平成24公民教科書資料Ⅰ(2)家族

             Ⅰ、共同社会

                (2)家族


   何度も書いてきたが、教科書から家族が消えた。これは、国家的な危機である。是非、国会で問題にしていただきたい。以下に家族論に関する分量の変化を示しておこう。恐ろしいほどに、家族教育の崩壊が進んできたのである。

    東京書籍     昭53年19頁→現行4頁→今回単語のみ
 日文(旧大阪書籍)   昭和53年17頁→現行1.4頁→今回12行
    教育出版      昭和53年19頁→現行4頁→今回1頁
    清水書院      昭和53年26頁→現行2頁→今回単語のみ
    帝国書院     昭和53年19頁→現行2頁→今回2頁
    扶桑社                現行2頁→今回(育鵬社)2頁
    自由社                      →今回4頁
 

   今回、自由社は、家族について画期的な定義を行った。これこそ、常識的、且つ保守派の定義である。一部のルサンチマン左翼を除けば、多くの人の賛同を得られるものであろう。
   
   以下、7社の記述を掲げるので、比較されたい。


○分析項目
  ①家族の叙述の比重……2頁以上は評価できる
  ②家族の定義……基礎単位のみか、共同体としているか
  ③夫婦別姓…夫婦別姓勧める方向かどうか
  ④大人と子供の関係の在り方――指導被指導関係、保護被保護関係
  ⑤「縦のつながり」……

   
○東京書籍……家族が消えた…… 
①第1章「3節 現代社会の見方や考え方」の下、単元1「社会集団の中で生きるわたしたち」下、「社会的存在としての人間」の小見出し下、「わたしたちは、家族や学校、地域社会、職場など、いろいろな社会集団の中で生活しています。家族や地域社会は、生まれたときから所属している社会集団であり、わたしたちは、そこで生活習慣を身につけます。一方、学校、部活動、会社のように、目的を持って自分から参加する社会集団もあり、そこでは自分の能力をのばしたり、収入を得たりしています。」(22頁)。のみ。
 ②定義なし
 ③④⑤一切なし

○日本文教出版
①第2章第1節、単元「1 社会における私たちときまりの意義」の下、「家族と社会」の小見出し下、12行で記述
②「人間が最初に所属する社会集団である家族は、本来いつくしみと思いやりにみちた最小の社会集団です。家族は、休息ややすらぎの場であり、また、たがいに個人として尊重し協力し合って生きていくことを学びます。このように、家族は個人と社会を結びつける重要な役割を果たしています。核家族が増え、高齢社会をむかえた今日では、地域の人々がたがいに助け合うことが、家族生活をより豊かなものにしていきます。
日本国憲法は、家族生活の根本として、個人の尊厳と両性の本質的平等を定めています。家族生活をたがいに協力して維持していくことは、男女がともにあらゆる分野に参画していく社会(男女共同参画社会)の基礎になります」(23頁)。
  *前回は「最も小さな、基礎的な集団」とあった。
③夫婦別姓なし
④大人と子供の関係の在り方……なし
⑤なし
⑥備考……単元2「契約の意義と個人の尊重」の単元下、「結婚も一種の契約とみることができます。さらに、国家も、国民がたがいの存在や生き方を尊重し合うことを約束し、必要な政府をつくるという契約によって成立しているとみることもできます」(24~25頁)。

○教育出版
①社会(政治、経済以外)における家族の叙述の比重……「第1章 わたしたちの暮らしと現代社会」下、1節「わたしたちが生きる現代社会」下、単元「2 社会の変化と家族のあり方」下、1頁(8頁)……しかし、実質、家族論になっていない。家族とはそもそも何かが書かれず、ただ、家族の変化が書かれる。
②家族の定義……「家族は最も身近な社会集団」さえなし。
―――夫婦別姓は、今回は分析項目にならないのではないか。別性など書く必要もなく、教科書上、家族は解体されている。 
 
○清水書院……家族が消えた
①②家族の叙述の比重……序章単元3「少子高齢社会の未来」下、「みんなで支えあう」の小見出し下、家族に0.4頁程度ふれている。しかし、家族論になっていない。
②家族の定義……家族とは何か、全く定義しない。家族というものに固有の価値を認めていない。
③夫婦別姓……なし
④大人と子供の関係の在り方――指導被指導関係、保護被保護関係……なし
⑤「縦のつながり」……なし

○帝国書院
  ①社会(政治、経済以外)における家族の叙述の比重……1単元本文2頁
  ②家族の定義……「最も身近で基礎的な社会集団」
  ③夫婦別姓……なし
  ④大人と子供の関係の在り方……なし
  ⑤「縦のつながり」……なし
第1部第3章単元1「変わりゆく家族」の下、「家族形態の変化」→「家族の役割」の小見出し
・「家族形態の変化」の小見出し下、「家族は、私たちにとって最も身近で基礎的な社会集団です。家族は、夫婦を中心に、親子・兄弟・姉妹などによって愛情と信頼の関係で結ばれた集団ということもできます。家族の形は時代とともに変化してきました。高度経済成長が始まったころは、祖父母といっしょにくらす三世代家族も多くありました。しかし、現在では三世代家族は減少し、夫婦と子どもだけで暮らす核家族に加えて、夫婦ふたりやひとりでくらす人も増え、さまざまな家族の形態がみられるようになりました。
 家族の形態が変化してきた要因としては、日本国憲法によって、すべての個人は人間として尊重されるだけでなく、その権利はだれからもおかされないという個人の尊厳や、男女や夫婦の平等(両性の本質的平等)が保障されたことがあげられます。また、高度経済成長によって産業のあり方が根本的に変化したことや、それにともなって働き方が変化したこと、さらに少子化の進行なども要因と考えられます」(20頁)。
・「家族の役割」の小見出し下、「私たちにとって、家族の役割は何でしょうか。私たちは、家族との生活に『団らん』や『休息や安らぎ』を求めています。また、子どもが言葉や生活習慣を学び、人間としての生き方や社会のルールを身につけ、人間形成をはかるうえでも大きな役割をはたしています。さらには、親や病人の世話をすることも役割です。
 家族の役割の重要性は、医療・介護制度の充実、家族の形態の変化などによって変わることもあります。しかし、時代が変わっても家族が『かけがえのない存在』であることは変わりません。なぜなら、家族は、それぞれが役割を分担し、おたがいによりよい人生をおくれるように助け合い、はげまし合いながら成長していくからです。
 共働きの家族の増加や核家族化、少子高齢化が進む現在、育児や介護などに対する支援の充実が求められています。そこで国は、女性が働くことと、『かけがえのない存在』である家族の役割との両立をはかるために、育児や介護に必要な休業を認める法律の制定や、財政的な支援などの政策を進めています。」(21頁)
 
○育鵬社 
  ①社会(政治、経済以外)における家族の叙述の比重
    1単元2頁プラス「男女の平等と家族の価値」という大コラムで1頁強
  ②家族の定義……「社会の基礎となる単位」のみ(28頁)
      *「家族というコミュニティー(共同社会)」が消える。
   ただし、第2章第1節の大コラムで「最も身近で基本的なコミュニティー」(54頁)
  ③夫婦別姓……なし
  ④大人と子供の関係の在り方……なし
  ⑤備考……第1章第2節単元1「私の家庭と少子高齢化」下、「少子高齢社会の課題と対応」の小見出し下、家族の社会化を支持する記述(21頁)
①②③④第1章第3節単元1「家族と私」下、「家族の役割」→「家族の多様化」の小見出し。「家族の役割」の小見出し下、「日本国憲法(24条)や民法は、家族についての基本的な原則として『個人の尊厳と両性の本質的平等』と、夫婦がたがいに協力することを定めています。……」(28頁)と始める。
 ・「私たちは新しい家族をつくりますが、私たちを育ててくれた年老いた両親を支え、介護することも大切な役割です。
 家族は、こうした役割分担を通して個人に社会的な立場と責任感をあたえ、個人と社会を結びつけて社会を安定させるはたらきを果たしています」(28頁)。
⑤「縦のつながり」……なし
⑥備考……家族会議で、効率と公正をもちこんでいる。最悪の教科書かもしれない。
・小コラム「父親が転勤することになった! 家族のきずなについて考えましょう」
「家族会議(対立)」→「会議の結果(効率と公正)」→「結果の実行(合意)」
効率の観点から父親の単身赴任を決定。
公正の観点から「いっしょに生活したいというお父さんの思いを公正に尊重し、離れて暮らす家族のきずなを深めるため、パソコンを利用してテレビ電話ができるようにしました」。
会議メンバー……両親と中3の子供、3人で。


○自由社
  ①家族の叙述の比重……2単元4頁
  ②家族の定義……共同体
  ③夫婦別姓……なし
  ④大人と子供の関係の在り方――指導被指導関係、保護被保護関係……有
  ⑤「縦のつながり」……有
②③④単元7「家族の役割と形態の変化」下、
「家族の役割」の小見出し下、「家族は男性と女性の愛と尊敬から始まります。そこで生まれた子供は、とても無力な状態にあり、肉体的かつ精神的に一人前になるまで親の長期間にわたる世話を必要とします。家族は、社会集団のなかで最も小さな単位の共同社会であり、家族の一人ひとりはまず何よりも、たがいに信じ合い、愛し合い、助け合い、教え合い、研鑽し合い、励まし合うことにより、家族の絆を強くしていきます。また家族は休息や心のやすらぎを得る場であり、家族のだんらんは大切です。親は、子供に言葉を身につけさせ、人格をはぐくんでいきます。子供や孫に慣習と文化を伝え、社会生活のルールやマナーをしつけるという役割を担っています。
 家族の生活の基本は、家計の維持や育児・家事です。家族の一人ひとりは、それぞれの役割を果たし、個人と社会とを結びつけることによって、家族を安定した社会や国家を築くための基礎とします」(22頁)。
⑤同単元下、「家族と個人」の小見出し下、「家族の決まりは『家族生活における個人の尊厳と両性の本質的平等』を規定した憲法第24 条とともに、民法という法律に詳しく定められています。憲法と民法の基本的な考え方は、家族の一人ひとりを個人として尊重し、法のもとで平等にあつかうということです。
 現在の自分と友人や隣人との関係は『横のつながり』ととらえられます。これに対して、家族は、祖父母から父母、そして自分へとつながり、未来の自分の子供へと続く『縦のつながり』ととらえられます
  昔から日本人は祖先を尊び、家族を重んじ、そして社会を重んじる伝統を継承してきました。この伝統は自分たちのみならず、子孫のためによりよい社会を築き、国を守り、文化を伝承しようとする努力ともなります。家族は現在の私たちの生活の場としてだけではなく、過去から未来に流れる時間のなかで人々がつながっていく場としてもとらえる必要があります」(23頁)。
④単元8「民法と家族」下、「民法と家族」の小見出し下、
「生まれてくる子供は親を選べないし、親もまた子供を選べません。そのような親と子が協力して生活を営む共同生活が家族です。
 民法は、親が未成年の子供を監護し、教育する権限(親権)をもち、その義務を負うことを定めています(民法第820 条)。監護とは子供の身体を監督・保護することであり、教育とは子供の人格の完成をはかることです。親権者は子供の監護・教育のために住居を指定して、その場所で生活させる権利があります(居所指定権)。そして、養育上、必要と思われる範囲内で叱ったり、罰をあたえることができます(懲戒権)。また、子供は親権者の許可がなくては職業に就くことができません(職業許可権)。未成年者は、法律上、自分の財産を管理する能力を欠いているので、子供の財産は、親権者が管理し、運用することになっています(財産管理権)。
 未成年の子供は、このように親の親権に服さなければなりません。一方、親も義務として必ず子供の監護・教育をしなければなりません。これらの規定は、厳しいようですが、親が子供を一人前の社会人に成長するまで保護するために存在します。子供の尊厳を認め、子供の利益になるように、定められているのです」(24~25頁)。




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