不正検定問題の検討4――深川江戸資料館の〈長屋の一角〉〈四畳半〉にみられる学び舎優遇

 育鵬社を優遇する検定

 ここまで3件、ダブルスタンダードの事例を紹介してきた。一回目の坂本龍馬の件では日本文教出版、教育出版、帝国書院、育鵬社の4社が、自由社と同様の記述をしていたにもかかわらず、優遇措置を受け検定合格した。二回目の「臥薪嘗胆」の件では、育鵬社が自由社より優遇されていた。三回目の〈ペリー神奈川上陸図〉の件では、育鵬社、山川出版、学び舎の三社が優遇された。この三つのケースに全て登場するのは育鵬社だけである。文科省は、明確に自由社を差別して育鵬社を優遇していたのである。ただし、育鵬社に対する検定が間違いだと言っているのではない。三つのケースとも育鵬社に検定意見を付けるべきではなかったし、付けなかった態度は正しいものである。

 であるならば、自由社の記述に対しても欠陥箇所として数え上げるべきではなかったのである。文科省は明確に謝罪すべきであろう。

 学び舎を優遇する検定

さて、4回目は、『教科書抹殺』の事例19、欠陥箇所223番の件である。『新しい歴史教科書』は、142~143頁に《調べ学習のページ 歩いてみよう! 江戸の町》というコラムを置き、このコラムの一角に〈深川江戸資料館(江東区白河)に行ってわかったこと〉というコーナーを設け、「長屋の一角」を示す写真と「4畳半 」を示す写真を掲げた。そして、前者には「長屋の一角、稲荷(右奥)、井戸(右奥)、ゴミ箱(左手前)、厠(左奥)」と、後者には「4畳半に平均4人が住んでいた」という説明を付けていた。

これに対して、〈写っている「長屋の一角」と「4畳半」が復元されたものであることがわからない〉から〈生徒が誤解するおそれのある表現である〉との意見が付き、欠陥箇所とされた。

  実際に写真を見ると復元したものにしか見えないから、言いがかりともいえるが、全社に対して同じ態度を持しているならば、それはそれで筋が通っていることになり、しょうがないともいえる。

  しかし、今回、他社教科書の中に深川江戸資料館の中の展示物に関する写真があるかないか調べてみた。すると、学び舎の例が見つかった。学び舎の【裏長屋に住む棒手振――江戸の町の暮らし】という単元には、「共同井戸・便所とごみ溜め(深川江戸資料館蔵)」というタイトルの写真があった(121頁)。この写真は、『新しい歴史教科書』の「長屋の一角、稲荷(右奥)、井戸(右奥)、ゴミ箱(左手前)、厠(左奥)」という写真と同じところを写したものである。だが、学び舎には、「復元されたものであることが分からない」という意見は付されなかった。明らかに、学び舎を優遇し、自由社を差別したのである。
   
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