資料・平成18~23年度中学校公民教科書分析(25)―――日本人拉致問題

Ⅲ、国際社会編

(25)日本人拉致問題

○分析項目
 ①分量・小見出し
 ②写真
 ③単なる外交問題としているか、人権問題又は主権問題としているか


○日本書籍新社
 ①分量・小見出し……見出しなし、1行
 ②写真……なし
 ③単なる外交問題

「第4章 世界平和と人類の共生を求めて」「1.世界平和の実現」の節見出し下、「日本とアメリカ・近隣諸国との関係」の単元見出し下、「今後の近隣諸国との関係」との小見出しの下、
「これからの日本は、安保条約という日米2国間のわく組みだけでなく、アジア・太平洋地域に広く目を向けた、平和的で多角的な協力関係をつくることが求められている。
とりわけ経済改革を急ピッチで進める中国をはじめとしたアジア近隣諸国との関係は大切である。しかし、朝鮮人民民主主義共和国による日本人拉致事件もあり、同国との国交正常化交渉は進んでいない。また、強制連行などで、日本へのアジア諸国のわだかまりも残っている。さらに、ロシアとは日本固有の領土である北方領土の返還問題が残っている」(147頁)。

○東京書籍
 ①分量・小見出し……単なる写真説明
 ②写真……有り
 ③単なる外交問題

「第5章 地球社会とわたしたち」「2 国際社会と世界平和」の節見出し下、「5 世界平和のために」の単元見出し下、
「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)から帰国した拉致被害者」の写真説明として、「2002年に行われた日朝首脳会談で、北朝鮮が日本人を不法に拉致した事件が問題になりました。被害者のうち5人とその家族は帰国しましたが、その他の被害者の安否が不明であるなどさまざまな未解決の問題があり、国交正常化交渉は進展していません」(165頁)。

大阪書籍
 ①分量・小見出し……小見出しなし、本文で2行
 ②写真……有り
 ③単なる外交問題

「第4編 現代の国際社会」「第1章 国際社会と人類の課題」「1節 国家と国際社会」の節見出し下、「現代世界の戦争と平和」の単元見出し下、「アジアの変化」の小見出しの下、
 「北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)は、経済的困難のなかで、核やミサイルの開発に乗り出し、国際危機を起こしました。拉致問題をふくむ北朝鮮問題の解決が、東アジアの大きな課題となっています」(167頁)。
・「北朝鮮の日本人拉致問題」の写真説明として、「拉致被害者の問題は未解決であり、日朝国交正常化に向けての交渉は進んでいません」(167頁)


○教育出版
 ①分量・小見出し……大コラムの小見出し扱い
 ②写真……有り
 ③単なる外交問題

「第4章 地球社会とわたしたち」の下、大コラム「社会を知る 冷たい戦争の後に残された課題」で、「国と国との対話」の小見出しの下、
「2002年9月、日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との首脳会談がピョンヤンでおこなわれました。この会談で、拉致問題についての小泉純一郎首相の強い抗議を受けて、北朝鮮は日本人を拉致していたことを認め、金正日総書記は謝罪し、再発の防止を約束しました。その結果、拉致された人々のうちの5人と、その家族の日本への帰国や来日が実現しました。しかし、いまだに行方がわからない拉致被害者も数多くいます。政府は引き続き拉致被害者についての調査を求めていますが、北朝鮮は不十分な回答しか示していません。
 現在、日本と北朝鮮の間にはさまざまな問題があることから、なかなか話し合いはすすんでいません。しかし、両国がともに生きていくためには、拉致の問題を解決したうえで、国交の樹立をめざして対話を広げていくことが大切です」(151頁)。
・「拉致被害者の横田めぐみさんとみられる写真を手にする両親(2004年)」の写真(151頁)

○清水書院
 ①分量・小見出し……小見出しなし、2行
 ②写真……なし
 ③単なる外交問題

「第1編 私たちの生活と政治」「第3章 平和主義」「1 平和主義と日本の国際的立場」の節見出し下、「世界平和と日本の役割」の単元見出し下、「諸外国との友好」の小見出しの下、
「しかし、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)とは国交がなく、日本人の拉致問題など未解決の課題もあり、国交正常化は難航している(②)」(96頁)。
・側注②で「日朝の国交正常化が模索され、2002年9月、日朝両首脳は会談で、北朝鮮による日本人拉致問題や安全保障の問題など両国間の諸課題について話し合い、これらを交渉で解決していくことに合意して『日朝平壌宣言』に署名した。だが、2005年9月現在、拉致問題の解決をめぐり、日朝の交渉は難航している」(97頁)


○帝国書院
 ①分量・小見出し……年表で出てくるのみ。
 ②写真……なし
 ③何の問題か不明
年表で「北朝鮮拉致被害者が帰国」(5頁)と記述。


○日本文教出版
 ①分量・小見出し……大コラムの小見出し扱い
 ②写真……有り
 ③人権問題

「第3章 人間の尊重と日本国憲法」の下、大コラム「ケーススタディ よりよい社会をめざして」で、リード文「人権へのとり組みの例を通して、わたしたちの社会を考えてみましょう。」をおき、「拉致問題へのとり組み」の小見出しの下、
「2002年9月の日朝首脳会談に関連して、北朝鮮は日本人拉致の事実を認め、被害者のうち5人の帰国が実現しました。
 1960年代後半から80年代を中心にあいついだ失踪事件のいくつかには、当初より北朝鮮の関与を疑う声がありました。しかし日朝間の国交がない中で、解決の糸口は見いだせませんでした。
 政府間の課題として国民に広く認められるまでには、1977年に新潟県で、学校帰りに無理やりつれ去られた横田めぐみさん(当時13歳)の家族をはじめとした、被害者家族の連絡会と支援者による、政治家やマスメディアへのねばり強いはたらきかけがあったのです」(62頁)
・「『北朝鮮による拉致被害者家族連絡会』と支援団体による集会に出席した、拉致被害者の5人(2003年、東京都)」の写真説明で、「北朝鮮側の発表で死亡とされた横田さんをはじめとする人々について、事実が確認できないなど、多くの問題が残されています」(62頁)。

○扶桑社
 ①分量・小見出し……本文では7行。大コラムの小見出し扱い
 ②写真……有り
 ③人権問題、主権問題としている

「第3章 現代の民主政治とこれからの社会」「第1節 日本国憲法の基本的原則」の節見出し下、「国際社会における人権」の単元見出し下、「人権をめぐる国際的な問題点」の小見出しの下、
「わが国でも、1970年代を中心に北朝鮮の工作員がしばしば国内に侵入し、多くの日本人を拉致するという事件が発生しており、2002(平成14)年の日朝首脳会談で北朝鮮側もこれを認めた。このような深刻な人権侵害に対して、政府は長いあいだ積極的な調査や交渉をしてこなかった。これに対し拉致被害者の家族たちはねばり強く解決に向けての努力を続け、今日では国民的課題として認識されるようになった」(93頁)。
・「第4章 世界平和と人類の福祉の増大」の下、大コラム「課題学習⑪ 主権が侵害されるとはどんな場合か調べてみよう」で、「日本人拉致問題」の小見出しの下、
「2002年9月17日、国交正常化交渉の再開に向けて北朝鮮を訪問した小泉首相に対して、北朝鮮の金正日総書記は、横田めぐみさん(拉致当時中学1年生)ら、日本人13人の拉致を認め、このうち8人が死亡、5人は生存していると述べた。その後示された証拠書類も証拠としての説得力にとぼしく、8人は生存しているのでは、という意見も強い。
 北朝鮮による日本人拉致はおもに1970年代から80年代にかけて、日本の海岸や都市、また海外の都市から北朝鮮の工作員(スパイ)や工作船によって連れ出されたもので、拉致された日本人は、北朝鮮工作員の日本語・日本文化などの教育係にされたという。
  (中略)
 拉致被害者は、日本政府が認定している11件16人のほかに数百名にのぼるといわれているが、北朝鮮はかたくなに『拉致事件は解決済み』という態度をとり続けている」 (143頁)。
・「日本外交の課題」の小見出しの下、「さらに、日米安全保障条約に大きく依存してきたわが国だが、北朝鮮の拉致問題解決など、独立主権国家として主体的な対応を求める声もあがっている」 (127頁)


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