不正検定問題検討20――清国分割と「日本の勢力圏」

 今回は、『教科書抹殺』が取り上げた100件の中から、欠陥箇所274番を取り上げる。

『新しい歴史教科書』は、単元62【日清戦争と三国干渉】で「⑤列強による清国分割(1899年当時)」という地図を置き、「朝鮮、台湾と、台湾に近い福建省が日本の勢力圏でした。」というキャプションを書いていた。そして、地図上では、キャプションどおり、朝鮮、台湾、福建省を同じ色で表していた。

 これに対して、文科省は、「189頁図「⑤列強による清国分割」の台湾の塗色及びキャプション中, 生徒が誤解するおそれのある表現である。「勢力圏」)」との指摘があり、欠陥箇所とされた。この指摘は、二つのことを意味していた。一つは、植民地である台湾と勢力圏に過ぎない朝鮮と福建省の色が同じなのはおかしいということである。もう一つは、「勢力圏」という表現がおかしいということである。

 そこで、朝鮮、台湾、福建省を同じ色で示している教科書がないか、他社を調べてみた。また、「勢力圏」という表現をしている教科書がないか、調べてみた。すると、塗色に注目すると、4タイプ存在した。

(ⅰ)福建のみ日本の勢力範囲とするもの
・日文206頁
……福建のみ塗色で、日本の「勢力範囲」とされる。

・帝国193頁……福建のみ台湾や日本と同じ色(福建は斜線で台湾や日本と区別)、日本の「勢力範囲」とされている。

(ⅱ)台湾と福建を同じ色で塗り、日本の勢力範囲とするもの
・東書189頁
……台湾と福建が同じ色で、「日本の勢力範囲」とされている。
      
・教出190頁……台湾と福建が同じ色、日本の「勢力範囲」とされている。

・学び舎187頁……台湾と福建省が日本と同じ色  「日本の勢力範囲」とする。 

(ⅲ)台湾のみ日本の勢力範囲とするもの
・山川196頁……台湾と日本、同じ色  日本の「勢力圏」とする。

(ⅳ)台湾、韓国、福建を同じ塗色、日本の勢力範囲とするもの
・育鵬社197頁
……台湾、韓国、福建同じ色、日本の「勢力範囲」とする



 塗色に注目すると、他社は4タイプに分かれるが、どれに対しても検定意見は付いていない。育鵬社が自由社と同じであるが、意見は付いていない。

 では、「勢力圏」という用語がまずいから意見が付いたのであろうか。そう思って他社を見ると、山川出版も「勢力圏」という言葉を用いている。そもそも「勢力圏」と「勢力範囲」は同じ意味だろうから、山川出版に意見を付けるわけにもいかなかったのであろう。結局、自由社の記述が欠陥箇所とされた理由は分からなかった。少なくとも、育鵬社と比較したとき、ダブルスタンダードがあると言って間違いがないと言えよう。

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