不正検定問題検討16――日中国交正常化の記述……全ての他社と同じことを書き欠陥箇所とされたケース

 今回16回目は、欠陥箇所376番の件である。100件以外どころか、自由社側が反論しなかったケースである。ひょっとすると、最も不公正な検定だったかもしれない件である。

 さて、欠陥箇所376番を見ると、指摘箇所の欄には「270頁」と記され、指摘事項の欄には〈小見出し「米の政策転換と日中国交回 復」(286ページ⑫及び288ページ下「 第6章 現代の日本と世界・まとめ図 」も同様)〉と記されており、指摘事由の欄には「不正確である。(「日中国交回復」)」との指摘が書かれていた。

さて、『新しい歴史教科書』は、単元90【世界の激動と日本】で、「米の政策転換と日中国交回復」の小見出しの下、次のように記していた。

 1970年代になるとアメリカのニクソン政権は、文化大革命で世界的に孤立する中国に接近します。中国と対立するソ連の力をおさえ、同時にベトナム戦争を終わらせるためで、米中両国関係は正常化に向けて動き出しました。これを受けて日本も1972(昭和47)年、田中角栄首相が訪中して日中共同声明に調印し、日中国交正常化が実現しました。中華民国(台湾)との国交は断絶し、1978(昭和53)年には日中平和友好条約が結ばれました。 271頁

 この小見出し部分のうち、「日中国交回復」の箇所が不正確だというわけだから、傍線部が問題だと文科省は判断したのであろう。ちなみに、この270頁の部分と同様の問題があるとされた286頁⑫とは、復習問題の12番目のことを指しており、「田中角栄首相のとき、日中間の国交を回復させた声明は。」というものである。明らかに日中共同声明のことを指しているから、日中共同声明によって日中国交正常化がなされたというのは「不正確である」と文科省は言いたいのであろう。

他社の日中共同声明の記述

 そこで、私は、日中共同声明と日中国交正常化との関連について、他社6社の記述を調査してみた。他社の記述は以下のとおりである。

・東書261頁  中国とは、1972年に田中角栄内閣が日中共同声明によって国交を正常化し、1978年には日中平和友好条約を結びました。

・日文277頁……日中共同声明に調印して、国交が正常化しました。

・教出267頁……日中共同声明に調印して国交を正常化しました。

・帝国269頁……日中共同声明が調印され、……国交を正常化しました。

・育鵬社272頁……日中共同声明を発表して中国との国交を正常化し、

・山川269頁……日中共同声明に署名し、中華人民共和国との国交を正常化した。

・学び舎270頁……日中共同声明を発表しました。……こうして両国の国交が正常化されました。

 全社が日中共同声明によって日中国交正常化がなされたとしている。自由社と同一である。にもかかわらず、他社には検定意見が付かず、自由社の記述だけが欠陥箇所とされたのである。ひどいダブルスタンダードである。訳の分からぬ検定と言えよう。


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