不正検定問題検討23――フェートン号事件

 今回23回目は、欠陥箇所244番の件である。今回も、『教科書抹殺』が取り上げた100件から取り上げている。244番は、240番、241番と同じく、単元49【欧米諸国の日本接近】(156~157頁)の記述に付けられた指摘である。

  さて、『新しい歴史教科書』は、この単元で次のように記していた。

  1808(文化5)年、イギリスの軍艦フェートン号は、オランダ国旗を掲げてオランダ船を偽装し、長崎に入港しました。フェートン号は、出迎えたオランダの商館員をとらえ、湾内を探索し、薪水( 薪と水)や食料を強奪しました(フェートン号事件)。  157頁

 これに対して、指摘事由の欄には「生徒が誤解するおそれのある表現である。(フェートン号事件当時のイギリスとオランダの関係)」と記されていた。この指摘は、この単元の156頁の「②主な外国船の接近」という表の中の,フェートン号 事件の「目的等」欄に「薪水強奪」と記している個所にも付けられた。

 「フェートン号事件当時のイギリスとオランダの関係」というのは何を指すのかよくわからないが、当時イギリスとオランダが対立していたことを記せ、という指摘のようである(『教科書抹殺』63頁)。
 
他社を調べると

 そこで、他社を調べてみた。フェートン号事件に触れていない学び舎から、記述の簡単な順に並べてみると、以下のようになる。
 
・学び舎130頁 フェートン号事件なし
・山川146頁 地図で「フェートン号事件」の単語のみ
・日文172頁
地図で、「➂フェートン号事件 オランダ商館の乗っ取り」
・帝国161頁地図 1808年、長崎に侵入。長崎奉行は責任をとって切腹。
・教出136頁 側注② イギリスの軍艦が、オランダの拠点をうばおうとして、長崎湾に侵入する事件も起こりました。

・東書136頁本文……1808年には、イギリスの軍艦が長崎の港に侵入する事件が起こりました。
  ・136頁上欄地図…フェートン号事件の説明……イギリスの軍艦フェートン号が、オランダ船をとらえるために長崎港に侵入。オランダ商館員をとらえて、まきと水、食料を要求しました。

・育鵬社140頁
 1808(文化5)年、イギリスのフェートン号が長崎港に侵入し、オランダ商館員を連れ去り港内で乱暴をはたらくという事件が起こりました(フェートン号事件)。
・141頁「④おもな外国船の接近」地図、フェートン号事件の項目
 イギリスの軍艦フェートン号がオランダの船を追って侵入。オランダ商館員を捕らえ、薪や水を強要。


 これら他社の記述については、すべて意見が付いていない。自由社とのバランスを考えるならば、少なくとも、東書や育鵬社に対しては、〈当時イギリスとオランダが対立していたことを記せ〉との要求があってしかるべきと思うが、検定意見は付いていない。明らかに、育鵬社や東京書籍との間でダブルスタンダードがあると言えよう。

 しかも、ついでに言えば、自由社、東京書籍、育鵬社の三社は、➀長崎侵入、②オランダ商館員を捕らえたこと、➂薪水の要求、という主要な三点を記している。基本的に同一内容のことを書いていることを指摘しておきたい。


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