資料・平成18~23年度中学校公民教科書分析(20)(21)――国際法と敵国条項

Ⅲ、国際社会編

 (20)国際法の記述
 (21)敵国条項

○分析項目
 ①国際法の記述
 ②敵国条項


○日本書籍新社
 ①国際法の記述……記述有るが、内容なし。
       「公海自由の原則」さえも書かれず
 ②国連の記述……2頁
③敵国条項……記述なし

「第4章 世界平和と人類の共生を求めて」「1.世界平和の実現」の節見出し下、「国際社会と主権の尊重」の単元見出し下、「国際法と戦争」の小見出し下、全文引用
 「国際社会のルールを決めているのは国際法である。国際法は、国際社会で長い間のならわしとして生まれた国際慣習法と国家間で文書で約束された条約とからなっている。国家の権力の行使は、その国の憲法と国際法によって制約を受ける。
 国際法は、戦争を防止し国際平和を目指すものであるが、たとえ戦争になっても、その被害を最小限にする条約も含む」(148~149頁)

○東京書籍
 ①国際法の記述……公海自由の原則ぐらい
 ②国連の記述……2頁
③敵国条項……記述なし

「第5章 地球社会とわたしたち」「2 国際社会と世界平和」の節見出し下、「1 主権国家と国際社会」の単元見出し下、「国際社会のルール」の小見出し下、全文引用
 「国家がたがいに主権を尊重し合っていくために、国際社会には守らなければならないルールがあります。国と国とが結ぶ条約や、長い間の慣行から法となった国際慣習法などです。各国は国際法を尊重し、国際協調の精神で行動することが求められています」(155頁)。
・同単元見出し下、「主権国家」の小見出し下、
 「国際社会は、主権をもつ国々(主権国家)によって構成されており、国家の主権がおよぶ範囲を領域といいます。領域は、領土、領海、領空からなっています。領海のまわりの広い水域は経済水域とよばれ、その水域の漁業資源などの権利は沿岸国にあります。経済水域の外側の水域が公海で、どこの国の船や漁船でも、自由に航行や操業ができます(公海自由の原則)。また南極大陸や宇宙空間は、人類の共通資産となっており、どの国の領域にも属しません」(154頁)。

○大阪書籍
 ①国際法の記述……公海自由の原則ぐらい
 ②国連の記述……4頁
 ③敵国条項……記述なし

「第4編 現代の国際社会」「第1章 国際社会と人類の課題」「1節 国家と国際社会」の節見出し下、「国際社会と主権国家」の単元見出し、「国際関係の成り立ち」の小見出し下、
 「……今では、国の数は190をこえました。それらの国々は、国土の大小、歴史、文化、言語、宗教、経済的・社会的発展などの相違はあっても、平等な独立国です。国々は、たがいに外交関係を結んで交流し、国際的なルールである国際法(①)のもとで、国際関係を形づくっています」(158頁)。
・側注①「国家間で結ばれる条約と、長年の慣行から法となった国際慣習法とから成っています」(158頁)。
・同単元見出し下、「国家と主権」の小見出し下、
「国家の主権がおよぶ範囲(国家領域)は、領土を中心に、それをとりまく領海と領空とから成っています。1982年に採択された国連海洋法条約は、海岸線から200海里以内の経済水域を定め、沿岸国がその水域での資源をもっぱら利用できるようになりました。経済水域の外側が公海で、だれもが自由に使用することができます(公海自由の原則)」(159頁)。

○教育出版
 ①国際法の記述……公海自由の原則ぐらい。比較的まとまりのある記述
 ②国連の記述……2頁
③敵国条項……記述なし

「第4章 地球社会とわたしたち」「1 世界平和の実現に向けて」「① 国際社会のしくみ」の大見出し下、「国際法の原則」の小見出し下、
 「国際社会の平和と秩序を守るために、国家はたがいにさまざまなきまりに合意してきました。そのような国家の合意を国際法といい、これは、大きく二種類に分けられます。一つは国際慣習とよばれるもので、国家間の長年のならわしにより成立したルールで、侵略されないことや公海の自由(①)などがその代表的な例です。もう一つは、国家間で交渉して合意された条約です。条約には、日中平和友好条約のように二国間で結ばれる条約と、南極条約(②)のように多国間で結ばれる条約とがあります。また、子どもの権利条約や国際人権規約などのように、個人の権利を守る国際法も定められています」(133頁)。
・側注①「公海では、どの国の船も自由に航行や漁業をしたり、どの国も海底に電線を敷いたりすることができるという原則です」(133頁)。
・側注②「南極はどの国の領域にも属さず、南極で軍事活動をおこなうことは禁止するということなどが定められています」(133頁)。

○清水書院
 ①国際法の記述……まとまりのあるすぐれた記述。
教科書には珍しく、国家間の対立の場合も想定して書かれている。
 ②国連の記述……4頁
③敵国条項……記述なし

「第3編 国際社会を生きる」「第1章 こんにちの国際社会」「1 国際社会のしくみ」の節見出し下、「国際政治と法」の単元見出し下、「国際政治と国際法」の小見出し下、全文引用
 「独立国のあいだでは、領土・領海・領空の範囲や利害をめぐって、あるいは民族や文化・宗教などのちがいから争いがおこることもある。争いは、ときには武力をともなう戦争にいたる場合もある。現代では、国際関係がますます複雑となり、一部の国の争いが多数の国の利害にかかわることも少なくない。
 また、現代では、国家をこえた企業の活動がさかんになり、国家間の相互依存関係も深まるいっぽうで、環境問題や人口問題のような地球規模の問題も多くなっている。そこで、関係国の代表が集まって開く会議も増え、このような会議が国際政治ではたす役割も大きくなってきた。
 こうした、国際社会における国家間の交わり(外交)には、ルールが必要である。これを国際法といい、大きく分けると、国際慣習法(②)(慣習国際法)と国家間において文書によって結ばれる条約(③)とがある。
 しかし、国際社会には、各国の上位に立って国際法を実際に強制する権力がない。したがって、国際法を守るには当事国の誠実な態度が何よりも重要であるが、近年では国際組織や国際的な世論も、大きな役割をはたすようになっている」(160~161頁)
・側注②「国際社会で広く行われ、各国が法として認めるようになった国際慣習のことをいう」(161頁)。
・側注③「2国間で結ばれるものだけでなく、多国間で結ばれる条約もある。広い意味では、協約・協定・憲章などもふくまれる」(161頁)。
・「領土・領海・領空」の図を示し、以下の説明文。
 「独立国は、領土・領海・領空の範囲にわたって主権を主張することができる。したがって、他国の領海や領空にはいる船や飛行機は、その国の指示にしたがわなければならない。また、領海の外に経済水域が認められ、海底・海中を問わず、その水域の鉱物・漁業資源に対する沿岸国の権利が保護されている」(161頁)。
 
○帝国書院
①国際法の記述……領土不可侵も書かれる。
 ②国連の記述……2頁
③敵国条項……記述なし

「第4部 地球市民として生きる」「1章 世界平和の実現をめざして」「①国家と国際社会」の単元見出し下、「国家とは何か」の小見出し下、
 「主権とは、ほかの国がおかすことのできない、それぞれの国のもつ権利のことです。国際法(①)の考え方では、主権国家は外国に対して、自国の領土や国民の安全を、国の権利として主張することが認められています。
沖ノ鳥島が沈まないようにすることで、日本は領土を守り、国家主権を主張しているのです。現在の世界は、このように、おたがいに平等な主権を認め合う、主権国家によって構成されています」(152頁)。
・続けて「国際社会のなかで」の小見出し下、全文引用
 「国家の支配する領域は、領土、領海、領空の三つから構成されています。領海のほかに排他的経済水域(②)を設けることもあり、ここでとれる魚や石油などの資源は、海域の権利をもつ国のものとなります。沖ノ鳥島が沈めば、日本の領土ばかりでなく、領海や排他的経済水域も失われます。領海と排他的経済水域以外の海は公海とよばれ、どの国でも利用できますが(公海自由の原則)、領域に無断でたち入ることは認められません(領土不可侵)。国内政治の決定にほかの国がさしずすることも許されません(内政不干渉の原則)。主権の平等に加え、領土不可侵と内政不干渉を各国が認め合うことで、国際関係が成り立ちます。
 もっとも、内政不干渉の原則があるからといって、ある国のなかで多くの人の人権がうばわれることを、国際社会が無視してよいとはいえません。普遍的人権と国家主権のバランスをどうとればよいのかが、現在、世界の課題となっています」(153頁)。
・側注①「国家と国家の間で結ばれた条約や協定などのさまざまなきまりのことを
いいます。国際社会では各国が国際法を守ることが求められています」(153頁)。
・側注②「排他的経済水域では、船の航行、飛行機の飛行、海底ケーブルの敷設などについては、他の国も自由に行うことができます」(153頁)。

○日本文教出版
 ①国際法の記述……公海自由の原則もない。
 ②国連の記述……2頁
③敵国条項……記述なし

「第7章 かけがえのない地球と人類の共生」「1 国際政治の動向と日本」の節見出し下、「国家と主権」の単元見出し下、「新しい国際秩序を求めて」の小見出し下、全文引用
 「国家が集まって形成された国際社会には、国家がたがいに守るべき法として、国際法がある。国際法には、文書の形にまとめられた条約と、長年の習慣として定着している国際慣習法とがある。各国が国際法を守ることによって、国際社会の秩序を保つことができる。
 1947(昭和22)年ころから1989年までつづいた米ソ二大国対立の冷戦が終わり、全世界規模の戦争の危機はうすらいだ。しかし、世界各地で、地域紛争や、社会を混乱させ、自分の主張を実現させようとする破壊行為(テロ)が頻発している。そのため、国際連合の役割がますます大きくなってきている。
 各国は国際法を尊重しながら、どのようにとり組んでいるだろうか。また、日本の役割は何だろうか」(146頁)。

○扶桑社
 ①国際法の記述……次の事を記述していることは評価できる。
公海自由の原則、領土・領海・領空への侵犯は主権侵害、
          外交使節の特権
 ②国連の記述……2頁
③敵国条項……記述有り

「第4章 世界平和と人類の福祉の増大」「44 主権国家」の単元見出し下、
 「国家の主権がおよぶ範囲のことを領域という。領域には、領土、領海、領空がある。海岸から12海里(約22㎞)以内が領海とされ、海岸から200海里以内(約370㎞)が経済的水域であり、その外側は公海とよばれる。
 領土・領海の上空の大気圏内(200~300㎞)を領空という。領土・領海・領空への侵犯は国家主権の侵害となる。なお、宇宙空間に関しては平和利用が原則で、国家による領有が禁止されている」(128頁)。
・「45 国家間の協力と世界平和の実現」の単元見出し下、「国際社会とルール」の小見出し下、全文引用
 「国際社会では、国家は原則としてたがいの主権を尊重し合わなければならない(主権の相互尊重)。一方で、国際化が広範囲に進む今日の世界では、国家は相互に依存関係を強めつつある。内政不干渉という原則を理由に、一方的に他国の要求を退けるだけでは国際社会は成り立たない。国家と国家の関係を円滑にするために必要なルールが国際法である。
 国際法には、国家間で結ばれた条約や、国際社会において長年の慣行が法としての性格をもつようになった国際慣習法がある。このほか、かつての国際連盟や現在の国際連合などの国際機関が提示するルールなどがある。各国は国際法を尊重し、国際協調の精神をもって国際社会で行動することが求められている」(132頁)。
・側注欄に「条約と慣習法」の語句説明
 「条約は国家のあいだで文書によって合意したことを表したものである。憲章、協定、宣言、議定書なども広い意味での条約といえる。
[条約]
 ・万国郵便条約
 ・国際民間航空条約
 ・南極条約
 ・国際連合憲章など
[国際慣習法]
 ・内政不干渉の原則 
 ・主権平等の原則
 ・公海自由の原則
 ・外交使節の特権など」(132頁)
・「グロチウス」の写真、「ハーグの国際司法裁判所(オランダ)」の写真を掲げ、説明文
 「オランダの法学者グロチウスは『海洋自由論』で、公海自由の原則を説き、『国際法の父』と称された。国際連盟は国家間の紛争を国際法に従って裁判する常設国際司法裁判所を設置し、国際連合はこれを引きついで国際司法裁判所を設置している」(132頁)。

③「46 国際連合のはたらき」の単元見出し下、「国際連合におけるわが国の位置」の小見出し下、
 「わが国は1956(昭和31)年、80番目の国として国際連合に加盟した。現在、国際連合への拠出金額は、アメリカに何兆円もの未払いがあるため、実質的には第1位を占めている。しかし第二次世界大戦の枢軸国であったことから、依然として国際連合憲章(53条・77条・107条)ではドイツなどとともに旧敵国として位置づけられている。
 また、わが国が巨額の拠出をしている国連の予算についても、その使い方に無駄が多いのではないかとの指摘がある
」(137頁)。
・側注欄に「旧敵国条項」の語句説明
 「国際連合憲章の53条、77条、107条などをさして、一般的に敵国条項とよんでいる。
 『旧敵国』とは、第二次世界大戦で、連合国の敵であった日本やドイツ、イタリアなどの7か国をさしている。これらの条項は、旧敵国への武力行使には、安全保障理事会の許可が不要であるとされている差別条項である
 わが国は、この条項は憲章に掲げられている主権平等の原則に反するとして、削除を要求してきた。その結果、1995年の総会で旧敵国条項の削除を求める決議が圧倒的多数で可決された。
 しかし、実際に削除されるには、国連憲章の改正が必要であるため、旧敵国条項の撤廃は、難航したままというのが現状である」(137頁)。

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