不正検定問題検討17――東京オリンピック参加国数

 今回17回目は、欠陥箇所374番の件である。これも、『教科書抹殺』が取り上げた100件以外のケースである。

 『新しい歴史教科書』は、〈もっと知りたい 水泳ニッポンと1964年の東京五輪〉という1頁コラムで、次のように記していた。


オリンピックには93か国5588人が参加 しました。 269頁


 この記述に対して「生徒が誤解するおそれのある表現である。(93か国)」との指摘があり、欠陥箇所とされた。
 
 これもダブルスタンダードである。1964年の東京オリンピックについては全社が記しているが、他社の中で参加国数に触れているのは、以下の三社であった。

・東京書籍243頁 1964年10月10日、東京で第18回オリンピック大会が開催され、93の国と地域から5152人の選手が参加し 

・日本文教出版260頁 〈オリンピック東京大会の開会式のようす〉の写真キャプション

  1964(昭和39)年には94か国の選手を集め、
 
・学び舎264頁 1964年、アジアで初めてのオリンピックが東京で開かれ、テレビ放送は人工衛星で海外にも同時中継されました。参加した国と地域には、新たに独立したアジア・アフリカの国々が加わり、それまでで最高の93となりました。



 三社の文章を読むと、参加国に関して書いている内容はバラバラだが、いずれにも検定意見は付いていない。三社の違いは二点にわたる。一つは93か94かである。二つは、参加国なのか、参加した国と地域なのかという問題である。

 果たして自由社は何が問題だったのか。「93か国」とあるから、93が間違いなのだろうか。それとも「国」というのが間違いなのだろうか。前者ならば、学び舎と東京書籍にも検定意見が付かないのはおかしいことになる。後者ならば、日本文教出版にも検定意見が付かないとおかしことになる。しかし、三社とも意見が付かなかったのである。

 どうも、この二点に関しては明確な正解はないようである。明確な正解があろうとなかろうと、オリンピック参加国数の件については、ダブルスタンダードによる検定が行われたことに変わりはないと言える。

 なお、月刊HANADA2020年12月号に藤岡信勝氏が「〈他社は合格、自由社なら不合格〉の「ダブスタ」検定」という論考を掲載しているので、一読されたい。


転載自由


"不正検定問題検討17――東京オリンピック参加国数" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。