『新しい公民教科書』の画期性とは何か2--家族などの共同社会を守る

 家族の四つの意義

 「日本国民が読むべき公民教科書」で述べているように、『新しい公民教科書』は、家族、私有財産、国家の破壊をもたらす公民教育からの脱却を目指してつくられた。したがって、何よりも、家族などの共同社会に関する記述に力を入れた。まず、現行版と同じく、家族に2単元4頁という分量を用いた。公民教科書では、平成23年版から一挙に、家族に関する記述量が大減少した。現行版でも、家族に関する単元を設けているのは4社のみで、家族論を展開しているとみなせる教科書は、自由社、育鵬社、帝国書院の3社のみである。

 家族に関する分量の多さというのも自由社の特徴である。だが、それ以上に、公民教科書史上、以下に示す家族の四つの意義を初めて明らかにしたことが最大の特徴である。
   1、家族が共同体であること
   2、家族間の愛情を育む場であること
   3、子供を保護し教育する場であること
   4、祖先から子孫への縦のつながり

 2以外の3つの意義を記したことは画期的である。1から順にみていくならば、家族は企業やクラブ、学校といった人為的に作られる集団とは異なり、自然に生まれる共同体である。3に関して言えば、他社のほとんどは家族を「人間形成の場」と説くだけで親子関係についてそもそも書いていない。親子の「保護―被保護関係」「指導―被指導関係」を記すことは平等主義に反すると考えるからである。3を記し、民法に規定された「親権」等を詳述するのは自由社の特色と言える。単元7「民法と家族」から引用しよう。

親は子供を愛しいと思い、子供は親から愛されていると感じて、その親と子供が協力して生活を営む共同生活が家族です。

 家族の規定は民法で決められています。民法は、親が未成年の子供を監護し、教育する権限(親権)をもち、その義務を負うことを定めています(民法第820 条)。監護とは子供の身体を監督・保護することであり、教育とは子供の人格の完成をはかることです。親権者は子供の監護・教育のために住居を指定して、その場所で生活させる権利があります(居 所指定権)。そして、養育上、必要と思われる範囲内で叱ったり、罰をあたえることができます(懲戒権)。また、子供は親権者の許可が なくては職業に就くことができません(職業許可権)。未成年者は、法律上、自分の財産を管理する能力を欠いているので、 子供の財産は、親権者が管理し、運用することになっています(財産管理権)。

 未成年の子供は、このように親の親権に服さなければなりま せん。一方、親も義務として必ず子供の監護・教育をしなければなりません。これらの規定は、厳しいようですが、親が子供を一人前の社会人に成長するまで保護するために存在します。子供の尊厳を認め、子供の利益になるように、定められているのです。 26~27頁


  最後に4であるが、「家族は、祖父母から父母、そして自分へとつながり、未来の自分の子供へと続く「縦のつながり」ととらえられます」(25頁)との記述は、当たり前のことながら、ほとんど例がないものである。

 地域社会、公共の精神、愛郷心、愛国心

  次に、当然ながら、単元8「私たちと地域社会」を置き、家族に次ぐ共同社会である地域社会の単元を維持した。かなり前から、地域社会の単元を置かない教科書が一定程度あるから、まずこのことを指摘しておかなければならない。関連して、単元8では「公共の精神とは、自分の利益や権利だけでなく、社会全体の利益と幸福を考えて行動しようとする精神のことを指します」と、公共の精神の定義を行った。さらに、単元9「家族愛・愛郷心から愛国心へ」で、愛郷心と愛国心の説明も行った。公共の精神、愛郷心、愛国心の三者を展開したことも『新しい公民教科書』の特徴と言えよう。

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