2020年6月末の雑感―――タイムリーな『新しい公民教科書』の検定合格

 4月末に『新しい公民教科書』に関する仕事を一応やり遂げた。5月に入って体調が悪化し、5月と6月はひたすら休養に努めた。休養に努めた間も、『新しい公民教科書』のことばかり考えてきた。検定意見を聴いた11月27日以来、7か月間ずっとそうである。

 6月25日、文科省「不正検定!」糾弾集会に参加して――『新しい公民教科書』を検定合格させて良かった

 そんな中、6月25日、文科省「不正検定!」糾弾集会が開かれた。当日は、私も20分ほど話をさせていただいたが、特に斎藤武夫氏の講演にハッとする思いをした。以下に動画のURLを貼り付ける。興味のある方はご覧いただきたい。 

全体(多少カット部分あり、斎藤、三浦氏の講演などは一部カット)……私の分はこの中に全て入っている
https://youtu.be/MDJBWE1M7nQ
斎藤武夫
https://youtu.be/K8YfgJkskVM
三浦小太郎
https://youtu.be/u80SaeYM_4I
 三浦氏の分は『新しい公民教科書』の中のアジアの人権問題関係の話であり、米中新冷戦下の今日、タイムリーな内容なので貼り付けた。

さて、斎藤氏の分は、「つくる会」運動の意義を認識、再認識するうえで非常に役立つ内容である。斎藤氏によれば、採択されずとも、「つくる会」の検定合格した教科書というのは大きな力を発揮しており、教育改善の大きな陣地になっている。「つくる会」の教科書に書いてあれば、その内容を勇気を持って現場で教えることができるからである。この点はハッとする指摘であった。

この発言を聴いて、つくづく『新しい公民教科書』をつくりあげ、検定合格させて本当に良かったと思った。検定中は、検定合格させる方針に何の迷いも感じたことはなかった。だが、3月、4月と検定過程を振り返ってみたとき、国家との関係における国民の4つの立場(政治に参加する立場、政治に従う立場、政治から利益を受ける立場、政治から自由な自主独立の立場)から、1月下旬に政治に従う立場を削除せよと命令されたとき拒否すべきだったのではないかという考えが浮かんだことは確かである。拒否すれば当然検定不合格になったのだが、政治に従う立場を削除せよという命令は本当にでたらめ極まりない、非常識且つ不当な要求であったから拒否すべきであったのかも知れないという思いは、4月以降、たびたび私の頭をよぎったことは確かである。

以後、この思いは何度も浮かんできた。しかし、斎藤氏の講演を聞いて、政治に従う立場を削除せよという不当な要求を呑んで検定合格を勝ち取ったことは正解だったと確信することができた。

『新しい公民教科書』の検定が過酷であった理由

 また、5月、6月と、頭と精神をぼんやりさせていく中で視野が少しは広くなるにつれ、『新しい公民教科書』の検定が過酷であった理由、そして検定合格の政治的意味についてわかってきた。

 『新しい公民教科書』は、国内体制論としては権威と権力の分離を強調しようとしたところが最大の特徴だが、政治状況論としては中国の全体主義的性格を暴き、それに対抗する自由民主主義の陣営に日本があるということを明確化したことが一番の特徴である。その点が一番現れているのが、単元61「冷戦終結後の国際社会」と〈もっと知りたい 近隣諸国の人権問題〉の箇所である。単元61は米中新冷戦時代が到来したという形で現在の国際情勢を捉え、中国の全体主義体制を批判する形になっている。〈近隣諸国の人権問題〉はチベット、ウイグル、モンゴルに対する中国の民族弾圧を描き、南北朝鮮の人権問題を取り上げたコラムである。検定でかなりカットされたが、中国批判の骨格はそのまま残っている。今読み直してみると、ウイグル(東トルキスタン)の強制収容所の話だけではなく、ウイグルにおける中国による核実験の話も掲載されているのが注目される。

 中国批判の芽は9年前の『新しい公民教科書』のなかでも、側注欄や上欄に少し出ているが、本文では中国批判を行うことはなかった。しかし、今回は民族弾圧をすべて取り扱い、更には中国が一党独裁国家であるとして(検定申請本では党が所有する国家と正しく規定していたが、検定で削除された)、中国批判の立場を正面から打ち出した。これが、現在の日本の政治体制と根本からぶつかることになったのだと思われる。

 中国の全体主義体制への打ち返しの思想的拠点としての『新しい公民教科書』

  香港やウイグル、台湾の問題を見るとき、更には尖閣や南シナ海での中国の横暴ぶりを見るとき、『新しい公民教科書』の検定合格は大きな意味を持つ。中国の全体主義批判の本は巷にあふれているが、すべて純粋に民間のものである。それに対して、検定合格教科書の中に相当強烈な中国の体制批判の記述があるということは、中国の無法な行動に対する日本からの公的な打ち返しとなる意味を多少とも持つのではないかと考える。

  中国の共産党独裁による害悪が表に噴出した時に、この中国の体制批判的な教科書を出せて本当に良かったと思う。この教科書が検定合格したということは、日本国が中国の全体主義的性格に対する批判精神をもっているのだという公的証明に少しはなるからである。中国批判の本は多数出ているし、それらをも参考にして教科書が書かれたわけだが、それらは公的性格を持っていない。その意味で、『新しい公民教科書』の検定合格は大きな意味を持つのだと考えるようになった。

 『新しい歴史教科書』が検定不合格になった根本的な理由も、「つくる会」と『新しい歴史教科書』が「中国様」に逆らう存在だということである。習近平訪日反対、慰安婦記述復活反対、通州事件の教科書記述等すべてが中国に逆らうことであり、中国にとって許せないことである。そして、中国は、中国の操り人形化している国連人権理事会と日本国内の左翼を使って日本政府に大きな圧力をかけ続けた結果が、今回の歴史の不合格と公民の落ちかかったことの理由である。ちなみに、反自由社・育鵬社の運動をおこなっている人たちの位置づけでも、『新しい公民教科書』は落ちるところだったようである。

 『新しい公民教科書』の話に戻るならば、これから、日本国民全体に、新冷戦という国際情勢認識と、自由民主主義体制と敵対する全体主義体制を代表する共産中国は残してはいけない国家だという認識を広げていかなければならないが、その認識を広げていくときに拠点となるのが『新しい公民教科書』だということである。ちょうど、慰安婦問題や「南京事件」問題などの歴史認識問題で日本が打ち返していくときの拠点が検定合格した『新しい歴史教科書』であることと同じような関係にあるといえよう。というようなことを、香港問題を見ていて、よりリアルに考えるようになった。

 その意味で、『新しい公民教科書』の作成と検定合格はタイムリーであった。また、香港等に対する中国の態度を見ていると、『新しい公民教科書』を作り検定合格させて本当に良かったと思うようになった。


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