資料・平成18~23年度中学校公民教科書分析(12)―――国民主権の意義

国民主権自体に関する記述だけではなく、比較のためもあり、天皇に関する記述も本文に関しては全文掲げることにする。


  Ⅱ、国内政治編

  (12) 国民主権の意義

○分析項目
①国民とは何か
②主権とは何か
③国民主権の意義


○日本書籍新社
 ①国民とは何か……天皇は除かれている?
 ②主権とは何か……権力的意義
 ③国民主権の意義……「国民自身が政治をおこなうことにしたもの」

「第3章 人間尊重と現代の民主政治」「1.人間の尊重と日本国憲法の原則」の節見出し下、「日本国憲法の三原則」の単元見出し下、「国民主権の原則」の小見出し下、全文引用
 「憲法は、まず主権が国民にあると宣言し、天皇は一切の政治権力をもたない象徴であると定めた。これは、戦前に天皇の名のもとに軍部や政府が一方的に政治をおし進め、戦争を引き起こしたことに対する反省から、国民自身が政治をおこなうことにしたものである。この原則を実際に生かすために、憲法は、国民の代表からなる国会に大きな権限を与えただけでなく、地方自治も保障した」(96頁)。
 ・続けて、1ポイント落として、「新たに日本国の象徴であり国民統合の象徴となった天皇は、国会の指名にもとづいて内閣総理大臣を、内閣の指名にもとづいて最高裁判所長官を任命する。そのほか天皇は、憲法第7条に定められた国事行為のみをおこなうようになった」(96頁)。

○東京書籍
  ①国民とは何か……天皇は除かれている 
  ②主権とは何か……権力的
  ③国民主権の意義……「国の政治の決定権は国民がもち」

「第2章 人間の尊重と日本国憲法」「2 人権と日本国憲法」の節見出し下、「3 日本国憲法の基本原理」の単元見出し下、「日本国憲法の制定」→「日本国憲法」に続く「国民主権と民主主義」の小見出し下、全文引用
 「国民主権とは、国の政治の決定権は国民がもち、政治は国民の意思にもとづくという原理です。それは、民主政治とほぼ同じ意味です。
 例えば、文化祭でのクラス発表のテーマを決めるときは、クラスのみんなが意見を出し合って決めます。民主主義では、一人ひとりの意見を尊重し、話し合いによって、全体の意思を決定していきます。国の政治でも、国民が政治に参加し、「国民による政治」が行われてこそ、民主政治といえます。民主政治では、国民の意思を政治に反映させることがとても重要になります。議会制のもとで、わたしたちが主権者として政治に参加するには、意見表明や住民運動などの方法もありますが、重要なのが選挙権です」(39頁)。
・続いて、「『象徴』としての天皇」という小見出しの下、全文引用
 「日本国憲法では、天皇は、主権者ではなく、日本国と日本国民統合の『象徴』となりました(憲法第1条)。天皇は政治についての決定権をもたず、憲法の定める国事行為のみを行います。天皇の国事行為には、すべて内閣の助言と承認が必要です」(39頁)。

○大阪書籍
  ①国民とは何か……天皇は除かれている
  ②主権とは何か……権力的
  ③国民主権の意義……「政治のあり方を最終的に決めるのが国民であること」

「第1章 個人の尊重と日本国憲法」「1 法に基づく政治と日本国憲法」の節見出し下、「日本国憲法の基本原則」の単元見出し下、「三つの基本原則」に続く「国民主権」の小見出し下、全文引用
 「政治のあり方を最終的に決めるのが国民であることを、国民主権といいます。日本国憲法の前文は、『ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。』と、はっきり国民主権の原則を打ち出しています。
 国民主権の原則により、国を治めるしくみが大日本帝国憲法の時代とは大きく変わりました。それまで主権者だった天皇は、国の政治に関して力をもたない象徴となりました。そして、大日本帝国憲法のもとでは、天皇に対して責任を負っていた議会や内閣は、日本国憲法のもとでは、主権者である国民に対して責任を負うことになりました。また、無国民主権のもとでは、国民が政治参加してその意見を反映させるための参政権や、政治についての意見を発表するための表現の自由が、とても重要な権利になります」(34頁)。
・続いて「憲法の改正」に続く「象徴としての天皇」の小見出し下、全文引用
 「日本国憲法第1条は、天皇が日本国と日本国民統合の『象徴』で、この地位は、主権者である国民の総意に基づくと定めています。これは、天皇は主権者ではなく、国の政治に関する権能をいっさいもたないということをあらわしています。
 天皇は憲法に定められた国事行為のみを行います。これらの国事行為は、形式的・儀礼的な行為であり、内閣の助言と承認によって行い、内閣が責任を負います」(35頁)。

○教育出版
①国民とは何か……天皇は除かれている
②主権とは何か……権力的
③国民主権の意義……「国の政治を最終的に決めるのは国民であるということ」

「第2章 わたしたちの暮らしと民主政治」「1 暮らしのなかに生きる憲法」の節見出し下、「日本国憲法の三つの柱」の単元見出し下、「基本的人権の尊重」に続く「国民主権」の小見出し下、全文引用
 「国民主権とは、国の政治を最終的に決めるのは国民であるということを意味します。国民は、具体的には、選挙での投票や選挙された代表者を通じて、政治的な意思の決定をおこないます。ただし、憲法改正のように特別に重要な問題に関する場合は、国民が直接、投票に参加する方法がとられています。
 日本国憲法では、天皇は主権者ではなく、日本国および日本国民統合の『象徴』となりました。天皇は国事に関する行為(国事行為)のみを行い、国の政治の決定権はもっていません。また、その行為には内閣の助言と承認が必要とされています」(34~35頁)。

○清水書院
①国民とは何か……天皇は除かれている
②主権とは何か……権力的
③国民主権の意義……「政治について決定する最高の権力を国民自身がもつ」

「第1編 私たちの生活と政治」「第1章 人権の尊重と日本国憲法」「1 民主政治の成立」の節見出し下、「日本国憲法の成立と基本原理」の単元見出し下、「日本国憲法の原理」の小見出し下、国民主権に関して全文引用
「こうした基本的人権を最大限に尊重する政治は、政治について決定する最高の権力を国民自身がもつことによって、もっとも確実に実現できる。そこで定められたのが、第二の柱となる国民主権の原理であり、最高権力をもつ国民の選んだ代表者が、国民のための政治を実現していく道すじが明確に示された」(39頁)。
・続けて1ポイント落として、「天皇の地位」のサブ小見出し下、全文引用
 「天皇は、主権者である国民の総意にもとづいて、日本国および日本国民統合の象徴という地位をもつことになった。こうして、天皇は国の政治にかかわる権力はいっさいもたないことになり、儀礼や儀式など憲法が定める国事行為のみを行うことになった」(39頁)。

○帝国書院
①国民とは何か……天皇は除かれている
②主権とは何か……権力的
③国民主権の意義……「日本国のあり方を最終的に決めるのは国民である」

「第3部 私たちの民主政治」「第1章 日本国憲法について考えよう」「②国民主権とその実現」の単元見出し下、「国民主権への道のり」→「国民主権とその実現」の小見出し
・「国民主権への道のり」の小見出し下、全文引用
 「大日本帝国憲法が制定される前の日本では、国民の権利は憲法によって認められていませんでした。その後、大日本帝国憲法が制定され、欧米諸国の憲法にならって国民の権利が認められました。しかし天皇が主権をもち、国民は天皇のもとの『臣民』とされたため、国民の権利は法律の範囲内に限られたものだけでした。
 これに対し日本国憲法は、日本国のあり方を最終的に決めるのは国民であるとして国民主権を定め、基本的人権を保障しました。天皇は日本国と日本国民統合の象徴とされました。天皇は国の政治を行う権限をいっさいもたず、儀礼的な国事行為を行います。それらの行為はすべて内閣の助言と承認が必要で、内閣が責任を負います(第3条)。国民主権の原則に従い、国権の最高機関である国会の議員も、国民の選挙によって選ばれ、国会の指名する内閣総理大臣によって内閣が組織されます」(92~93頁)。
・続いて「国民主権とその実現」の小見出し下、全文引用
 「国民主権は、国民が政治に参加することによって実現されます。
 政治参加の中心的な方法は、選挙で自分たちの代表を選ぶことです。選挙で選ばれた国民の代表が議会をつくり、国のあり方を決めることを代議制(間接民主制)とよびます。社会が大規模になり、すべての国民が一か所に集まって話し合うことは不可能なため、ほとんどの国でこの方法がとられています。
 しかし、国民が政治に意思を直接反映させる方法(直接民主制)もあります。国の政治では憲法改正の国民投票や国民審査など限られていますが、地方自治ではかなり認められています。
 また、地域の住民運動に参加することも政治参加の方法です。政治の動きに関心をもち、国の課題について自分なりに考えることも、広い意味での政治参加といえるでしょう。国民主権は、国民が政治に参加しなければ名ばかりに終わってしまいます。私たち一人ひとりが積極的に政治に参加することが求められています」(93頁)。

○日本文教出版
①国民とは何か
②主権とは何か
③国民主権の意義……「国民による政治」

「第3章 人間の尊重と日本国憲法」「①日本国憲法の原則」の節見出し下、「日本国憲法の特色」の大見出し(単元見出し)下、「日本国憲法の三大原則」→「国の最高法規としての憲法」→「象徴としての天皇」の小見出し。「日本国憲法の三大原則」の小見出し下、全文引用
 「日本国憲法は、戦前の天皇主権を変えて国民主権とし、人類の人権獲得の歴史を受けつぐものとして、人権の保障をいちじるしく強化している。さらに多くの犠牲者を出した戦争と戦前の軍国主義の反省にもとづいて、戦争を放棄して平和を強く求めている。
 人権尊重を中心にすえている日本国憲法は、基本的人権の尊重、国民主権、平和主義を三大原則としている。これらは、人類の永年の努力の成果として生まれたものである」(44頁)。
・「象徴としての天皇」の小見出し下、
 「日本国憲法では、天皇は『日本国の象徴であり日本国民統合の象徴』とされている(憲法1条)。天皇は、政治についての決定権をもたず、憲法の定める国事行為のみをおこなう(憲法7条)。天皇の国事行為には、法律や条約の公布、国会の召集や衆議院の解散、栄典の授与、外国の大使・公使の接受などがあり、すべて内閣の助言と承認にもとづいておこなわれる。
 天皇が政治と切りはなされ(憲法3・4条)、象徴としての地位におかれるようになったのは、日本国憲法の特色といえる」(44~45頁)。
・「日本の政治」の図で、国民主権を国民による政治と位置付けている(44頁)。

○扶桑社
①国民とは何か……天皇は除かれているか否か、不明。
②主権とは何か……一応、権力的。しかし、結論的にはわからない。
③国民主権の意義……不明

「第3章 現代の民主政治とこれからの社会」「第1節 日本国憲法の基本原則」の節見出し下、「24 国民主権」の単元見出し下、「国民主権」→「国民統合の象徴としての天皇」の小見出し。
・「国民主権」の小見出し下、全文引用
 「日本国憲法はその前文で『主権が国民に存すること』を宣言している。
 主権とは外国からの干渉を受けず、その国のあり方を最終的に決定する力のことであり、その中には憲法自体を改正する権限も含まれている。国民主権は主権在民ともいわれる。なお、この場合の国民とは、私たち一人ひとりのことではなく、国民全体をさすものとされている。
 実際に国政をあずかっているのは国会議員や、国会から生まれた内閣であるが、議員は国民による選挙によって選ばれることから、政治の根本は国民がにぎっていることになる。現在でも衆議院議員は代議士とよばれており、議員は国民になりかわって政治をあずかる立場にあることを示している。憲法の前文はこのことを、『国政は、国民の厳粛な信託によるもの』であり、『その権力は国民の代表者がこれを行使し』と表している。
 一部の専制者や独裁者に政治をゆだねるのではなく、時間と人手をかけ、多くの人々の声を政治に反映させることが、民主主義の基本である。それが結果として国をよりよい方向に導いてゆくことを、私たちは歴史から学んできた。また国民には、常に主権者としての自覚と責任が求められていることを忘れてはならない」(74頁)。
・続けて「国民統合の象徴としての天皇」の小見出し下、全文引用
 「皇室(天皇家)は、千数百年前にさかのぼるわが国の成り立ちや、その後の歴史に深くかかわっている。皇室は国の繁栄や人々の幸福を神々に祈る祭り主として、古くから国民の敬愛を集めてきた。
 そのような歴史から生まれた天皇の権威は、各時代の権力者に対する政治上の歯止めとなり、また国家が危機をむかえたときには、国民の気持ちをまとめ上げる大きなよりどころともなってきた。
 明治時代になると、強い力で国をたばねていく必要から、天皇には大きな政治権限があたえられていた。しかし実際には国民の精神的な中心としての役割が大きく、天皇の名の下に政治を行う為政者に対し、高い格調と責任を求める役割を果たしてきた。
 日本国憲法では、天皇は日本国及び国民統合の象徴(1条)と位置づけられ、内閣の助言と承認によって国事行為を行うとされている。また『この地位は主権の存する日本国民の総意に基く』(1条)として、天皇と国民との伝統的な結びつきが確認されている。
 天皇は直接政治にかかわらず、中立・公正・無私な立場にあることにより、古くから続く日本の伝統的な姿を体現し、国民の統合を強める存在となっている」(75頁)。



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