平成24公民教科書資料Ⅱ(11)核兵器問題

           Ⅱ、国家主権

           (11)核兵器問題
 

   第九条の平和主義と密接に関連して、日本はNPT体制に参加し、非核三原則を表明している。この両者によって日本の国家主権は著しく制限されている。そこで、核兵器問題に関する記述を掲げておこう。核兵器問題の記述も、天皇に関する記述に劣らないほど、検定による制約が非常に強い分野である。念仏平和主義は許されるが、非核三原則への疑問等は許されない、核抑止論の積極的展開は許されないなどの制約がある。国際社会の現実に目を向けさせない愚民化政策の最たるものである。

○分析項目
 ①核兵器廃絶
 ②非核三原則
①②のことを、日本の生き残りを模索する意識から書いているか
 ③核抑止論


○東京書籍
①第5章1節単元「6 世界の平和のために」下、「二つの平和」の小見出し下、「消極的平和」と「積極的平和」。
 続けて、「戦争のない世界」の小見出し下、「どうすれば第二次世界大戦のような大戦争や、世界各地で起きている地域紛争を防ぐことができるのでしょうか。さまざまな対策が考えられていますが、なかでも重要なのが軍縮です。つまり、世界から兵器を削減することです。特に巨大な威力を持つ核兵器の廃絶は重要です。アメリカとロシア連邦は、核兵器を削減する努力を続けています。さらに、核保有国以外の国々が核兵器を持つことを禁じた核拡散防止条約も締結されました。それにもかかわらず、核兵器を保有している国や、保有しようとする国があることが問題となっています。」(158頁)
①②第5章2節単元「5 世界の中の日本」の下、「日本外交の柱」の小見出し下、「日本の外交には四つの柱があります。第一の柱は平和主義です。日本は日本国憲法の前文と第九条で平和主義の立場を明確にしています。世界の平和を確かなものにするために、日本は国連の活動を支援する国連中心主義をとってきました。次の柱は、核軍縮です。広島と長崎への原子爆弾投下という悲劇をこうむった唯一の被爆国として、非核三原則をかかげ、世界から核兵器をなくすための努力を続けてきました。
 第三の柱は、国際貢献です。ODA……最後の柱は、地球温暖化への取り組みです」(170頁)……*国益追求の観点なし
・続けて「日本外交の課題」の小見出し下、「核軍縮では、アメリカのオバマ大統領の『核なき世界』提案を支持し、核軍縮を進めることが『道義的責任』であるとし、その『先頭に立つ』と明言しました」(171頁)。
③核抑止論なし

○日本文教出版 
①核兵器廃絶
 ②非核三原則
 ③核抑止論なし
第4編第1章1節単元「7 日本の平和主義と国際貢献」の下、「日本の平和主義と経済援助」の小見出し下、「第二次世界大戦後の日本は、個人の自由を尊重する民主主義の道をあゆんできました。憲法に戦争放棄を掲げ、平和主義を基本として、対外貿易と産業発展を重視する通商・経済国家となりました。
 冷戦のもとで朝鮮戦争が発生すると、どのようにして日本の国民や国土の安全を守るのかが心配されました。日本は、日米安全保障条約を結んで、対外的な安全の多くをアメリカにたよりました。自らは自衛を目的とする防衛力のみをもちました。それとともに、攻撃的兵器の保有や国際紛争への介入をせずに、防衛費を国内総生産(GDP)の1%程度におさえてきました。そして、唯一の被爆国として、核兵器を『持たず、つくらず、持ちこませず』という非核三原則に従ってきました。
 復興をとげた日本は、経済の面から国際社会に貢献するようになりました。……」(196頁)。
 単元「8 平和な世界を求めて」下、「軍縮への動きと課題」の小見出し下、「……このように、核不拡散条約(NPT)と包括的核実験禁止条約(CTBT)からなる核管理体制は揺らいでおり、核兵器やミサイルの拡散の危険性は高まっています。21世紀に入ってテロ攻撃がたびたび起きる事態にあって、世界各地の紛争国やテロ組織によって、悲惨な大量破壊兵器(核・生物・化学兵器)が行使されないように、国際社会が協力し取り組んでいくことが求められます。」(198頁)
 続けて、「世界平和と日本の責任」の小見出し下、「広島と長崎に投下された原子爆弾は、今の水準からみれば小さなものでした。しかし、それですら、いかに言語を絶する惨禍であるかを知る日本国民として、人類を核兵器の脅威から解放することを強く訴えなければなりません。……」(199頁)

○教育出版
 ①核兵器廃絶……
 ②非核三原則
 ③核抑止論……有り
第2章3節単元2「日本の平和主義への期待」下、「平和の構築へ向けて」の小見出し下、
「日本は唯一の被爆国であり、これまで日本が掲げて守ってきた非核三原則は、憲法における平和主義の立場を示しているともいえます。また、広島と長崎は、世界の核軍縮運動の象徴ともなっています。不戦を誓った憲法第9条についても、さまざまな国のモデルとして期待を寄せる声が、国内外からもあがってきています」(67頁)。
・第6章3節「持続可能な社会の実現へ向けて」下、単元1「日本が世界にできること」下、「平和主義を貫く」の小見出し下、「日本は、世界で唯一の核兵器による被爆国であると同時に、非核三原則を掲げた国です。平和主義を貫き、第二次世界大戦後、一度も戦争を行わなかった日本は、世界から高く評価されています。これまでにも、国際社会における核兵器の廃絶を求める運動や、国連での議論において、重要な役割を果たしています
 一方、アメリカやロシアなどの核を保有する国は、条約を結んで核開発の縮小や核兵器の削減を試みてきました。しかし、核兵器不拡散条約(NPT)に加わらない国などもあり、核兵器や新たな兵器の開発の可能性は、今も消えていません。」(202頁)
 側注欄に「①攻撃しようと思っても、相手のもつ報復する力が大きければ、攻撃を思いとどまる場合があります。これを抑止力といい、日本の安全は、アメリカがもつ核兵器による抑止力に依存している面があります」(202頁)。
 ・続けて「日本の国際貢献」の小見出し下、「戦後の日本は、安定した民主主義のもとで安全な社会を実現し、世界有数の経済大国になりました。現在では、技術協力や経済援助を中心に、さまざまな国際貢献を行っています。」(202頁)。

○清水書院 
 ①核兵器廃絶……熱心に説かれる。
 ②非核三原則……
 ③核抑止論……なし
①②単元3「世界平和と日本の役割」下、「平和の構築をめざして」の小見出し下、
「日本は平和主義の理念のもとづき、……非核三原則を基本政策としてきた。……
 いま、世界は核兵器の廃絶に向けて大きな歩みをはじめており、唯一の被爆国としての日本の役割にも、大きな期待がよせられている」(91頁)。
第3編第1章第2節「国際社会の課題」下、単元1「軍縮へのとりくみ」下、「核兵器開発競争と軍縮のあゆみ」の小見出し下、米ソ核兵器の開発・配備競争→NPT→CTBT
・続けて、「拡散する兵器と廃絶へのとりくみ」の小見出し下、「こんにち、世界にはなお、数万発の核兵器が蓄積され、その一部が使用されただけで人類は滅亡するといわれる。また、軍事大国からの兵器の輸出がつづき、発展途上国のなかには軍備を拡大するうごきもみられる。
 さらに核兵器不拡散条約に加入せずに核実験をおこなったり、核兵器の保有が疑われる国もあらわれている。これらの核兵器が現実に使用される可能性もあり、国際的な不拡散のわくぐみを強めていくことが急務となっている」(163頁)。
・続けて、「核廃絶をめざすとりくみ」のサブ小見出し下、1ポイントおとして、「そのいっぽうで、原水爆禁止運動などの反核運動、非核地帯のこころみや非核自治体宣言など、核兵器の廃絶に向けたとりくみも世界に広がっている」(163頁)。
・続けて、対人地雷全面禁止条約などが書かれ、最後に「軍縮を推進し、国際社会に平和と安全をきずいていくことは、被爆体験をもち、憲法に平和主義をかかげる日本の重要な責務である」(163頁)。

○帝国書院
 ①核兵器廃絶……
 ②非核三原則
 ③核抑止論……有り
③第4部1章単元3「軍縮の動きと新たな問題」下、「冷戦がもたらしたもの」の小見出し下、
「第二次世界大戦後の冷戦のもとで、アメリカとソ連は核兵器の性能と数を競い合いました。広島と長崎における原爆がもたらした悲劇をみればわかるように、いったん核兵器が戦争で用いられたなら、これまでの戦争とは比較にならない規模の被害が生まれてしまいます。しかし冷戦時代には、核兵器をもつことで相手をおどして攻撃を防ぐという考え方(核抑止)が受け入れられていました。その結果、核戦争は起こりませんでしたが、世界を何度も破壊できるほどの核兵器がたくわえられてしまいました。さらに、イギリス、フランス、中国、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮など、米ソ以外の核保有国も生まれました(核拡散)。」(176頁)。
①③続けて、「軍縮に向けて」の小見出し下、「核兵器でおどすことで保たれる平和は不安定で、核戦争の生まれる危険が残ります。そのために、核兵器を制限する試みも続けられてきました。第1の試みが、核兵器を減らすための交渉(核軍縮交渉)です。……
 第2の試みは、新たな核保有国が生まれないように合意をつくる、核不拡散交渉です。具体的には核拡散防止条約(1968年、NPT)……核実験の禁止……しかし、核兵器の削減は思うように進んでいません。それどころか、今まで核兵器をもっていなかった国にも核兵器が広がったり、テロリストの手にわたったりする可能性もあります。」(176~177頁)。
・続けて、「平和的外交の必要性」の小見出し下、「核兵器は、戦争の被害を広げるばかりか、その開発と維持のために経済にも負担を与えます。しかし、国家間の対立がやわらげば、核兵器によって安全を保つ政策を変えることができます。核軍縮のためには軍事的な圧力ばかりでなく、緊張緩和のための交渉が不可欠なのです。北朝鮮政府に核放棄を求める6か国協議をはじめとして、現代の世界では核削減のために多くの外交交渉が行われています。広島と長崎で核兵器が用いられ、多くの市民が亡くなるいたましい経験を経た日本では、核兵器の廃絶を求める運動が続けられています。」(177頁)。
 ……抑止論に触れているが、半ば否定的に扱う。
①②第4部第1章単元7下、「唯一の被爆国としての立場」の小見出し下、「……唯一の被爆国として、日本は核兵器を世界からなくす呼びかけを続けてきました。まず核兵器を『つくらず、もたず、もちこませず』という非核三原則をかかげ、核をもたない立場を明らかにしてきました。さらに国連では、1994年から毎年、核兵器廃絶決議を提案してきました。この決議は賛成多数で毎年採択されていますが、とくに2009年の国連総会では、アメリカをふくむ170か国以上という多くの賛成が得られました。」(185頁)

○育鵬社
 ①核兵器廃絶……
 ②非核三原則
 ③核抑止論……なし。アメリカ軍の抑止力
第5章第1節単元6「世界平和の実現に向けて」下、「核兵器をめぐる問題」の小見出し下、米ソ対立、核拡散防止条約、次いで「一方で特定の国による核兵器の独占であると批判する国もあり、核兵器開発を行う発展途上国も出てきています。1990年代後半には、関係が悪化していたインドとパキスタンの両国が核実験を行い、世界に衝撃をあたえました。
 また、世界に核兵器やその開発技術をひそかに売り買いする闇市場があり、核開発技術をもたない国でも核兵器を入手できるため、テロへの使用も懸念されます。日本周辺でも、中国の核ミサイル配備や北朝鮮の核兵器開発などが軍事的緊張を高めています」(167頁)。
 続けて、「平和への取り組み」の小見出し下、「核兵器がこれ以上広がらないようにするため、国際原子力機関(IAEA)が監視を行い、疑いのある国に対しては調査をしています。……CTBT……
 こうした中で日本は、国連や国際機関、さらに各国との外交を通して、世界平和の実現にむけての大きな役割を担うことが、内外から期待されています」(167頁)。
・単元7「日本の安全と防衛」の下、「日米安全保障条約」の小見出し下、「戦後の日本の平和は、自衛隊の存在とともにアメリカ軍の抑止力に負うところも大きいといえます。」(168頁)

○自由社
 ①核兵器廃絶
 ②非核三原則
①②のことを、日本の生き残りを模索する意識から書いているか……
 ③核抑止論……有り
単元59「核兵器の脅威と向き合う」下、「核の国際的管理と拡散防止」の小見出し下、
 「国際社会は現在、核兵器を国際的に管理する体制を築いています(NPT体制)。その仕組みは、NPTで核兵器保有5か国以外の核保有を禁じ、その核保有国間での核軍縮を促進しています。他方、核を平和利用する国には、国際原子力機関(IAEA)の査察を義務づけ、核不拡散をはかります。これは5か国が核兵器を独占する不平等な体制ですが、核管理能力のある国に世界の平和と安全の責任をもたせるためのものです。しかし、インドやパキスタンが核を保有したり、2006年にはイランで核兵器開発の疑いが表面化し、2009 年には北朝鮮が2度目の地下核実験と長距離ミサイルの発射を強行したりと、核管理体制はゆらいでいます。わが国は、唯一の被爆国として非核三原則を宣言し、核廃絶を訴えています。しかし同時に、アメリカの「核の傘」のもとで安全が確保されているといわれています」(169頁)。
「核廃絶と核の脅威」の小見出し下、「近隣諸国の核武装の強化はわが国にとって大変な脅威です。このような脅威に立ち向かいながら、わが国の政府は世界平和のために、核廃絶を訴えています。」(169頁)
・単元64でも、核抑止論(180頁)。





"平成24公民教科書資料Ⅱ(11)核兵器問題" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント