不正検定問題の検討5――人類誕生と古代日本との関係

 5回目は、どのようにタイトル付けしたらよいか分からない件についてである。『教科書抹殺』の中の事例23、即ち欠陥箇所130番の件である。ともあれ、始めよう。

何を要求しているのか分からない指摘――ダブルスタンダード以前

 『新しい歴史教科書』は、68頁で、第1章「古代までの日本」の最後に《対話とまとめ図のページ》を置き、兄弟のやり取りを記しているが、最初に次のように兄のセリフを記している。

 古代まで の日本は、約20万年前のアフリカでの 「ホモ・サピエンス」(知恵のあるヒ ト)の誕生から、11世紀末の摂関政治 の終わり頃まで、とても長いね。それで、下のまとめ図では、これを4つにわけているんだね。

 この傍線部に対して、「アフリカにおけるホモ・サピエンス誕生と日本の古代史とを結ぶ意味」が「生徒にとって理解し難い」という指摘があり、欠陥箇所とされた。訳の分からない指摘である。これほど意味がわからない指摘もない。
 
 そもそも学習指導要領が人類誕生から古代日本までの時代をひとまとまりにして一つの章で扱うことを要求しているから、「新しい歴史教科書」も、最後のページで「兄に上記のようなセリフをしゃべらせているのだ。それなのに、ホモ・サピエンス誕生と日本古代史とはどういう関係があるのかという指摘を行うとは、本当に驚きである。これまで紹介してきた4つの事例は、ダブルスタンダードの例ではあったが、文科省が要求していることは一応理解できたし、こうすれば合格にしていたということが分かる例であった。ところが、この130番の場合は、ダブルスタンダード以前に、文科省が要求していることが分からないのである。どうすれば合格したのかが分からないのである。文科省は一体どうなっているのであろうか。

 東京書籍には検定意見を付けない

 しかし、ともあれ、他社教科書の「古代までの日本」の章のうち、最初の部分と最後の部分を検討してみた。人類の誕生と古代日本とをまとまった同じ文章の中で記している教科書としては、東京書籍と山川出版の二社があった。そのうち東京書籍は、「第2章 古代までの日本」の章を次のように始めている。

  この章では、人類の誕生から平安時代の中ごろまでの時代について学習します。小学校では、天皇を中心とした国づくりの様子について学習しました。ここでは、小学校で学習した平城京の様子を中心に、古代の都の様子をとらえましょう。 19頁

 東京書籍の傍線部は、自由社の傍線部と同じようなことを記している。にもかかわらず、自由社には上記のような指摘が行われ、東京書籍には何の意見も付かなかったのである。なんというダブルスタンダードであろうか。

 いや、もう一度言うが、ダブルスタンダード以前に、何を要求しているか分からないのが130番に対する文科省の指摘である。この130番は言い掛かりの中の言い掛かりと言えよう。


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