不正検定問題の検討2――臥薪嘗胆の説明文をめぐって

 2回目は、三国干渉を受けて、日本が合言葉とした「臥薪嘗胆」に関する記述をめぐってである。「臥薪嘗胆」という用語を使っているのは自由社と育鵬社の二社だけである。二社とも本文で「臥薪嘗胆」という言葉を用い、側注でその説明を行っている。そして、自由社の記述は欠陥箇所とされ、育鵬社の記述には何の意見も付かず検定合格した。二社の説明文を引用しよう。

A社  薪の上に寝て、または苦い肝をなめて、受けた仕打ちを忘れないようにするという中国の故事  (198頁側注➀)

B社   戦いに負けた王やその子が 、薪の上に寝て痛みにたえたり、胆を嘗めて苦みを味わったりすることで、 仕返しを忘れまいとしたという中国・ 春秋時代の故事です。
(189頁側注3)



 ほぼ同じことを書いているが、育鵬社は合格となり、自由社は不合格となった。いずれが育鵬社であり、いずれが自由社であろうか。考えてみていただきたい。

 二つの記述を読んだとき、私はいずれも問題のない記述だと感じた。敢えていずれが優れているかと言えば、傍線部の「戦いに負けた王やその子が」との言葉が付加されているので、このことわざの意味がより分かりやすくなっていると感じた。それゆえ、B社の記述の方が優れていると感じた。

 だが、B社の記述は、275番の欠陥箇所とされ、「戦いに負けた王やその子」という言葉が「生徒が誤解するおそれのある表現である」とされた 。B社とは自由社のことであるが、自由社の現行版には傍線部の言葉がない。より分かりやすくしようと工夫して傍線部を追加した結果、不合格となったわけである。

 恐らくは、育鵬社が同じ工夫をして傍線部のような追加をしたとしても、検定意見はつかなかったであろうと想像される。

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