不正検定問題検討8――院政をめぐる自由社と育鵬社とのダブルスタンダード

 8回目は、『教科書抹殺』の90番、すなわち欠陥箇所136番の件である。院政の件である。『新しい歴史教科書』は院政に関して次のように記した。

院政が始まると、白河上皇は、税の免除などの特権を荘園に与えたので、多くの荘園が上皇のもとに集まりました。 71頁

この記述は、〈「税を免除する主体」について「生徒が誤解するおそれのある表現である」として欠陥箇所とされた。特権を与える権限は天皇にあり上皇にないから修正せよという要求である。日英同盟解消の場合と同じく、あくまで形式論にこだわる考え方である。

これに対して、11月25日に自由社は反論書を提出したが、12月25日に渡された「反論認否書」には、「白河上皇自身が直接,税の免除の特権を与えたかのように誤解するおそれがある。反論は認められない」と記されていた。

それならば、すべての教科書に対して形式論を振りかざして意見を付けているかというと、そうではなかった。他社教科書を検討してみると、育鵬社に同様の記述があった。

上皇は荘園に多くの権利をあたえて保護したため  75頁

 しかし、育鵬社には、「上皇自身が直接多くの権利を与えたかのように誤解するおそれがある」との検定意見は付かなかった。もちろん、意見を付けないのは正しい態度である。それならば、なぜ、同じ態度で自由社に関する検定を行わなかったのか。ここにもあからさまなダブルスタンダードがあると言えよう。


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