資料・平成18~23年度中学校公民教科書分析(17)―――平和主義

Ⅱ、国内政治編

(17)平和主義
○分析項目
 ①戦争放棄書かれるか
 ②戦力放棄書かれるか
 ③「侵略」等と九条を関連づけているか
 ④自衛隊について


○日本書籍新社
 ①戦争放棄書かれるか……書かれている
 ②戦力放棄書かれるか……書かれている
 ③「侵略」と関連づけている
 ④自衛隊について……違憲説、政府による自衛隊の説明、自衛隊を認め憲法を改正しようとする説の三者を紹介
 ⑤備考……「戦争放棄の憲法を、多くの国民が支持してきた。」
     ……アンケートを見ると、1950年代までは、むしろ再軍備支持の方が多い。

①②③「第3章 人間尊重と現代の民主政治」「1.人間の尊重と日本国憲法の原則」の節見出し下、「日本国憲法の三原則」の単元見出し下、「平和主義の原則」の小見出しの下、
 「第二に、憲法は、第9条を設けて一切の戦争を放棄し軍備をもたないことを宣言した。日本が過去にアジア諸国に侵略戦争をおこなったことを反省し、再び戦争をおこさないと決意し、国際平和に貢献することを望んだからである。軍備をもたないことまでうたった憲法は、世界でも例がなかった。この原則は、今日の国際社会であらためてその重要性が注目されている」(96頁)。
③「第4章 世界平和と人類の共生を求めて」「1.世界平和の実現」の節見出し下、「戦争を放棄した日本」の単元見出し下、「戦争の傷跡」→「戦争放棄の日本国憲法」→「不戦の決意を新たに」の小見出し。「戦争の傷跡」の小見出し下、
 「戦争は多くの人命をうばい、建物を破壊しただけではない。生き残った人々の心にも容易にいやすことのできない深い傷跡を残した。戦争のない平和な社会をつくること、それが戦後の出発点に立った人々の固い決意であった。
 日本は、明治以来台湾や朝鮮などを侵略し、1931年から15年間におよぶ戦争で中国や東南アジアを支配し、太平洋地域を攻撃した。この戦争で、2000万人近い多くの生命がうばわれた。
日本自身も、戦場では2000万人以上の人命を失い、国内でも沖縄や広島・長崎の原爆による被害をはじめ、無差別爆撃などによる無数の被災者をだした。家を失い、食料や衣料や日用品の欠乏に苦しみ、病気にかかって死んだ人々もたくさんいる。アジア・太平洋地域でも、日本でも大きな被害であった。
・「戦争放棄の日本国憲法」の小見出し下、
 「悲惨な戦争への反省を、目に見えるかたちで表現したものが日本国憲法である。戦争放棄の憲法を、多くの国民が支持してきた。 
  日本国憲法は、その前文で『……政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにする』決意をのべ、第9条では、『国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する』と定めた。さらに、『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。』と定めている。
 これは、『……平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』ためである。
 しかし、こうした決意が、今日までじゅうぶんに実現されてきたとはいえない。東西対立や朝鮮戦争など、きびしい国際社会の現実や国際情勢のなかで、こうした決意も、戦力不保持の条項もゆさぶられてきたからである。ただ、この憲法の存在が、日本政府に徴兵制をとらせず、軍需産業や軍事力の無制限な拡大をおさえる役割を果たしてきたことも、また事実である」(142~143頁)。
・「不戦の決意を新たに」の小見出しの下、
 「東西の冷戦が終結し、軍事的脅威が弱まりつつあるいまだからこそ、第9条の存在は、国際的にも注目されるようになっている。
 また、アメリカはいまも核兵器の抑止力にたよる政策を維持している。しかし、日本は1971年、核兵器について『もたず、つくらず、もちこませず』という非核三原則を国会で議決し、その後もくり返しこの議決を確認している。日本の各地でも、非核平和都市宣言をする自治体がふえている。
 戦争放棄の決意こそ、わたしたちの先輩が身をもって残した平和のための遺産である。人間性の破壊につながる戦争を二度とおこさせないために、この決意を受けつぐことが重要である」(143頁)。
・「戦争中に朝鮮でおこなわれた日本語教育」の写真、「空襲で焼け野原となった東京(1945年)」の写真(142頁)
・「核兵器廃止を願う世界の世論」のアンケート調査、「『名誉ある73語』 憲法第9条を英訳すると73語になる。あるアメリカの市民団体は、これを『世界平和のための名誉ある73語』として紹介する意見広告を1994年夏にアメリカの有力新聞に発表した」(143頁)。
③④「平和憲法と自衛隊」の単元見出し下、「憲法第9条と自衛隊」→「安保条約と自衛隊」の小見出し。「憲法第9条と自衛隊」の小見出し下、
 「右ページの表を見てほしい。自衛隊は現在、世界第3位の軍事予算をもち、隊員数約24万人(2005年)に達する巨大組織である。日本の経済力が強くなるにつれて、アメリカ側の要求もあって、自衛隊の装備は年々強化されてきた。ただ、先の戦争で日本軍に被害を受けたアジア諸国のあいだでは、装備強化についての警戒心が根強くある。
 また、国連の平和維持活動(PKO)への参加により、日本も国際貢献を果たすべきだという政府の主張に沿って、自衛隊の海外派遣もはじまっている。
 自衛隊と憲法第9条をめぐる問題は、国民的規模で、くり返し議論されてきた。国民のあいだには、自衛隊が『戦力の不保持』や『戦争の放棄』を定めた憲法第9条の規定に違反するという意見がある。また反対に、自衛隊の存在を認め憲法そのものを改正しようとする議論もある。政府は、自衛隊は憲法第9条で禁止している『戦力』ではないという見解をとっている。 
  憲法第66条で、文民支配(シビリアン・コントロール)を定めている。法律上、自衛隊は『わが国の平和と独立を守り』『直接・間接の侵略からわが国を防衛する』ことをおもな任務とし、治安維持や災害の際の人命救助などのためにも出動することができることになっている」(144~145頁)。

○東京書籍
  ①戦争放棄書かれるか……書かれている
  ②戦力放棄書かれるか……書かれている
  ③「アジアへ被害」と関連づけている
  ④必要最小限の実力説で自衛隊を肯定する説と、その否定説を紹介

「第2章 人間の尊重と日本国憲法」「2 人権と日本国憲法」の節見出し下、「4 日本の平和主義」の単元見出し下、「平和主義と憲法第9条」→「自衛隊と日米安保条約」→「これからの平和」→「軍縮をめざして」の小見出し。
・「平和主義と憲法第9条」の小見出し下、
 「日本は、第二次世界大戦で他の国々に重大な損害をあたえ、また、自らも大きな被害を受けました。そこで、日本国憲法は、戦争を放棄して世界の恒久平和のために努力するという平和主義を基本原理としました。憲法第9条は、戦争を放棄し、戦力をもたず、交戦権を認めないと定めています」(40頁)。
・「自衛隊と日米安保条約」の小見出し下、
 「日本国憲法は『戦力』の不保持を定めていますが、日本は国を防衛するために自衛隊をもっています。自衛隊が憲法に違反していない理由として、政府は、主権国家には自衛権があり、憲法は『自衛のための必要最小限度の実力』をもつことは禁止していないと説明しています。しかし、平和と安全を守るためであっても、武器をもたないというのが日本国憲法の立場ではなかったかという意見もあります。
 また、日本は防衛のために、アメリカと日米安全保障条約(日米安保条約)を結んでいます。この条約は、他国が日本の領土を攻撃してきたときに、共同で対処することを約束しています。そのため日本は、アメリカ軍が日本の領域内に駐留することを認めています」(40頁)。
・「これからの平和」の小見出し下、
 「冷戦が終わり、大戦争が起きる危険性はほとんどなくなりました。しかし世界では、民族紛争、地域紛争が起こっています。こうしたなかで日本は、アメリカとの防衛協力を強化しています。2003年には、有事法制関連3法が成立しました。これは、日本が武力攻撃されるなどの緊急事態が起こったときに政府がとることのできることを定めた法律です。これらの防衛態勢の整備や強化が、世界平和や日本の安全にとってふさわしいものかどうか疑問視する声もあります
 2004年には、イラクの復興支援のため、自衛隊がイラクへ派遣されました」(41頁)。
・「軍縮をめざして」の小見出しの下、
 「日本は1945年、広島・長崎に原爆を投下され、多くの犠牲者を出しました。核兵器は、大量の人たちを一瞬のうちに死傷させ、のちの世代の生命や健康にまで影響をおよぼす破壊兵器です。日本は、核兵器を『持たず、つくらず、持ちこませず』という非核三原則を守ってきました。核兵器の廃絶をうったえ、軍縮による世界平和をアピールすることこそが、日本の使命です」(41頁)。
・「世界の軍事支出」の表(日本は2位)(40頁)
・「沖縄と基地」の小コラム(41頁)
・「平和の礎」の写真説明で、「沖縄戦の激戦地、摩文仁の丘にあります」(41頁)

○大阪書籍
  ①戦争放棄書かれるか……書かれている
  ②戦力放棄書かれるか……書かれている
  ③「侵略」と関連づけている
  ④自衛隊について……必要最小限の実力説で自衛隊を肯定する説と、限度をこえていると批判する説を紹介

「第1章 個人の尊重と日本国憲法」「3 日本の平和主義」の節見出し下、「日本国憲法の平和主義」の単元見出し下、「前文と第9条」→「自衛隊と自衛権」の小見出し下、
・「前文と第9条」の小見出し下、
 「わが国は、日中戦争や第二次世界大戦を通じて、アジア・太平洋の広い地域を侵略し、多くの人々に大きな被害をあたえました。またわが国も、戦場で、そして国内で多くの死傷者を出し、しかも、世界で初めて原子爆弾の惨禍をこうむりました。
 このような苦い経験から、日本国憲法は、二度と戦争を起こしてはならないという固い決意のもとに、徹底した平和主義をとり入れました。まず、前文では、『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにする』との決意を示すと同時に、『恒久の平和を念願し』、諸外国と協調しながら『われらの安全と生存を保持』することを宣言しています。
 さらに第9条では、『国権の発動たる戦争と、武力に威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。』と定めています。また、『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。』とも定めて、前文で示した決意をさらに徹底しようとしています。外国の憲法のなかには、侵略戦争の放棄についてははっきりうたうものもみられますが、日本国憲法第9条は、戦争ばかりでなく、戦争にいたらない武力の行使や威嚇までも放棄するとしているのだから、自衛のための戦力も放棄した完全非武装の道を選んだと理解されてきました」(62~63頁)。
・「自衛隊と自衛権」の小見出し下、
 「1950年に朝鮮戦争が始まると、それまでのような安全保障に対する見方が変わりました。連合国軍総司令部の指示によって警察予備隊が設置され、そして、保安隊、さらには自衛隊へと改められました。それは、主権国家には自衛権があり、そのための防衛力をもことは憲法は禁じていないという見解にたったものです。自衛隊は、『わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つ』(自衛隊法)目的でつくられ、今日にいたっています。
 政府は、自衛隊は自衛のための必要最小限度の実力であって、第9条の禁止している『戦力』ではない、という立場にたっています。これに対して、第9条は武力によらない自衛権だけを認めているのだから、自衛隊は憲法に違反している、とか、現在の自衛隊の装備をみると自衛のための最小限度の実力をこえていると、といった意見があります」(63頁)。
・「戦争放棄に関する意識調査(2003年刊、世論調査年鑑)」(62頁)。
・「被爆直後の広島市内のようす」という写真(62頁)。
・「主な国の憲法の戦争放棄条項」(63頁)
・「自衛隊の演習のようす」の写真(63頁)

○教育出版
  ①戦争放棄書かれるか……書かれている
  ②戦力放棄書かれるか……書かれている
  ③「侵略」や「アジアへ被害」ということと関連づけていない。
  ④自衛隊について……政府は必要最小限度の実力説をとると説明

「第2章 わたしたちの暮らしと民主政治」「1 暮らしのなかに生きる憲法」の節見出し下、「日本国憲法の三つの柱」の単元見出し下、「平和主義」の小見出し下、
 「日本は、第二次世界大戦での悲惨な経験を反省し、平和主義の徹底を決意しました。日本国憲法の第9条では、すべての戦争を放棄すること、戦力をもたないこと、交戦権を認めないことを定めています。一方で、戦後創設された自衛隊をめぐっては、さまざまな議論がなされています。政府は、自衛隊の存在を認め、自衛隊は『自衛のための必要最小限度の実力』であって、第9条の定める『戦力』ではないという考え方にたっています」(35頁)。


○清水書院
  ①戦争放棄書かれるか……書かれている
  ②戦力放棄書かれるか……書かれている
  ③「他の国々に被害」と関連づけている
  ④自衛隊について……政府は必要最小限度の実力説をとると説明
          そして、違憲説と改憲説を紹介
  ⑤備考……戦争放棄を大部分の国民が支持した事実はない。何ともでたらめな。

①②③「第1編 私たちの生活と政治」「第1章 人権の尊重と日本国憲法」「1 民主政治の成立」の節見出し下、「日本国憲法の成立と基本原理」の単元見出し下、「日本国憲法の原理」の小見出し下、
 「三つめの原理が平和主義である。人びとを不幸におとしいれた戦争をふたたびおこさないことは、新しい憲法の大きな使命であった。戦争をしないために、日本は今後、戦力をもたず国の交戦権を認めないこと、また武力で外国を脅すこともしないことを誓ったのである」(39頁)。
・「第3章 平和主義」「1 平和主義と日本の国際的立場」の節見出し下、「戦争の惨禍と日本国憲法の平和主義」の単元見出し下、「戦争の惨禍」→「平和主義」の小見出し下、
 「戦争の惨禍」の小見出し下、
 「人間が人間として生きていくためには何よりも、戦争のない世界、平和な世界でなければならない。戦争は、人間自身がひきおこす非人間的な破壊と殺し合いである。戦争は人を傷つけ、命をうばい、家や街さらには自然環境を破壊し、人の心まで壊してしまう。これまで戦争がくり返されるたびに、人びとは戦争の惨禍を心にきざみ、平和を求めてきた。
 日本は、第二次世界大戦において、他の国々の多数の人びとを殺傷し、莫大な被害をあたえた。またわが国の多くの人びとが戦場で兵士として死傷し、戦闘に加わらなかった無数の人びとも、傷つき命を失った。
 さらに、原子爆弾が広島と長崎にもたらした大きく深い惨禍によって、現代の戦争がすべてを破壊してしまうことを思い知った」(92頁)。
・「平和主義」の小見出し下、
 「この認識と反省のうえに、日本国憲法は戦争放棄を定め、国民の大多数がこれを支持した。憲法前文は、『われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する』と宣言した。そして『日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』と、恒久平和のために努力する平和主義を基本理念としている。
 この理念を具体化するため、第9条では、『国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する』と定め、戦争の放棄を明確にした。さらには、『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない』と、戦力の不保持と交戦権の否認をも定めた。この徹底した平和主義の規定は、世界でも初めてのことであった。
 この決意も、戦力不保持の条項も、第二次世界大戦後のきびしい国際情勢のなかで、十分に実現できたわけではない。しかし、憲法の平和主義のもとで、徴兵制が廃止され、軍隊や軍事費の歯止めのない拡大がおさえられ、さらに被爆体験をふまえた非核三原則が政府の基本政策となるなど、国のありかたが定められてきた」(93頁)。
・「平和の礎(沖縄県糸満市)」の写真、「原爆ドーム(広島県広島市)」の写真(92頁)
・「焼けあとにむしろやトタンで小屋をつくり生活する人びと」の写真(93頁)
・「戦争の放棄」と題して、『あたらしい憲法のはなし』から引用(93頁)

④「自衛隊と日米安保条約」の単元見出し下、「自衛隊の成立」の小見出し下、
 「第二次世界大戦後、日本はアメリカなどの連合国の占領下におかれた。ところがまもなく、アメリカを中心とする西側陣営と、ソ連を中心とする東側陣営とがきびしく対立する冷戦が始まった。
 1950(昭和25)年に朝鮮戦争がおきると、連合国軍の最高司令官は、日本政府に警察予備隊をつくるように指示した。警察予備隊は保安隊と改められ、1954年に『わが国を防衛することを主たる任務とする』自衛隊に改編された」(94頁)。
・続けて「憲法第9条と自衛隊」のサブ小見出し下、1ポイント落として、
 「日本国憲法は『戦力』の不保持を定めている。政府は憲法制定当初、それを『一切の軍備』の不保持を定めたものとして理解していた。しかし、自衛隊の創設によって、その理解に矛盾が生じた。そのため、政府は『自衛のための必要最小限度の実力は戦力にあたらない』という解釈を採用することにより、自衛隊は憲法第9条と矛盾しないとして、今日にいたっている。
 それに対して、いっぽうで、自衛隊は憲法に違反するという判例や学説があり、また自衛隊の縮小を唱える意見がある。他方で、憲法第9条を改正しようとする主張も根づよく、議論が続いている」(94頁)。


○帝国書院
  ①戦争放棄書かれるか……書かれている
  ②戦力放棄書かれるか……書かれている
  ③「侵略」や「アジアへ被害」ということと関連づけていない
  ④自衛隊について……政府の自衛のための必要最小限度の実力説と、
          第9条違反説の紹介

①②③「第3部 私たちの民主政治」「第1章 日本国憲法について考えよう」「②日本国憲法とは」の単元見出し下、「日本国憲法の三大原則」の小見出し下、
 「さらに、第二次世界大戦の反省にたって平和主義を選択し、戦争を放棄し、戦力をもたないことを宣言しました」(89頁)。
・「⑤平和主義の選択」の単元見出し下、「平和主義にこめられた願い」→「自衛隊と日本国憲法」の小見出し。「平和主義にこめられた願い」の小見出し下、
 「日本国憲法は、ふたたび戦争の惨禍がおこることのないようにすること(前文)を誓い、戦争を放棄し、戦力を保持しないこと(第9条)を定め、平和主義を宣言しました。日本は平和主義のもと、第二次世界大戦後50年以上、一度も戦争にまきこまれることなく平和を守ってきました。
 世界の各地では、第二次世界大戦後も戦争が続いています。核兵器のように、人類を滅亡させる可能性のある兵器も出現しています。そのような状況のなかで、世界平和を追求する方法として、平和主義は現実的な選択肢になっています」(94頁)。
・「自衛隊と日本国憲法」の小見出し下、
 「日本には自衛隊が存在しています。自衛隊は、第二次世界大戦後にアメリカとソ連の対立(冷戦)が激しくなるなか、1950(昭和25)年の朝鮮戦争をきっかけに連合国軍総司令部(GHQ)の指示でつくられた警察予備隊が、その前身です。
 自衛隊は、日本の安全を保つことを任務として発足しました。冷戦の時代を通して、自衛隊はその人員や装備を増強してきました。しかし、戦争の放棄と戦力の不保持、交戦権の否認を定めた憲法第9条に反するのではないか、平和主義に反するのではないかという議論は、冷戦終結後の今日も続いています。政府は、自衛隊は自衛のための必要最小限の実力組織にすぎないから戦力にあたらないし、戦争放棄といっても自衛権を放棄したわけではないので違憲ではない、としています。
 日本の防衛費は、平和主義をとっていることで他国に比べ国内総生産(GDP)や予算にしめる割合が低く、そのおかげで戦後に脅威的な経済発展を実現できた面があります。しかし、防衛費の総額では世界有数の規模になっています。
 また近年では、日本が経済規模に応じた国際貢献をする上で、憲法の平和主義や自衛隊のあり方が議論されています」(95頁)。
・「コスタリカの憲法」の小コラム(94頁)
・「火垂るの墓の一場面」の絵(94頁)
・「防衛費の移りかわり」のグラフ、「各国の軍事費(防衛費)の比較」(95頁)

○日本文教出版
  ①戦争放棄書かれるか……条文引用のみ
  ②戦力放棄書かれるか……条文引用のみ
  ③「侵略」や「アジアへ被害」ということと関連づけていない
  ④自衛隊について……自衛隊をめぐる法解釈の話は出てこない。

「第7章 かけがえのない地球と人類の共生」「①国際政治の動向と日本」の節見出し下、「平和憲法と日本の役割」の単元見出し下、「日本国憲法の平和主義」→「日本の安全保障と自衛隊」の小見出し。「日本国憲法の平和主義」の小見出し下、
 「日本国民は、日中戦争や第二次世界大戦を経験したのち、平和のたいせつさをはっきり自覚して、二度と戦争をおこさないという決意を、日本国憲法の中にうたった。まず、憲法の前文で、『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意』するとともに、全世界の人々が『平和のうちに生存する権利を有することを確認』し、平和を保つことによって、『国際社会において、名誉ある地位を占めたい』と宣言している。そして第9条では、その目的を実現するため、戦争を『国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する』と定めている」(152頁)。
・「日本の外交」の小見出し下、
 「日本の外交は、憲法に定める平和主義のもと、非核三原則をかかげてすすめられてきた。
 日本の外交は具体的には、対米協調、アジア重視、国連中心主義を基本としている。なかでもアメリカとの協調関係はもっとも重要な課題とされてきた。日米安全保障条約を結び、アメリカ軍の駐留と基地の使用を認めている。
 アジア諸国との関係は、第二次世界大戦後、戦争賠償の支払いや経済協力などにより改善されてきた。しかし、戦争被害者に対する個人補償問題など、残された課題もある。 国連中心主義については、国連の一員として相応の役割を果たしつつ、国連改革などを通して新しい国連のありかたを築く指導力が求められている」(152~153頁)。
・「日本の安全保障と自衛隊」の小見出し下、
 「自衛隊は、1954(昭和29)年に、自衛隊法によって『わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つ』ために創設された。1991(平成3)年の湾岸戦争をきっかけに、国際連合の平和維持活動(PKO)に自衛隊を派遣する法案が国会に提出され、自衛隊の海外派遣が憲法の平和主義に適合するのかどうか、活発な論議がおこなわれた。その結果、1992年に『国連平和維持活動協力法(PKO法)』が成立し、カンボジアに自衛隊が派遣された。
 さらに2001年9月のアメリカでの同時多発テロ事件以降、アフガニスタン、イラクへとアメリカを中心として軍隊が送られた。日本はイラクに対し、旧政権の崩壊後、イラク復興特別措置法により、自衛隊を復興支援のため派遣した。紛争中の国への自衛隊の派遣については、憲法9条との整合性から疑問視する声もあるが、自国の平和のみの追求から脱して、世界平和へ貢献するべきであるとの意見もある」(153頁)。
・1ポイント落として、「わが国が、非核三原則のもと、平和がおとずれるのを待つだけではなく、平和な世界を築くためには、どのような役割を果たしたらよいか、各自で考えなければならない」(153頁)。
・「原爆ドーム」の写真、「謝罪や補償を求めて東京地方裁判所に入廷する韓国の人たち」の写真、「日朝首脳会談」の写真(152頁)、「イラクへ派遣された自衛隊(イラク、サマワ、2004年)」、「テロにより炎上するビル(アメリカ、ニューヨーク、2001年9月11日)」(153頁)

○扶桑社
  ①戦争放棄書かれるか……条文引用のみ
  ②戦力放棄書かれるか……書かれる
  ③「侵略」や「アジアへ被害」ということと関連づけていない
  ④自衛隊について……政府の自衛のための必要最小限度の実力説と、第9条違反説の紹介。しかし、自衛隊は国民に支持されているとする。
  ⑤備考……「平和主義は国民にむかえ入れられた」とは、どういう証拠があるのか。
     集団的自衛権を認める解釈変更の意見もあるとする。

「第3章 現代の民主政治とこれからの社会」「第1節 日本国憲法の基本的原則」の節見出し下、「25 平和主義」の単元見出し下、「自衛隊の誕生」→「平和をめぐる問題点」の小見出し。
「自衛隊の誕生」の小見出し下、
 「戦後、連合国軍は日本に非武装化を強く求め、その趣旨を日本国憲法にも反映させることを要求した。
 日本国憲法前文はには『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』と記されている。また第9条では『国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する』とし、さらに軍隊や交戦権をもつことを放棄すると宣言している。
 日本国憲法には、武装放棄の考え方が強くもりこまれている。第二次世界大戦によるはかりしれない被害が戦後日本の出発点であり、この他国に例を見ない平和主義は国民にむかえ入れられた。 
  しかし1950(昭和25)年には朝鮮戦争が始まると、朝鮮半島に軍事力をふり向けざるを得なくなった連合国軍は、手薄となる日本の防備を補うため、日本政府に警察予備隊の設置を命じた。警察予備隊は、その後規模と装備を増強し、保安隊を経て1954(昭和29)年には自衛隊として発足した。
 国際情勢と占領政策の変化によって、憲法に対する考え方も大きな影響を受けることになったのである」(76頁)。
・「平和をめぐる問題点」の小見出し下、
 「歴史をみると、国際的な紛争は政府が統制力を失ったり、非民主的な勢力が支配したりする地域に多発していることがわかる。各国は国力に応じた一定の戦力をもつことで、平和を維持しようとしており、国際法では自衛権は、その国の主権の一部と考えられている。
 わが国の自衛隊は、装備・組織・防衛費などの点では世界有数であり、これを軍とみなしている外国も多い。近年、わが国は自衛隊を中心に国連平和維持活動(PKO)にも積極的に取り組み、しだいに責任ある国際社会の一員として認められるようになってきた。また国内でも、1995(平成7)年に起こった、阪神・淡路大震災など、大きな災害時の救援活動を通じて、ますます重要な役割を果たすべき存在として、大きな期待が寄せられている。
  一方、国防という自衛隊本来の任務をじゅうぶんに果たすためには、現在の法律では有効な対応がむずかしいといった問題点が指摘されている。2003(平成15)年には武力攻撃事態対処法など、有事関連三法が制定された。また戦後のわが国の平和は、日米安全保障条約に基づいて国内に基地をおく米軍の抑止力に負うところも大きい。1999(平成11)年には周辺事態法が制定され、自衛隊と米軍との協力・支援体制が強化されることになった」(77頁)。
・「憲法論議と第9条」の小コラム下、
 「日本国憲法第9条は一切の戦争を放棄し、どのような戦力ももたない平和主義の規定であるという考えがある。このような考えから、自衛隊は憲法に違反しているとする主張も長く唱えられてきた。
 しかし、国民の多くは今日、『自衛隊は自国の防衛のために不可欠な存在である』ととらえている
 政府は、自衛のための最低限の武力は第9条の禁止する『戦力』にはあたらないとして、自衛隊を日本国憲法に基づいた存在と位置づけてきた。
 他方、自衛権は国際法上、主権国家に認められた権利であり、日本国憲法における自衛隊の位置づけが不明瞭ならば、憲法の規定自体を変えるべきであるという意見もある。
 さらに自衛隊がより国際的な責任を果たせるよう、現在は『権利を保持するが行使できない』(内閣法制局)とされる集団的自衛権(同盟国が侵略された場合、2国以上が協力して侵略を排除する権利)を『行使できる』と解釈をかえるべきだという主張もある。 
 日本国憲法第9条と自衛隊の関係については、このようにさまざまな意見が対立している。
 自衛隊の位置づけを含めて21世紀のわが国の憲法のあり方が議論をよんでいる」(77頁)。
・「警察予備隊設置」の写真、「今や自衛隊は海外での復興支援でも活躍するようになっている」の説明文の下、自衛隊の写真(76頁)

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