「日本国憲法」の原則として7原則を示した―――『新しい公民教科書』の記述(3)

  公民教科書が立憲主義的な民主主義の思想に立脚しているか、それとも全体主義的な民主主義の思想に立脚しているかは、「日本国憲法」の原則の捉え方を見れば、一目瞭然である。いわゆる「日本国憲法」三原則説は、三権分立、立憲君主制などの立憲主義的な原則をわざわざ排除してつくられた原則である。前にも記したとおり、憲法学説が広げたというよりは公民教科書が広げた説であり、明確に全体主義的な民主主義を志向した学説である。菅首相と小沢一郎元民主党代表が三権分立を軽視ないし無視するのも、三原則説を信奉し、国民主権という民主主義的な原則だけを信奉した結果といえる。
 
 その意味で、『新しい公民教科書』はできる限り、立憲君主制や三権分立などの立憲主義的原則を加えた七原則説を記そうとした。ただし、検定の結果、検定申請本の「立憲主義が支える日本国憲法7原則」という言い方は、「立憲主義が支える日本国憲法の原則」に修正され、「立憲君主制の原則」は「象徴天皇の原則」に修正されている。また、検定申請本では「諸外国では、天皇を国家の元首とみています」と記していたが、「諸外国では、天皇が国家の元首とみられることがあります」に修正されてしまった。

  とはいえ、立憲主義的な権力分立などの原則を国民主権などと同じ原則として掲げたことは、画期的なことだといっておこう。

   以下、必要な個所を掲げておこう。

   
   単元18「日本国憲法の原則」  


   「日本国憲法の3原則」の小見出しに続いて、「立憲主義が支える日本国憲法の原則」との小見出し下、以下の記述。


  このような3原則を支えているのは、立憲主義の憲法としての原則です。

  その第1に、象徴天皇の原則にのっとっています。憲法に規定する天皇は象徴であり、政治権力はもちません。象徴である天皇は、日本の伝統的政治文化に従い、権力機関の長である内閣総理大臣を国会の指名に基づいて任命し、さらに、内閣の指名に基づいて最高裁判所長官を任命します。諸外国では、天皇が国家の元首とみられることがあります。

  第2に、法治主義の原則をとっています。憲法は国家が行う行為はすべて、「国権の最高機関」(41 条)である国会の定める法律に従わなければならないことを規定しています。第3に、日本国憲法は前文第1 段で、間接民主主義または議会制民主主義の原則を打ち立てています。第4に、憲法の条文が、第4章で国会、第5章で内閣、第6章で司法と分けて規定していることからもわかるように、三権分立の原則を採用し、立法、行政、司法の三権がたがいに抑制、均衡し合うことを予定しています。
                                                                           (52頁) 



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