資料・平成18~23年度中学校公民教科書分析(13)―――人権・権利

Ⅱ、国内政治編

(13)人権・権利……「人間の権利」か「国民の権利」か

○分析項目
①人権の定義
②人権の内容、権利の分類
③「国民の権利」の思想


○日本書籍新社
①人権の定義……「法律によってもうばうことのできない権利」
②人権の内容、権利の分類……平等権、自由権、社会権
③「国民の権利」の思想……少し、この発想有り。

「第3章 人間尊重と現代の民主政治」「1.人間の尊重と日本国憲法の原則」の節見出し下、「日本国憲法の三原則」の単元見出し下、「国民主権の原則」→「平和主義の原則」→「基本的人権の尊重」の小見出し。「基本的人権の尊重」の小見出し下、全文引用
 「憲法は、また法律によってもうばうことのできない権利を基本的人権として、細かく定めている。たとえ民主的な政治権力であっても、その権力が人権を侵害するおそれはたえずあるからである。これもまた、戦前の日本では思想や言論、信教の自由が侵害されたという苦い経験をふまえたものである。憲法では上の図にあるように、思想、言論、宗教のような精神活動の自由や、逮捕状がなければ身体を拘束されない権利や裁判を受ける権利といった身体の自由などを、細かく保障していることが特徴である。
 さらに憲法は、国民が健康で人間らしい生活ができるような権利、国民の教育を受ける権利のように、いくつかの新しい権利を保障した。憲法は、これらの人権も細かく定めている。
 そして、政府や法律によって人権が侵害された場合は、裁判所が審査して、侵害している法律を無効にすることができる権限を定めて、人権が実質的に守られるようにくふうをした。
・続けて「国民の義務」の小見出し下、全文引用
 「憲法は人権の保障とともに、国家の成員として、国民にいくつかの義務を定めている。勤労の義務、納税の義務などであるが、兵役の義務のないことは、日本国憲法の特徴である。同時に憲法は、国民の教育を受ける権利に対応して、子どもに普通教育を受けさせる義務を定めている」(97頁)。
・「日本国憲法で保障された権利」の表(97頁)。
   基本的人権の内容として、自由権、社会権、平等権
   基本的人権を守るための権利として、参政権と請求権


○東京書籍
①人権の定義
②人権の内容、権利の分類……参政権も「人権」
   「平等権、自由権、社会権、参政権などの基本的人権」
③「国民の権利」の思想……「国民の権利」という発想なし
④その他……「国民」が一切出てこない。「日本国憲法」第三章は、「国民の権利及び義務」なのに。弱者、平等権、人権侵害救済の強調。

「第2章 人間の尊重と日本国憲法」「2 人権と日本国憲法」の節見出し下、「5 基本的人権と個人の尊重」の単元見出し下、「人権を保障するということ」→「だれもがもっている人権」→「弱い立場にある人たちの人権」の小見出し。全文引用
・「人権を保障するということ」の小見出し下、
 「わたしたちが自由に人間らしく生きていくことができるように、平等権、自由権、社会権、参政権などの基本的人権が保障されています
 人権の保障は、一人ひとりの個人をかけがえのないものとして大切にするという『個人の尊重』の原理(憲法第13条)にもとづいています。それは、個人を尊厳をもって人間らしくあつかうという『人間の尊厳』ということでもあります。
 個人の尊重と自由は、平等の原理とかたく結びついています。なぜなら、ある人を特別に有利にあつかったり、不利にあつかったりすれば、個人の尊重がそこなわれるからです。一人ひとりの個人を尊重するためには、すべての人を差別なく平等にあつかうことが必要になります。
 人権の保障は、まず第一に国家に向けられています。国家に対して、個人を尊重して自由な活動や幸福で平和な生活を実現することを要求しているのです。いっぽう、国家は、個人の自由を侵害してはならず、個人の生活を豊かにする政策をおし進めなければなりません」(42頁)。
・「だれもがもっている人権」の小見出しの下、
 「人権の保障は、わたしたちすべてが享受します。大人も子どもも、老人や女性、障害者、外国人も、すべての人々の人権が保障されます。もっとも、わたしたちは、ふだんの生活であまり人権が保障されていると感じることはありません。しかし、人権がいかに大切かは、例えば政府を批判するデモが禁止されたり、本や手紙が検閲を受けたり、電話が盗聴されたり、個人情報が知らないうちに流出したりすることを考えてみればよくわかります」(43頁)。
・「弱い立場にある人たちの人権」の小見出し下、
 「人権の保障は、社会の中で差別されている人々、弱い立場にある人々にとって、とくに大切です。その人たちが、差別や人権侵害をうったえ、その救済を求めて政府や社会に働きかけるとき、その主張を支えるのが人権の保障だからです。
 子どもにも人権があります。子どもはまだ成長の過程にあるため、親の保護を受けたり、飲酒や喫煙の禁止などの特別の制限を受けたりします。しかし、子どもも一人の人間として尊重されます」(43頁)。


○大阪書籍
①人権の定義……「人が生まれながらにもつ自由や平等の権利」
②人権の内容、権利の分類……自由権、平等権、参政権、社会権=基本的人権
③「国民の権利」の思想……まずは国民に人権を保障するという立場を半ば表明か

「第1章 個人の尊重と日本国憲法」「2 日本国憲法と基本的人権」の節見出し下、「人権思想のあゆみと日本国憲法」の単元見出し下、「人権思想の誕生」→「人権思想の発展」→「日本国憲法の人権保障」の小見出し。
・「日本国憲法の人権保障」の小見出し下、全文引用
 「日本国憲法は、アメリカ独立宣言やフランス人権宣言と同様に、人が生まれながらにもつ自由や平等の権利を、基本的人権として保障しています。その根本には、何よりも一人一人をかけがえのない個人としてたいせつにしようとする考え方があります。それが、『すべて国民は、個人として尊重される。』(第13条)にあらわされています。
 日本国憲法は、自由権や平等権だけでなく、さらに、参政権や社会権も保障して、『この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。』(第11条)と定めています。また、『国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。』(第12条)とし、人権尊重を徹底しようとしています」(39頁)。
・「基本的人権」の図説明で、「個人の尊重をもとにして、すべての基本的人権は成り立っています」(39頁)。

○教育出版
①人権の定義……「人間が人間らしく生きていくために生まれながらにもっている権利」
「侵すことのできない永久の権利」
②人権の内容、権利の分類……自由権、社会権、参政権など
③「国民の権利」の思想……この発想なし

「第2章 わたしたちの暮らしと民主政治」「1 暮らしのなかに生きる憲法」の節見出し下、「日本国憲法の三つの柱」の単元見出し下、「基本的人権の尊重」の小見出し下、全文引用
 「人間が人間らしく生きていくために生まれながらにもっている権利を、基本的人権とよんでいます。日本国憲法でも、基本的人権は、人類の長い間の苦労と試練のなかで確立されたものであり、『侵すことのできない永久の権利』として保障されています」(34頁)。
・34頁上段に、『あたらしい憲法のはなし』よりとして、「憲法は われわれの基本的人権として じぶんの思うことを言い じぶんのすきな所に住み じぶんのすきな宗教を信じ 能力に応じて教育を受け 政治に参加する などの権利を保障している」

○清水書院
①人権の定義……「侵すことのできない永久の権利」
②人権の内容、権利の分類……自由権、平等権、社会権、参政権、国務請求権、幸福追求権
③「国民の権利」の思想……まずは国民に人権を保障するという立場を半ば表明か

「第1編 私たちの生活と政治」「第1章 人権の尊重と日本国憲法」「1 民主政治の成立」の節見出し下、「日本国憲法の成立と基本原理」の単元見出し下、「日本国憲法の原理」の小見出し下、
 「まず第一は基本的人権の尊重である。日本国憲法は、専制的な政治や戦争による国民の犠牲を深く反省し、憲法が保障する基本的人権を『侵すことのできない永久の権利』としてかかげている」(39頁)。
・「公民ファイル 日本国憲法に定められた基本的人権」で、幸福追求権(人権の一般的原則)、自由権、平等権、社会権、参政権、国務請求権を掲げる。
 また、幸福追求権として、第13条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」を引用する。(42頁)

○帝国書院……西欧政治思想史と「日本国憲法」分が一体となっている。
①人権の定義……「人が生まれながらにもつ人間としての権利を基本的人権」
②人権の内容、権利の分類……平等権、自由権、社会権
③「国民の権利」の思想……この発想なし

「第3部 私たちの民主政治」「第1章 日本国憲法について考えよう」
「③基本的人権の歩み」の単元見出し下、「基本的人権とは」の小見出し下、全文引用
 「私たちが、ひとりの人間として尊重され、自由に生き、幸福を追求することは、人間として当然のことです。また、一人ひとりが平等にあつかわれ、差別されないよう求めることも自然な要求です。さらに、健康で文化的な最低限度の生活を営むことができ、能力に応じてひとしく教育を受けられることも必要です。このような、人が生まれながらにもつ人間としての権利を基本的人権といいます。
 これらの基本的人権は、おかすことのできない永久の権利として、日本国憲法で保障されています
。日本国憲法の三大原則の一つが基本的人権の尊重であるのも、基本的人権が日本国の基礎をつくっているからです」(90~91頁)。
・「第3部 私たちの民主政治」「第2章 人権について考えよう」で、平等権、自由権、社会権は明確に基本的人権とされている。

○日本文教出版
①人権の定義
②人権の内容、権利の分類……「平等権」「自由権」「社会権」
③「国民の権利」の思想……少し、この発想がある。
④備考……平等が重視されている。

「第3章 人間の尊重と日本国憲法」「②基本的人権の尊重」の単元見出しの下、
・「人間尊重と平等」の小見出し下、全文引用
 「人間はだれでも、差別されることをきらい、平等なあつかいを求める。日本国憲法でも、すべて国民は法の下に平等であって、人種、思想や宗教、性別、社会的身分、家がらによって差別されないことを求めている(憲法14条)。差別が許されないのは、同じ市民であるにもかかわらず、本人にはどうすることもできない理由で不利益をこうむっているからである。上の元ハンセン病患者の例もその一つである。差別は、個人の尊厳に反している。
 わたしたちの社会に残っている差別の根絶に向けて、どのようなとり組みがなされているか見ていこう」(46頁)。
・「憲法で保障された基本的人権」の大見出し下、「平等権」「自由権」「社会権」が挙げられる。(47~51頁)
・「基本的人権を保障するための権利」の大見出し下、「人権を守る機関」の小見出し下、「国民の基本的人権がおかされたときには、裁判所に訴えて、自分の権利を主張し、救済を求めることができる」(53頁)。

○扶桑社
①人権の定義
②人権の内容、権利の分類自由権、平等権、参政権、社会権=基本的人権
③「国民の権利」の思想……明らかに、国民に保障された基本的人権、という立場。

「第3章 現代の民主政治とこれからの社会」「第1節 日本国憲法の基本原則」の節見出し「27 基本的人権の尊重」の単元見出し、「基本的人権の保障」の小見出し下、全文引用
 「日本国憲法はすべての国民に基本的人権を保障している。その根底にあるのは、一人ひとりをかけがえない存在として大切にする(個人の尊重・13条)という考え方である。
 政治の最大の目的は、国民の生命と財産を守り、その生活を豊かに充実させることにある。したがってその基礎をなす基本的人権の保障と充実は、何より重要な政治目的のひとつとして位置づけられなくてはならない。憲法はそのことを『立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする』(13条)と表している。 
 また、第3章の『国民の権利及び義務』の中には、すべての国民が享受できる権利について具体的に記されている。さらにこの権利は『侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる』(11条)と定められている。
 基本的人権という考え方は、歴史から生まれた人間の英知のひとつである。しかし世界では今なお、少数民族が迫害されたり、多数の子どもが路上で生活していたり、独裁者が自由を求める人々を強制収容所に入れたり、餓死させたりするなど、きわめて深刻な人権問題が数多く見られる。また国内でも、人権意識がふじゅうぶんであったり、法や制度が整っていないために、事件やトラブルにつながることも決して少なくない」(80頁)。




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