平成24公民教科書資料Ⅱ(10)国際連合

               Ⅱ、国家主権
          
               (10)国際連合


   戦後日本を縛り上げているものは、「日本国憲法」の前文や第九条だけではない。国連が未だ維持する敵国条項もそうである。日本は、敵国として差別されながら、米国に次ぐ多額の国連分担金を支払ってきた。そこで、日本は、敵国条項の削除と常任理事国化を目指して、国連改革に取り組んできた。
 
  しかし、公民教科書は、これらのことを記さない。多くの教科書は、これらの動きを後押しするような記述を行わないのである。敵国条項削除問題、常任理事国化の動き、分担金問題の三つをきちんと展開しているのは自由社だけである。 

  以下、7社の記述を掲げておこう。



○分析項目
  ①敵国条項
  ②常任理事国化の動き
 備考③分担金問題

○東京書籍……
 ①②なし
 ③分担金問題なし。ただ、第5章1節単元「3 国際連合のしくみとはたらき」下、側注欄に「国連の通常予算の分担率」の表(153頁)。

○日本文教出版
①なし
②「キーワード 常任理事国」として、「日本、ドイツ、インド、ブラジルなど数か国を常任理事国として加える改革案も出ていますが、実現していません」(185頁)。
③第4編第1章1節単元「2 国際連合の目的とはたらき」の下、側注欄に分担金の表のみ(184頁)。

○教育出版 
  ①敵国条項……記述なし
  ②常任理事国化の動き……記述なし
  ③分担金……表あれど、問題として位置づけていない。あるいは常任理事国問題と関連付けていない。(196頁)

○清水書院……
①敵国条項……なし
②常任理事国化の動き……なし
③分担金……なし

○帝国書院
  ①敵国条項……なし
  ②常任理事国化の動き……なし。しかし、匂わせる。
  ③分担金問題もなし
第4部1章単元5「国連のはたらきとそのしくみ」下、「国際連合の課題」の小見出し下、
「さらに、発足から60年以上がたちましたが、新たに常任理事国として認められた国はありません。このような課題はありますが、国連がかかわることで平和が実現した国や地域も少なくありません。日本は常任理事国ではありませんが、世界第2位の資金を分担するなど、国連の活動を支えるうえで中心的な役割をはたしています。」(181頁)。

○育鵬社 
  ①敵国条項……有り
  ②常任理事国化の動き……少しあり
  ③分担金……問題として明確化していない。
第5章第1節単元5「国際連合のはたらき」の下、「日本の立場」の小見出し下、
「現在、国際連合への拠出金額は、アメリカに何兆円もの未払いがあるため、実質的には第1位を占めています。ユネスコの事務局長や国際司法裁判所の裁判官など、国連で大切な役割を担って活躍している日本人もいます。
 しかし、国際連合憲章では日本はドイツなどとともに依然として旧敵国として位置づけられており、日本の安全保障理事会の常任理事国入りも実現していません。そのため、国連における日本の発言は限られたものになっています」(165頁)
 ・側注欄で「旧敵国条項」の小コラム(165頁)


○自由社
  ①敵国条項……有り、
  ②常任理事国化の動き……有り
 備考③分担金……不公正さ、指摘
①③単元55「国際連合の成立と機構」下、「わが国と国連」の小見出し下、「また、分担金などの拠出金額も世界有数です。しかし、現在にいたるまで旧敵国とされています」(153頁)。
・側注④「国際連合の正式名はUnited Nationsだが、これは第二次世界大戦のときのイギリス・アメリカなどの『連合国』を意味する。国連発足時、日本などは敵国として位置づけられ、今日もなお、敵国条項が残っている」。
①②「もっと知りたい 国連改革とわが国の取り組み」下、「国連改革とわが国」の小見出し下、「報告書の国連改革勧告には、わが国の長年の主張が大きく反映されている。わが国がとりわけ強く訴えてきたのは、わが国が安全保障理事会の常任理事国となることと、憲章に残されている敵国条項を削除することであった。」(157頁)
①「敵国条項の削除」の小見出し下、
 「国連憲章の第53 条、第77 条、第107 条には、「旧敵国条項」といわれる規定がある。なかでも第53 条は、加盟国は、第二次世界大戦中の連合国の敵であった国の行為が侵略と判断できる場合は、安全保障理事会の許可なく、軍事的制裁をすることができると規定している。この敵国は、ドイツ、日本、イタリアなど7か国とされている。
 大戦が終結してすでに60 年以上がたちながら、いまだにこのような「敵国」という差別のしくみが憲章に残っているのは、わが国の国際社会での名誉と尊厳を侵している。
  このような立場から、わが国は国連総会に対し、削除を求めつづけてきた。そして、1995(平成7)年総会と2000 年総会で、この規定はすでに「死文化」しており、削除を求めるとの決議が多数で可決された。しかし、憲章の改正手続きが複雑であり、また、特にわが国を「旧敵国」に残しておきたいと考える加盟国があり、いまだ削除は実現していない。」(157頁)
②③「安全保障理事会の常任理事国へ」の小見出し下、
わが国は、安保理の常任理事国入りを求めている。
  これは、わが国が、世界の安全の維持に主要な役割を果たす意思と能力があり、現に多額の分担金義務を誠実に果たしている国として、正当な国際的地位を占めるためである

この安保理改革は2005 年総会でも、最重要課題として議論された。しかし、5大国間や加盟国間にさまざまな意思がはたらき、実を結ばなかった。」(157頁)---自由社は、国際社会上の日本の立場を最も表明した教科書
・拠出金と分担金の各国比較表(157頁)


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 2

面白い
ナイス

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック