただし、外国人であっても日本国籍を取得すれば、日本国民として選挙権をはじめとするすべての権利が保障されます」(56~57頁)。
・側注①「外国人にも地方選挙権を認めるべきだとする意見もあります。しかし、憲法違反であるとして反対する有力な意見があり、今でも議論が続いています」(57頁)。
⑤備考……「EU加盟国の外国人参政権」の小コラム(63頁)

○自由社
①分量、小見出し扱いかなど……大コラム「もっと知りたい 権利の平等に関する問題」下、「外国人参政権」の小見出し下、0.6ないし0.7頁
②在日への地方参政権……差別ではない。権利の平等・不平等の問題ではない。
③地方公務員……特になし
④「強制連行」された者の子孫としているか……していぬ
②③④
「外国人参政権」の小見出し下、
 「かつて、わが国が韓国を併合したいきさつから、今日、わが国には2008年現在、約59万人の韓国人と朝鮮人が在住している。また近年では、留学や仕事、観光などで来日し、居住する外国人が増えている。これらの日本に永住または在住する外国人に対しては、選挙権や公務員となる権利は基本的に保障されていない。これに対し、外国人に選挙権を与えないのは憲法第14条の法のもとの平等に反するとの訴えが起こされた。しかし、1995年、最高裁判所は次のような主旨の判決を下し、訴えを退しりぞけた。「憲法は第15条で選挙権を日本国民固有の権利としている。また憲法93条に規定された地方選挙権を有する住民とは日本国民である。わが国に在住する外国人に選挙権を付与しなくても合憲である。」
 この判決は、日本の選挙権を日本国民に付与し外国人に付与しないことは、合憲であり、権利の平等・不平等の問題ではないことを示した
 しかし、現在も日本に永住または在住する外国人に地方参政権を付与するか、付与しないか、激しく議論されている。」(68頁)
⑤なし



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