不正検定問題検討10――沖縄戦

 10回目は、『教科書抹殺』の100番、すなわち欠陥箇所349番の件である。『新しい歴史教科書』は、沖縄戦を記した244頁の側注➀で次のように記した。

日本軍の死者約9万4000人を出す激戦の末

この数字は正確なものであるが、なぜか、〈「日本軍の死者」が不正確である〉との意見が付いた。

他社の記述

そこで、他社が日本側死者数をどのように記しているか、調べてみた。死者数を帝国書院は書いていないから、他の六社の該当箇所をまずは引用しよう。

・東京書籍238頁……沖縄県民の犠牲者は、当時の人口の約4分の1に当たる12万人以上になりました。
*意見付かず

・日本文教出版251頁……県民のおよそ4分の1にあたる12万人以上の人が命を落としました。
*意見付かず

・教育出版246頁……約60万人の県民のうち、死者が12万人に達しました。
*意見付かず

・育鵬社245頁…県民も含めた日本側の死者は18万~19万人にのぼり、その半数以上は一般市民でした。 
*意見付かず

・山川249頁上欄……死者は軍民あわせて18万人余りに上った。当時の沖縄県の人口は約50万人であった。
*意見付かず

・学び舎239頁……沖縄県民の死者は15万人(人口約60万人)にのぼったと推定されています。 
*意見付かず

  なぜ、学び舎に検定意見が付かないのか 

 6社の記述を眺めてみると、二つの点で互いに矛盾し合っていることが分かる。一つは沖縄県民の死者数である。東京書籍、日本文教出版、教育出版の三社は「12万以上」としているのに対し、学び舎は「15万人」としている。いずれかが間違っていることになるが、学び舎が間違っている。しかし、学び舎の「15万人」という数字に対して検定意見は付いていない。ここでも、学び舎は優遇されているのである。

 二つは、沖縄県の人口である。東京書籍、日本文教出版、山川出版の三社はおおよそ50万人説をとっているのに対し、教育出版と学び舎は60万人説をとっている。いずれかが間違いだということになるが、不可思議なことに、いずれにも検定意見は付いていないのである。東京書籍等三社か教育出版等二社か、いずれかに検定意見を付けるべきだったと言えよう。

 にもかかわらず、沖縄戦をめぐる犠牲者数などの数字に関しては、正しい数字を書いた自由社の記述が欠陥箇所とされ、間違いを書いた学び舎等の記述が検定合格した。何とも理不尽な話である。

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