不正検定問題検討14――元寇防塁

 今回14回目は、欠陥箇所156番の件である。『新しい歴史教科書』は、単元23【元寇】で、元寇時に防衛のために積まれた石塁の写真を掲げた。タイトル及びキャプションは次のとおりである。

 元寇防塁 福岡県博多湾に築かれた石塁の跡(福岡市提供)
 
 これに対して、「生徒が誤解するおそれのある表現である。(防塁が復元されたものであることがわからない。)」という指摘があり、欠陥箇所とされた。

 この件についても他社教科書の検定申請本を調べてみた。すると、日本文教出版と帝国書院、学び舎の三社は石塁の写真を掲げていなかった。残る4社は石塁の写真を掲げているが、3タイプに分かれる。

(ⅰ)自由社と同じく、「復元」とは記さぬもの
 ・教育出版74頁 「元寇防塁跡(福岡市)」の写真 *意見付かず
 ・山川出版82頁 「博多海岸に残る石塁 福岡県」

(ⅱ) 「復元」と記すもの
 ・東書77頁 「復元された防塁(福岡市)」

(ⅲ) 「一部復元」と記すもの
 ・育鵬社83頁 「現在に残る石塁(一部復元)」

 この4社すべてに検定意見は付いていない。3タイプの中では、(ⅰ)が一番の多数派である。「復元」とは記していない3社のうち、自由社だけを狙い撃ちして欠陥箇所としたわけである。これもひどいダブルスタンダードである。自由社にだけは鵜の目鷹の目の検定を行ったことがうかがわれる例である。

 さらに言えば、厳密には育鵬社の「一部復元」と記す書き方が一番正しいのであろうが、そうすると東京書籍にも意見を付けないとおかしいことになる。

 恐らくは、復元問題は、教科書調査官にとってどうでもよい問題なのだと思われる。特に元寇防塁はそのまま残った遺構でもあり、復元されたものでもあるから、(ⅰ)(ⅱ)(ⅲ)すべての他社に意見を付けなかったのである。もしも、自由社が東京書籍のように「復元された防塁」と記していたならば、「いや、一部はそのまま残っていますよ」という指摘が付き、欠陥箇所とされたかもしれない。


補記 気になったので、勝岡論文の表を見てみた。すると、ミスの中に入れていた。しかし、自由社の書き方は一番の多数派であり、単純にミスの中に分類できるものではないだろう。勝岡論文の検証の甘さが伺われよう。

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