平成24公民教科書資料Ⅰ(5)愛国心、愛郷心

        Ⅰ、共同社会

          (5)愛国心、愛郷心
 

 平成18年、教育基本法が改正された。その改正の最大の眼目は、伝統を尊重し、愛国心・愛郷心を育成するとともに公共の精神を養うことであったはずである。それゆえ、当然に、全社が嫌でも愛国心や愛郷心、公共の精神の説明を行い、それらを養うための記述を行うと信じられていた。だが、蓋を開けてみると、愛国心・愛郷心については、自由社以外の六社はすべて無視してみせた。なんという無法行為であろうか。

   それゆえ、育鵬社も含めた六社は、教育基本法違反の教科書である。なぜ、検定合格したのであろうか、疑問を感じざるを得ない。特に、育鵬社が愛国心などを展開しなかったことは、今後に禍根を残すことになろう。なぜなら、5社にすれば、「保守」の錚々たる連中さえも愛国心などを展開しなかったのだから我々が展開する必要はないという気持ちに当然なるだろう。教基法が改正された時には、当然今回愛国心等を展開しなければ、検定合格したとしても攻撃されるだろうとみられていた。ところが、育鵬社が展開しなかったものだから、5社も全くこの点で攻撃されていない。もっぱら外国人参政権などの個別問題でだけ攻撃されているだけだ。つまり、育鵬社が愛国心などを無視した行為は、教科書の改善目標のレベルを著しく低下させてしまったのである

   ともあれ、以下、7社の記述を掲げておこう。

○分析項目
①愛国心について 1、言葉があるか
          2、定義があるか
3、分量、扱い方
②愛郷心   1、言葉があるか
 2、定義があるか
        3、分量、扱い方


○東京書籍…… 
 ①どこにもなし
 ②第1章「3節 現代社会の見方や考え方」の下、一切なし(22頁以下)
  ・地方自治に5単元使うが、出てこず

○日本文教出版
 ①②③第1編で一切なし
  ・地方自治に4単元使いながら、一切なし

○教育出版 
①②第1章で全く出てこず
   ・地方自治に5単元使いながら、一切なし

○清水書院…… 
①②第1章で全く出てこず
  ・地方自治でも一切なし

○帝国書院…… 
①②なし

○育鵬社
 ①②なし
 ③備考……らしきもの
・第1章第1節単元3下、「新しい文化の創造と発信」の小見出し下、「伝統文化を尊重することは、それらをはぐくんできた日本や郷土を愛することにつながります」(13頁)
・第3章1節単元3「国民の政治への参加」の下、「ブライスは……長い歴史を経て築き上げてきた、自由を尊重する態度、国や地域社会を愛する心、法を守る精神などの伝統が必要だと述べています。」(77頁)
 ……何とも、腰の引けた書き方 
      ……勘違いしているようだが、この程度の書き方は何度も行われてきたし、愛国心という言葉を展開した教科書さえも、過去何例もあるのだ。なぜ、愛国心という言葉さえも、育鵬社は使わなかったのか、私には不思議でならない。
・第3章第1節の大コラム「新聞の社説を比べてみよう」下、「正反対の立場からの社説を見て、これらのテーマでディベートをしてみましょう」として、真っ先に「教育基本法改正・2006年」を掲げる。(81頁)……教育基本法違反をしながら、どうしてこういうことを書くのか。
 ・第3章第5節単元2「地方公共団体の移り変わり」下、「まちづくりや村おこし」の小見出し下、「地域に伝わる伝統行事やボランティア活動への参加を通して、住民のあいだに連帯感が生まれ、自分の住む地域に愛着が深まったという体験をもつ人は多くいます」(101頁)

○自由社
①②
単元11「家族愛・愛郷心から愛国心へ」より全文引用
「愛郷心から愛国心へ」の小見出しの下、次のように記している。
国民にとって最も大きな社会である国家は、共同社会の性質ももっています。自分が生まれ育った祖国を大切に思う心を愛国心といいます。オリンピックで日本の選手が活躍したときなどうれしくなるのは、愛国心の自然な表れといえるでしょう。
  自分を愛する気持ち(自己愛)を、家族や友人も同じようにもっていると気がついたとき、自己愛は他者への愛に広がります。さらに地域社会、郷土、美しい自然環境などの公的なものへと拡大して、愛国心は形成されていきます。故郷をいとおしく思う愛郷心(郷土愛)、そして愛国心は自然な感情として芽ばえ、育っていくものです。 経済的および社会的地位、人種や信条などのちがいがあっても、同じ国家に属するという共通の意識から、国民は一体感をもつことができます。そして、先人が懸命に伝えてきた伝統・文化や連綿と続く歴史に対する理解が深まると、国家や社会の発展に努力していこうとする気持ちが自然と養われていきます」(32頁)。
・続けて、「愛国心と国際社会」の小見出し下、「世界のどの国も、国民は祖国を大切に思い、よりよい社会を実現するために努力してきました。自国を愛せない者は他国を尊重することはできない、といわれます。なぜなら、外国の人々も、私たちと同様に自分の国に深い愛着の感情をもっているということを理解して初めて、共感をもって他国を尊重できるからです。愛国心は他国に対する憎悪や蔑視と結びつくものではありません。愛国心は、国際社会の平和と発展に貢献しようとする精神の土台をなすものです。」(32~33頁)
・「愛国心と社会」の小見出し下、「愛国心は国を愛する心です。自分の国の文化と伝統、さらに歴史、国民、社会、自然環境などを大切にする気持ちが愛国心の基礎になります。そこから、その国に生まれ、育ったことを誇りに思う気持ちもわいてきます。そして社会をより良くしようとする気持ちが一人ひとりの心のなかで強くなります。それによって社会をより良くしようとする努力が生まれ、より良い社会がつくられ、良い国になっていきます。
  国を愛することはこれから生まれてくる子孫を守ることにもつながっていきます。私たちは、祖先の残したすぐれた伝統や文化を現代に継承しつつ、未来をみつめて次の世代に伝え、そして国家・社会のさらなる発展に貢献しなければなりません。」(33頁)


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