平成24公民教科書資料Ⅱ(2)平和主義と自衛隊

           Ⅱ、国家主権

          (2)平和主義と自衛隊


   国家の第一の役割は防衛であり、そのために日本には自衛隊がある。しかし、日本には「日本国憲法」第九条の平和主義がある。教科書は、両者の関係をどう捉えているだろうか。以下、7社の記述を比較していただきたい。
資料を眺めると、平和主義を基礎づけるために日本悪論が展開されていることに改めて目を引かれる。ともかく、比較検討されたい。

○分析項目
①戦争放棄書かれるか、自衛戦争肯定説を紹介しているか
②戦力放棄書かれるか、自衛戦力肯定説を紹介しているか
③「侵略」等と九条を関連づけているか
④自衛隊について肯定的か否定的か


東京書籍
①戦争放棄のみ書かれる
②戦力放棄のみ書かれる
③「アジアへ被害」と関連づけている
④必要最小限の実力説で自衛隊を肯定する説と、その否定説を紹介
「第2章 人間の尊重と日本国憲法」「1 人権と日本国憲法」の節見出し下、単元「4 日本の平和主義」下、「平和主義と憲法第9条」→「自衛隊と日米安全保障条約」→「これからの平和」→「軍縮をめざして」の小見出し。
・「平和主義と憲法第9条」の小見出し下、
 「日本は、第二次世界大戦で他の国々に重大な損害をあたえ、また、自らも大きな被害を受けました。そこで、日本国憲法は、戦争を放棄して世界の恒久平和のために努力するという平和主義を基本原理としました。憲法第9条は、戦争を放棄し、戦力を持たず、交戦権を認めないと定めています」(38頁)。
・「自衛隊と日米安保条約」の小見出し下、
 「日本国憲法は『戦力』の不保持を定めていますが、日本は国を防衛するために自衛隊を持っています。自衛隊が憲法に違反していない理由として、政府は、主権国家には自衛権があり、憲法は『自衛のための必要最小限度の実力』を持つことは禁止していないと説明しています。しかし、平和と安全を守るためであっても、武器をもたないというのが日本国憲法の立場ではなかったのかという意見もあります。 
  また、日本は防衛のために、アメリカと日米安全保障条約(日米安保条約)を結んでいます。この条約は、他国が日本の領土を攻撃してきたときに、共同で対処することを約束しています。そのため日本は、アメリカ軍が日本の領域内に駐留することを認めています」(38~39頁)。
・「これからの平和」の小見出し下、
 「東西冷戦が終わり、大戦争が起きる危険性はほとんどなくなりましたが、世界では地域紛争が起こっており、テロとの戦いも続いています。こうしたなかで自衛隊は、日本の防衛という従来の任務に加えてさまざまな活動を行っています。例えば、カンボジアや東ティモールなどの外国での国連平和維持活動(PKO)への参加、アフガニスタンやイラクでの紛争処理への参加、公海上での海賊対策のための護衛などにたずさわっています。また、アメリカとの防衛協力が強化されてきています。一方で、このような自衛隊の任務の拡大は、世界平和と軍縮を率先してうったえるべき日本の立場にふさわしくないという声もあります」(39頁)。
・「軍縮をめざして」の小見出しの下、
 「日本は1945年、広島と長崎に原子爆弾を投下され、多くの犠牲者を出しました。核兵器は、多くの人々を一瞬のうちに死傷させ、被爆者の生命や健康に長く影響をおよぼす破壊兵器です。日本は、核兵器を『持たず、つくらず、持ちこませず』という非核三原則をかかげてきました。核兵器の廃絶をうったえ、軍縮による世界平和をアピールすることこそが、国際社会において日本の果たすべき使命なのです」(39頁)。
・「沖縄と基地」の小コラム(39頁)

○日本文教出版
①戦争放棄のみ書かれる
②戦力放棄のみ書かれる
③「侵略」と関連づけている
④自衛隊について……必要最小限の実力説で自衛隊を肯定する説と、限度をこえていると批判する説を紹介。
①②③第1章3節単元「1 日本国憲法の平和主義」下、「前文と第9条」→「自衛隊と自衛権」の小見出し下、
・「前文と第9条」の小見出し下、
 「わが国は、日中戦争や第二次世界大戦を通じて、アジア・太平洋の広い地域を侵略し、他の国々に大きな被害をあたえました。また、わが国も、戦場で、そして国内で多くの死傷者を出し、世界で初めての原子爆弾の惨禍もこうむりました。
 このような苦い経験から、日本国憲法は、二度と戦争を起こさないという固い決意のもとに、徹底した平和主義をとり入れました。まず、前文で、『政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする』との決意を示すと同時に、『恒久の平和を念願し』、諸外国と協調しながら『われらの安全と生存を保持』することを宣言しています。
 そして第9条で、戦争と武力の行使や武力による威嚇を放棄し、それを徹底するために戦力の不保持を宣言し、さらに国の交戦権も否定することを定めて、前文で示した決意を具体化しました。
これまで、戦争をなくそうという努力が、さまざまな国でされてきました。外国の憲法のなかには、侵略戦争の放棄をうたうものもありましたが、日本国憲法は、戦争ばかりでなく、戦争にいたらない武力の行使や威嚇までも放棄するとしているのだから、自衛のための戦力も放棄した完全非武装の道を選んだと理解されてきました」(70~71頁)。
④続けて「自衛隊と自衛権」の小見出し下、
 「1950年に朝鮮戦争が始まると、連合国軍総司令部の指示によって警察予備隊が設置され、その後、保安隊から自衛隊へと改められました。それは、主権国家には自衛権があり、そのための防衛力をもつことを憲法は禁じていないという立場に立ったものです。
  政府は、自衛隊は自衛のための必要最小限度の実力であって、第9条の禁止している『戦力』ではない、という立場にたっています。これに対して、第9条は武力によらない自衛権だけを認めているのだから、自衛隊は憲法に違反しているとか、自衛隊の装備は自衛のための最小限度の実力をこえている、といった意見があります」(71頁)。
・「戦争放棄に関する意識調査(2009年、新聞社調査)」(71頁)。
・「被爆直後の広島市内のようすと原子爆弾のきのこ雲」という写真(70頁)。
・「外国憲法の戦争放棄条項」の小コラム下、フランス、ドイツ、イタリア、韓国、コスタリカ(71頁)
・「自衛隊の演習のようす」の写真(71頁)
⑤備考……第1章3節単元「2 日本の平和と防衛の課題」下、「日本が世界に提供できる価値 日本の平和主義」の小コラム(73頁)。

○教育出版
①戦争放棄のみ書かれる
②戦力放棄のみ書かれる
③「侵略」や「アジアへ被害」ということと関連づけている。
④自衛隊について……政府は必要最小限度の実力説をとると説明
①②③第2章1節単元「4 憲法の三つの柱」下、「平和主義」の小見出し下、「日本国憲法は、第二次世界大戦という悲惨なできごとへの深い反省のもとに、平和主義を決意しました。まず、前文で恒久平和主義を宣言し、これを受けて第9条は、すべての戦争を放棄すること、戦力をもたないこと、交戦権を認めないことなど、徹底した平和主義を定めています」(39頁)。
①②③第2章3節「わたしたちの平和主義」の下、単元「1 平和主義とは何だろう 憲法に定められた平和主義」下、「平和主義という考え方」の小見出し下、「平和主義とは、生命や人権を尊重する精神に基づいて、暴力の行使を放棄し、戦争や紛争などを未然に防ぎ、その解決を目ざしていく考え方です」(64頁)。
  続けて、「日本国憲法の平和主義」の小見出し下、「日本国憲法において、平和主義はどのように定められているのでしょうか。憲法の前文には、かつて、日本が太平洋戦争などを引き起こし、国内外の人々の生命や人権を奪ったことを深く反省し、再び政府の行為によって、戰爭とその被害が起こることのないよう決意したことが示されています。また、わたしたち国民は、戦争や紛争などの争いのない国家や社会の建設を目ざし、平和を愛する世界中の人々との連帯や協力を通じて、わたしたちの安全と生存を保持しようと決意したことが明記されています。そして、世界中のすべての人々が、恐怖と貧困から免れ、『平和のうちに生存する権利』をもっていることを確認しています。
  これを受けて、第9条では、『戦争の永久放棄』と、『戦力の不保持・交戦権の否認』を定めています」(64~65頁)。
④第2章3節「わたしたちの平和主義」の下、単元「2 日本の平和主義への期待 平和主義の歩みと現在、これから」下、「自衛隊と文民統制」の小見出し下、
 「自衛隊の存在をめぐっては、憲法とのかかわりでさまざまな意見が出されています。政府は、『自衛のための必要最小限度の実力』を保持することは、第9条で禁じている『戦力』ではない、という見解にたっています。現在、自衛隊は、国会と政府の民主的な統制下におかれています。……」(66頁)

○清水書院
①戦争放棄のみ書かれる
②戦力放棄のみ書かれる
③「他の国々に被害」と関連づけている
④自衛隊について……政府は必要最小限度の実力説をとると説明
          そして、違憲説と改憲説を紹介
⑤備考……戦争放棄を大部分の国民が支持した事実はない。何ともでたらめな。
①②③第1章1節単元3「日本国憲法の成立と基本原理」下、「日本国憲法の原理」の小見出し下、
 「三つめの原理が平和主義である。人びとを不幸におとしいれた戦争をふたたびおこさないことは、新しい憲法の大きな使命であった。戦争をしないために、日本は今後、戦力をもたず国の交戦権を認めないこと、また武力で外国を脅すこともしないことを世界に誓ったのである」(29頁)。
①②③第3章「平和主義」1節「平和主義と日本の国際的立場」下、単元1「戦争の惨禍と日本国憲法の平和主義」下、「戦争の惨禍」→「平和主義」の小見出し下、
 「戦争の惨禍」の小見出し下、
 「人間が人間として生きていくためには何よりも、戦争のない世界、平和な世界でなければならない。
戦争は、人間自身がひきおこす非人間的な破壊と殺しあいである。戦争は人を傷つけ、命をうばい、家屋や都市、さらには自然環境を破壊し、人の心まで壊してしまう。これまで戦争がくり返されるたびに、人びとは戦争の惨禍を心にきざみ、平和を求めてきた。
  日本は、第二次世界大戦において、他の国ぐにの多数の人びとを殺傷し、莫大な被害をあたえたまたわが国の多くの人びとが戦場で兵士として死傷し、戦闘に加わらなかった無数の人びとも、傷つき命を失った。
 さらに、原子爆弾が広島と長崎にもたらした大きく深い災禍は、いまも多くの人びとを苦しめている」(86頁)。
・「平和主義」の小見出し下、
 「この認識と反省のうえに、日本国憲法は戦争放棄を定め、国民の大多数がこれを支持した。憲法前文は、『われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する』と宣言した。そして『日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』と、恒久平和のために努力する平和主義を基本理念としている。
 この理念を具体化するため、第9条では、『国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する』と定め、戦争の放棄を明確にした。さらには、『陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない』と戦力の不保持と交戦権の否認をも定めた。この徹底した平和主義の規定は、世界でも初めてのことであった。
 この決意も、戦力不保持の条項も、第二次世界大戦後のきびしい国際情勢のなかで、十分に実現できたわけではない。しかし、憲法の平和主義のもとで、徴兵制が廃止され、軍隊や軍事費の歯止めのない拡大がおさえられ、さらに被爆体験をふまえた非核三原則が政府の基本政策となるなど、国のありかたが定められてきた」(86~87頁)。
・「平和の礎(沖縄県糸満市)」の写真、「原爆ドーム(広島県広島市)」の写真(86頁)
・「戦争の放棄」と題して、『あたらしい憲法のはなし』から引用(87頁)
④単元2「自衛隊と日本の安全保障」下、「自衛隊の成立」の小見出し下、
 「第二次世界大戦後、日本はアメリカなどの連合国の占領下におかれた。ところがまもなく、アメリカを中心とする西側陣営と、ソ連を中心とする東側陣営とがきびしく対立する冷戦が始まった。
 1950年に朝鮮戦争がおきると、連合国軍の最高司令官は、日本政府に警察予備隊をつくるように指示した。警察予備隊は保安隊とあらためられ、1954年に『わが国を防衛することを主たる任務とする』自衛隊に改編された」(88頁)。
・続けて「憲法第9条と自衛隊」のサブ小見出し下、1ポイント落として、
  「日本国憲法は『戦力』の不保持を定めている。政府は憲法制定当初、それを『一切の軍備』の不保持を定めたものとして理解していた。しかし、自衛隊の創設によって、その理解に矛盾が生じた。そのため、政府は『自衛のための必要最小限度の実力は戦力にあたらない』という解釈を採用することにより、自衛隊は憲法第9条と矛盾しないとして、こんにちにいたっている。
 それに対して、いっぽうで、自衛隊は憲法に違反するという判例や学説があり、また自衛隊の縮小を唱える意見がある。他方で、憲法第9条を改正しようとする主張も根づよく、議論が続いている
」(88頁)。


○帝国書院
①戦争放棄のみ書かれる
②戦力放棄のみ書かれる。戦力放棄万歳の内容
③「侵略」や「アジアへ被害」ということと関連づけていない
④自衛隊について……第9条違反説と政府の自衛のための必要最小限度の実力説の紹介。
    違反説の方に力点
①②③「第2章 日本国憲法について考えよう」単元1「日本国憲法とは」下、「日本国憲法の三大原則」の小見出し下、「さらに、第二次世界大戦の反省にたって平和主義を選択し、戦争を放棄し、戦力をもたないことを宣言しています」(35頁)。
・第2章単元3「平和主義の選択」下、「平和主義にこめられた願い」→「日本国憲法と自衛隊」の小見出し。「平和主義にこめられた願い」の小見出し下、「日本国憲法は、前文でふたたび戦争の惨禍が起こることのないようにすることを誓い、第9条で戦争を放棄し、戦力を保持しないことを定め、平和主義を宣言しました。日本は平和主義のもと、第二次世界大戦後60年以上、一度も戦争にまきこまれることなく平和を守ってきました。
 日本国憲法で平和主義が定められる以前にも、不戦条約などによって世界的にさまざまな戦争廃絶の努力がなされてきました。また現在では、コスタリカをはじめいくつかの国の憲法でも戦争放棄の規定が設けられています。その中でも日本の平和主義は、戦争の放棄や戦力の不保持を徹底して定めています。戦争は最大の人権侵害といわれていますが、世界の各地では第二次世界大戦後も戦争が続いています。核兵器のように、人類を滅亡させる可能性のある兵器も存在しており、軍縮によって世界平和を追求する方法として、平和主義は現実的な選択肢になっています。
   一人ひとりの夢を実現できる平和な社会を築いていくためには、平和主義が必要です。平和主義を実現するためには積極的な外交活動が重要であり、国家間で軍備を制限し、国際平和を実現できるしくみを強化することが求められます」(38~39頁)。
・「日本国憲法と自衛隊」の小見出し下、
 「日本には自衛隊が存在しています。自衛隊は、第二次世界大戦後にアメリカとソ連の対立(冷戦)が激しくなるなか、1950(昭和25)年の朝鮮戦争をきっかけに連合国軍総司令部(GHQ)の指示でつくられた警察予備隊が、その前身です。
 自衛隊は、日本の安全を保つことを任務として発足し、冷戦の時代を通して、その人員や装備を増強してきました。しかし、戦争の放棄と戦力の不保持、交戦権の否認を定めた憲法第9条、そして平和主義に反するのではないかという議論は、冷戦終結後の今日も続いています。政府は、自衛隊は自衛のための必要最小限の実力組織にすぎないから戦力にあたらないし、戦争放棄といっても自衛権を放棄したわけではないので違憲ではない、としています。
 日本の防衛費は、平和主義をとっていることで他国に比べ国内総生産(GDP)や予算にしめる割合が低く、そのおかげで戦後に脅威的な経済発展を実現できた面があります。しかし、防衛費の総額では世界有数の規模になっています。
 
  また自衛隊は、災害派遣などでも活動しています。近年では、日本が経済規模に応じた国際貢献をするうえで、平和主義や自衛隊のあり方が議論されています」(39頁)。
・側注①「中央アメリカのコスタリカには、国境警備隊は存在しますが、常設の軍隊をもつことは禁止されています」(38頁)
・「火垂るの墓の一場面」の絵(38頁)
・「防衛費の移りかわり」のグラフ、「各国の軍事費(防衛費)の比較」(39頁)


○育鵬社
①戦争放棄書かれるか……侵略戦争放棄とする
②戦力放棄書かれるか……書かれる
③「侵略」や「アジアへ被害」ということと関連づけていない
④自衛隊について……政府の自衛のための必要最小限度の実力説と、第9条違反説の紹介。しかし、自衛隊は国民に支持されているとする。
⑤備考……集団的自衛権を認める解釈変更の意見もあるとする。
第2章第1節単元6「平和主義」下、「平和主義」→「自衛隊の誕生」→「第9条と自衛隊」の小見出し。
「平和主義」の小見出し下、
 「……連合国軍は日本に非武装化を強く求め、その趣旨を日本国憲法にも反映させることを要求しました。
 このため、国家として国際紛争を解決する手段としての戦争(侵略戦争)を放棄し、戦力を保持しないこと、国の交戦権を認めないことなどを憲法に定め、徹底した平和主義を基本原理とすることにしました
・続けて「自衛隊の誕生」の小見出し下、「しかし、まもなくアメリカとソビエト連邦(現ロシア)の対立から東西両陣営の冷戦が始まりました。1950(昭和25)年には朝鮮戦争がおきると、朝鮮半島に軍事力をふり向けざるを得なくなった連合国軍最高司令官マッカーサーは、手薄となる日本の防備を補うため、従来の方針を変更して日本政府に警察予備隊の設置を命じました。
警察予備隊はやがて保安隊と名称を変更し、1954(昭和29)年には規模と装備を増強して自衛隊へと発展しました。」(48頁)。
・「第9条と自衛隊」の小見出し下、
 「主権国家には国際法上、自衛権があるとされ、世界各国は相応の防衛力をもっています。日本政府も、日本国憲法前文に『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した』と記した国際政治の理想と、現実の国際政治とが異なっていることから、防衛態勢の装備や強化など、現実的な対応をしてきました。自衛隊は日本の防衛には不可欠な存在であり、また災害時の救援活動などでも国民から大きく期待されています。
 しかし、日本国憲法第9条には『戦力』の不保持がうたわれています。そのためこの憲法の下で自衛のための武力がもてるのかという議論がなされてきました。
 政府は、ここでふれられている戦争とは『他国に侵攻する攻撃』をさすのであり、『自国を守る最低限度の戦闘』までも禁じているものではなく、自衛のための必要最小限度の防衛力をもつことまでは憲法は禁止していないと解釈し、自衛隊を憲法第9条に違反しないものと考えています。憲法の規定と自衛隊の実態との整合性については、今なお議論が続いています。」(48~49頁)。
・「警察予備隊設置」の写真、「イラクでの復興支援」の写真説明で「自衛隊は海外でも活躍するようになっています。」(48頁)
・単元7「憲法改正」の下、9条について書きながら、9条改正にふれず。憲法改正の論点になっているのは、新しい人権、道州制の導入、の二点のみ(51頁)

○自由社
①自衛戦争肯定説を紹介している
②自衛戦力肯定説を紹介している
③「侵略」等と九条を関連づけているか……関連付けてない
 ④自衛隊について肯定的
単元25「平和主義と安全保障」下、「自衛権と平和主義」の小見出し下、
「1946(昭和21)年、最高司令官マッカーサーは、連合国軍のスタッフに日本国憲法の作成を指令したさい、『戦争を、国際紛争を解決する手段としてのみならず、自衛のためであっても放棄する』という原案を示しました。実際に成立した憲法は、第9条第1項で『国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決するための手段としては、永久にこれを放棄する』と定めており、マッカーサー原案の、自衛戦争をも放棄するという部分が消滅しています。第1項は、『国際紛争を解決する』ための戦争(侵略戦争)は行わないとする一方で、自衛のための戦争を行う権利、すなわち自衛権の保有については、特に定めがないのです。しかし、続く第2項は、『前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない』と、戦力の不保持を規定しています。それでは第9条は、自衛権の保有を認めていないのでしょうか」(72~73頁)。
・「自衛隊」の小見出し下、「政府は、わが国が独立国である以上、憲法第9条の諸規定は、自衛権を否定するものではなく、自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、憲法上認められるとして、1954年に陸海空自衛隊を発足させました。1957年に定めた国防の基本方針を受けて、専守防衛に徹し、軍事大国にならないという基本理念に従い、日米安全保障条約を堅持し、文民統制を確保して節度ある防衛力を整備しています。
  しかし、世界的にも有数の実力を備えた自衛隊を『戦力に至らない』とする政府の憲法解釈には批判も多くあります。また、自衛隊は憲法違反であるから解散すべきだという主張もあります。しかし逆に、憲法改正を行って自衛権の保有を明確にするとともに、自衛隊をわが国の軍隊として位置づけるべきだという主張もあります」(73頁)。
②「もっと知りたい わが国の安全保障の課題」の大コラム下、第九条の解釈として4つ示す。そのなかで、第3の解釈として以下の説。
  「第1項は侵略戦争を禁止しているが、自衛のための戦争は禁止していない。また、第2項は、侵略戦争の放棄という第1項の『目的を達するため』の戦力不保持の規定であり、自衛のための戦力の保持を禁止したものではない。従って、自衛隊の存在は憲法に違反しない。」(74頁)




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