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zoom RSS 「日本国憲法」が無効である理由――条約説は成り立たぬ

<<   作成日時 : 2010/10/22 00:12   >>

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     「日本国憲法」が無効である理由

  拙著『憲法無効論とは何か』』(展転社、平成18年)の中で、「日本国憲法」が無効である理由を展開した。そして、平成19年12月に「補1―――『日本国憲法』条約説は成り立たぬ」と「補2―――ハーグ条約違反の点について」を覚書として記した。今回は、これら三点を掲載する。


  以下、拙著『憲法無効論とは何か』(展転社、平成18年)より引用

  無効理由(T) 自由意思の欠如

  では、「日本国憲法」は何ゆえに無効なのか。無効な理由は、日本政府であれ、国民代表としての議会であれ、日本側に一貫して自由意思がほとんど存在しなかったということで尽きている。あらゆる法律行為は原則として行為主体に一定の自由意思があって初めて有効なものとなるし、独立国の憲法を作る行為ならば尚更、その国の自由意思が基本的に存在しなければならない。だから、日本側の自由意思の欠如を直視すれば、細かい法的議論などするまでもなく、「日本国憲法」は、少なくとも憲法としては無効である。

  だが、無効理由は、前述のように、成立過程面、内容面、成立後の政治・教育面の三領域にわたって多数存在する。成立過程面からみていけば、繰返すが、日本側の自由意志の欠如という点が第一の理由である。

  無効理由(U)の1 明治憲法第七五条違反

   第二の理由は、明治憲法違反ということである。そもそも、明治憲法第七五条は、「憲法及皇室典範ハ摂政ヲ置クノ間之を変更スルコトヲ得ス」と規定していた。第七五条によれば、摂政を置く間さえも憲法と皇室典範の改正は禁止されるのだから、統治者の自由意志が完全に欠落する占領中には尚更、憲法と皇室典範の改正は許されないことになる。それゆえ、明治憲法第七五条違反で、「日本国憲法」も新皇室典範も無効となる(井上孚麿、南出喜久治)。

  無効理由(U)の2 明治憲法第七三条違反

  また、よく指摘されるように、「日本国憲法」の成立過程は、憲法改正手続きを定めた明治憲法第七三条に違反している。
 
  明治憲法第七三条は、「将来此ノ憲法ノ条項ヲ改正スルノ必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議会ノ議ニ付スヘシ A此ノ場合ニ於テ両議院ハ各々其ノ総員三分ノ二以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開クコトヲ得ス出席議員三分ノ二以上ノ多数ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲ為スコトヲ得ス」と規定していた。

  明治憲法下の学説は、憲法改正問題担当の国務大臣である金森徳次郎を含めて、佐々木惣一を除けばほぼ例外なく、第一条又は第一条から第三条ないし第四条までの規定を改正して国体を変更できるとは考えてはいなかった。佐々木にしても、全文改正ということは憲法廃止につながり、憲法廃止規定を設けない限り、全文改正はできないと、考えていた。

  そして、帝国議会の修正権も一切認めないのが、金森や佐々木を含めて、憲法学界の一般的立場であった。例えば、憲法改正を決定した時の枢密院議長を勤めた清水澄は、法律の場合は議会が発案権をもっているから修正を自由に出来るし、予算の場合は議会が発案権をもっていないから修正権が制限されるにすぎないのに対し、憲法改正の場合は、天皇の発案というもの自体が憲法修正案の提出にあたるから、議会には修正権が一切存在しないのだ、と考えていた。また、佐々木は「改正ノ議決」は同意の性格をもつから修正をできないのだ、と考えていた。

  修正権を認める美濃部学説にしても、帝国議会が発案権をもっていないことを理由に、「原案に含まれない条項に付いて修正を加へ又は新なる条項を之に加ふる」(美濃部達吉『逐条憲法精義』昭和二年、七二五頁)権限を帝国議会に認めていなかった。宮沢俊義も、美濃部と同旨の解釈を行っていた。

  ところが、天皇が発議した憲法改正案は、国体規定どころか、明治憲法の全文を廃止し、新たに全文を規定する内容であった。また、議会も、政府案の修正どころか、原案に含まれない条項を新たに提案することさえも行っている。それゆえ、憲法改正限界説に立つ多数説に従っても、無限界説に立つ佐々木学説に従っても、「日本国憲法」は明治憲法第七三条違反の手続きで作られた無効憲法ということになるのである。
 
  無効理由(V)の1 ポツダム宣言及びバーンズ回答違反 
  
   第三の理由は国際法違反ということである。ポツダム宣言第十二項は、占領解除のための条件として、「前記諸目的が達成せられ、且日本国国民の自由に表明せる意思に従ひ、平和的傾向を有し、且責任ある政府が樹立せらるるに於ては、聯合国の占領軍は直に日本国より撤収せらるべし」と述べていた。

   日本側はポツダム宣言に対して国体護持の条件を付けて受諾することを伝えるが、それに対する米国、英国、ソ連、中華民国の四ヵ国からの返答が、米国のバーンズ国務長官によって行われる。いわゆるバーンズ回答である。このバーンズ回答は、第五項で「日本国の最終的の政治形態は(The ultimate form of government of Japan)、『ポツダム』宣言に遵い、日本国国民の自由に表明する意思に依り決定せらるべきものとす」と述べていた。
ポツダム宣言第十二項とバーンズ回答第五項によって、日本国は、第一に占領末期に、第二に国体と区別された政体について、第三に天皇と国民を併せた広義の国民が「自由に表明する意思」によって決定することになった。政体について決するわけだから、必然的に明治憲法の改正を必要とすることになった。

  この三点に関しては、それぞれ解釈問題がある。第一の点は、バーンズ回答第五項のultimateを、「究極的」「本質的」と解するか、時に関する語として「最終的」と解するか、という問題である。「究極的」「本質的」と解すれば、占領の初期でも中期でもいつでも決定すればよいことになる。だが、初期や中期では、日本側の自由意志はほとんど存在しないことになろう。

  これに対して、「最終的」と解すれば、占領がいよいよ終了するという時に日本国の「政治形態」を決定するということになる。そもそも、ultimateの第一の意味はやはり「最終的」ということであるし、占領末期ならば、独立を控えて、日本側の自由意思もかなり回復すると予想される。したがって、「最終的」という解釈の方が、条理に適っていよう。
  
   第二の点は、バーンズ回答第五項の form of government を、国体と政体を併せたものと解するか、政体のみと解するか、という問題である。米国では、 form of government (政府の形態)と form of state(国家の形態)とは対概念であり、当時の日本の憲法学の用語にあてはめれば、前者が政体、後者が国体に相当する。明らかに、 form of government とは、国体と区別された政体のことを指しているといえよう。それゆえ、憲法改正の対象となるのは政体だけとなる。

  第三の点は、ポツダム宣言第十二項とバーンズ回答第五項の「日本国国民の自由に表明する意思」の解釈問題である。「日本国国民」(英文は、the Japanese people )とは何をさすのであろうか。天皇と区別された意味での狭義の国民であろうか、天皇と国民を併せた広義の国民であろうか。それとも、the Japanese people とは、日本風に翻訳すれば、「全日本人」「日本国家」「日本側」というふうな意味合いであろうか。筆者は、「日本国国民」とは天皇と国民を併せた広義の国民のことであると理解している。それゆえ、憲法改正過程において、天皇とその政府の自由意思も、狭義の国民の自由意思も必要となろう。

   ところが、「日本国憲法」は、第一に占領初期に、第二に政体だけでなく国体までも改正の対象としたし、第三に天皇とその政府も、国民の代表とされる帝国議会も完全統制した上で、つくられた。したがって、明らかにポツダム宣言とバーンズ回答に違反して作られた無効憲法なのである。

  ちなみに、佐々木らの欽定憲法改正説に立っても、宮沢らの民定憲法制定説に立っても、「日本国憲法」は、ポツダム宣言とバーンズ回答に違反した、国際法違反の無効憲法なのである。佐々木らの立場からすれば、「日本国国民」は「日本国家」「日本側」といった意味であり、特に天皇とその政府の自由意思が必要となる。また、宮沢らの立場からすれば、「日本国国民」は天皇と区別された意味での狭義の国民を指しており、特に議会の自由意思が必要となるからである。

  無効理由(V)の2 ハーグ陸戦法規違反

  国際法といえば、「日本国憲法」成立過程は、ハーグ陸戦法規と言われる「陸戦ノ法規慣例ニ関スル条約」の附属書である「陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則」第四三条に違反して作られた。第四三条は、「国ノ権力カ事実上占領者ノ手ニ移リタル上ハ占領者ハ絶対的ノ支障ナキ限占領地ノ現行法規ヲ尊重シテ成ルヘク公共ノ秩序及生活ヲ回復確保スルタメ施シ得ヘキ一切ノ手段ヲ尽スヘシ」と規定している。それゆえ、原則として、占領軍は、現行法規を変更することはできない。

  ただし、ポツダム宣言とバーンズ回答は、一般法としてのハーグ陸戦法規に対して、日本占領の場合に適用される特別法をなしている。特別法は一般法に優先するという原則があるから、ポツダム宣言とバーンズ回答が明確に要求している事項については、占領軍は、現行法規の変更を要求することができる。すなわち、政体の民主化を規定した憲法改正までは要求することが出来る。

  だが、特別法たるポツダム宣言とバーンズ回答が明確に要求しない事項については、一般法たる「陸戦ノ法規慣例ニ関スル規則」第四三条が適用または準用され、現行法規を変更することができなくなる。したがって、占領軍は、少なくとも、国体変更の要求は出来ないし、政体の民主化についても細かい点まで口出しできなくなると言うべきである。

  ところが、占領軍は、国体変更を要求し、一々細かい条文修正にまで口出ししていたのである。つまり、「日本国憲法」は、ポツダム宣言とバーンズ回答に違反しただけでなく、ハーグ陸戦法規にも違反して作られたのである。

  にもかかわらず、民定憲法論者は、第四三条は、戦闘継続中の「軍事占領」を想定した規定であるから、日本国の場合には適用されない、と片付けてしまう。しかし、米国本国からマッカーサーに手渡された文書である「降伏後に於ける米国の初期の対日方針」(一九四五年九月六日)では、「軍事占領」と位置づけていた。それに、「軍事占領」でないとすれば、より強く現行法規尊重義務が占領軍に課せられることになり、より第四三条違反の可能性が高まることになろう。

  無効理由(W) 「保護国を目指す憲法」

  成立過程面に続いて内容面を見ていけば、第一の無効理由は、第三章で見たように、総体として「日本国憲法」が「保護国を目指す憲法」であることである。憲法とは独立国が持つものであり、自己決定できる国家の在り方を示すものである以上、「日本国憲法」は、内容面からしても総体として無効な存在であると言わねばならない。

  無効理由(X) 自然法違反 

  第二の無効理由は、第九条Aの規定が自然法または条理に違反していることである。国家は自衛戦争をする権利を保持し、自衛のための戦力を保持して初めて、対外主権を維持することが出来る。それゆえ、自衛戦争の権利と自衛戦力の保持は、自然権とも言うべきものであり、これらを否定することはいわば自然法に反することである。

  無効理由(Y) 国体法違反

  第三の無効理由は、国体違反ということである。明治憲法制定以前から、成文法の如何にかかわらず、日本には国体というものがある。国体とは、〈日本国家の歴史上、万世一系の天皇が国家最高の地位にあり続け、国家権力の正当性・正統性を保障する最高の権威であり続けたこと〉を意味する。この国体は、少なくとも千五百年以上の重みを持ったものであり、日本国が守り続けなければならないものである。ところが、「日本国憲法」は、天皇から政治的権威を奪い、象徴天皇制を採用した。明らかに、象徴天皇制は国体違反と言えよう。

  無効理由(Z) 「日本国憲法」成立過程史の歴史偽造 

   最後に、成立後の政治・教育面についていえば、社会党を中心とする議員たちも、衆議院小委員会議事録を一九九五(平成七)年まで秘密にし続けることで、GHQは議会による自由な審議と修正を許した、とする虚構を守り続けてきた。また、前述のように、憲法学も公民教科書も、一貫して「日本国憲法」成立過程について史実を隠し続けてきた。

  しかも、一九九五年以降はなおさら、国民一般は、全くデタラメな「日本国憲法」成立過程史を教え込まれていることに注目されたい。いや、政治家さえも、正確な成立過程史を把握していないであろう。正確な情報が国民一般に明らかにされていないわけだから、時効・追認・定着のための期間は進行しようがないのである。
                (以上、『憲法無効論とは何か』120〜130頁より引用)


補1―――「日本国憲法」条約説は成り立たぬ

  なお、無効理由(T)と(U)の1からいって、条約説、特に憲法条約説(南出喜久治氏の説)は成り立たないことになる。

  そもそも、憲法条約とは、米国やドイツなど連邦国家などをつくる場合にあてはまるもので、被占領下で「憲法」を占領軍に作らされる場合には当てはまらないものである。また、南出氏は、米国は条約とは思っていないという(『日本国憲法無効宣言』44頁)。相手国が条約とは思っていない条約など成立するのだろうか。

   仮に「憲法」を占領軍に作らされる場合にも憲法条約だと言えるとしても、また相手国が条約だと思っていない条約が作れるとしても、大きな問題がある。条約を結ぶには、特に憲法条約を結ぶには、憲法制定の場合と同じく、国家の自由意思が必要である。それゆえ、主権喪失の下では条約は原則として結べない。原則として占領下で憲法改正が許されないのと同じく、占領下では条約は結べない。講和条約は事の性質上結べると思うし、実例は多数あると思われる。だが、占領下の「憲法」制定を条約と位置づける実例は聞いたことがない。南出氏のいう「入口条約」と「出口条約」は成り立つが、中間条約などありえない。占領軍は中間条約などありえないことをわかっていたからこそ、「憲法」という形で日本に作らせたのである。特殊日本でのみ中間条約があり得るとすれば、その根拠を示す必要がある。

   主権喪失の下で「日本国憲法」という中間条約が結べるとしても、中間条約を結ぶためには、ポツダム宣言でもバーンズ回答でも日本側の自由意思を保障していたから、日本側の自由意思が必要である。10年以上前の「日本国憲法」成立過程史を前提にすれば、日本側の自由意思が半ば以上は肯定されていたから条約説は成り立つのかもしれない。だが、拙著『戦後教育と「日本国憲法」』(1992年)や『「日本国憲法」無効論』(2002年)が明らかにしたように、あるいは1995年に公開された衆院憲法改正小委員会議事録が明らかにしたように、日本側にはほとんど自由意思は存在しなかったのである(無効理由(T))。

 また、憲法条約説をとるとすれば、「日本国憲法」は条約であると同時に憲法であることになる。事実、南出理論においては、現在の日本の憲法は、おおよそ明治憲法の第一章と「日本国憲法」第三章以下の複合体であり、すべてが有効だということになる。ということは、「日本国憲法」第三章以下の部分は、明治憲法を改変したことになる。それゆえ、憲法条約説も憲法説と同じく、明治憲法第75条に違反すると言わなければならない。南出氏は、明治憲法第75条を一番の根拠にして憲法説を斥けている。だから、同時に憲法条約説も斥けないとおかしなことになる。ただし、占領統治法条約説ならば、75条違反の問題は生じない(無効理由(U)の1)。 

 *南出氏の憲法条約説の全体像は、『日本国憲法無効宣言』の外、『日本国家構造論』(政界出版社、平成5年)と『国体護持(条約考)』(平成18年)等、民族戦線のホームページ所載の論文を通じて、ある程度知ることが出来る。筆者は、主として、上記の三つを参照した。 

  要するに、憲法としての無効理由(T)と(U)の1が、そのまま、憲法条約としての無効理由となってしまうのである。

  それ以外に南出氏の憲法条約説に言及しておけば、すぐに出てくる、いくつかの疑問がある。箇条書きで記しておこう。

  @国内法としての性格が分からない

  条約説が成り立つと仮定しても、国内法としての性格がよく分からない。あるときは「占領統治基本法」、あるときは独立後も通用する「憲法条約」だとする。一体、どっちなのか。「占領統治基本法」から独立後に「憲法条約」に転換したということか。恐らくは、「占領統治基本法」であり、「憲法条約」であるということなのだろうが、両者は両立するのだろうか。

  それに、南出氏によれば、「日本国憲法」が条約として有効になるのは、数十年間「日本国憲法」が「条約」として機能してきた「追認されたとする事実の集積」によるものである(『国体護持(条約考)』、『日本国家構造論』)。したがって、おかしなことに、占領が終わってしまってから「占領統治基本条約」として有効となるようだ。どうも理解しがたい理論である。

  また、そもそも米国などは条約とは思っていないのに、どうして条約としての「事実の慣習的集積」が成り立つのか。

  A中間条約ならば、独立によって失効したのではないか。 

  渡部氏の『WILL』掲載の論文では、南出氏の条約説に賛同した上で、独立を契機に中間条約である「日本国憲法」は失効したとする。条約説が成り立つと仮定すれば、渡部説は分かりやすくすっきりしている。しかし、南出氏は失効説をとらないようだ。

  また内容的に言っても、「占領統治基本法」なら占領解除後に失効するのではないか。

  B憲法条約に転換できる部分とできない部分の区分けは複雑すぎるのではないか

  氏によれば、「日本国憲法」のうち追認されて「憲法条約」として有効となるのは全てではない。第一章天皇条項はそもそも有効とならないし、第二章は集団的自衛権さえも認めたサンフランシスコ平和条約によって無効化されている。これに対して、第三章人権条項、第四章以下の統治機構条項は「憲法条約」として有効となるようである。つまり、氏は、「日本国憲法」を憲法条約に転換できる部分とできない部分の二つに区分するのである。だが、以下のような疑問がすぐ出てくる。

 ・「日本国憲法」前文はどちらに区分けされるのか。
 ・南出氏は、「日本国憲法」の人権条項を一区切りで転換できるとしている。だが、政教分離を定めたとされる第20条を転換できるとするのはどうか。  
 ・要するに、南出氏の憲法条約説を人々が受け入れたとしても、この区分けについては種々の説が現れることになる。それゆえ、法的な不安定性を惹起することになる。
 ・そして何よりも、憲法条約に転換できる部分については、帝国憲法の改変を認めたことになる。
・転換できない部分の箇所は帝国憲法が機能していることになるが、そんな事実はないのではないか。

  補2―――ハーグ条約違反の点について

  南出氏は、憲法は条約よりも上位だから、従来の無効論がハーグ条約違反を持ち出すのはおかしい、明治憲法第75条違反こそ重要だと言う(『日本国憲法無効宣言』26〜29頁)。そして、「私の無効論と過去の無効論を比較すると、決定的な違いは何かといえば、私の場合は帝国憲法第七十五条に抵触する故に無効だと言っている点です」(同、30頁)という。

  しかし、ハーグ条約違反か明治憲法第75条違反かという問題設定自体がおかしい。明治憲法75条もハーグ条約も、共に自由意思の毀損する状態での憲法改変を禁止しており、趣旨は合致する。明治憲法75条は、日本の行為について規定しており、ハーグ条約は占領軍の行為について規定している。明治憲法75条かハーグ条約かという問題ではないのである。

  無効論者がハーグ条約云々というのは、占領軍が憲法改正命令を出したり、草案を押し付けたりする行為が違法であるということを言うためである。占領軍の占領中の行為を問題にしているのである。占領軍の押しつけ行為が違法か否かを問題にする場合には、ハーグ条約を持ち出すのは当然である。明治憲法を持ち出すわけにはいかない。帝国憲法と条約との優劣関係云々は関係ない話である。

  ちなみに、無効論の創始者と言える井上孚麿氏も菅原裕氏も、共に明治憲法第75条違反の点を指摘している。また、私も、井上氏と南出氏に倣って、この点を指摘している。

      平成19年12月10日記す



2010/07/17 01:53
占領管理基本法学から憲法学へ(一)―――反日原理主..
http://tamatsunemi.at.webry.info/201007/article_39.html


2010/07/17 10:17
占領管理基本法学から憲法学へ(二)―――占領管理基...
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2010/07/17 16:11
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有害な南出氏の講和条約説−−−属国日本、国際法破壊の思想である 転載歓迎
  南出無効論の最大の特徴は、無効行為(規範)の転換の法理による講和条約への転換である。しかし、南出氏は、無効行為の転換の法理について誤解しているため、氏の講和条約説は無効行為の転換理論を適用する出発点で躓いていると、前記事で記した。つまり、「日本国憲法」無効論と講和条約説の間に橋をかけることはできないと記した。それゆえ、南出氏は、無効論を捨てるか講和条約説を捨てるかどちらかの態度をとらなければならないと記した。 ...続きを見る
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2014/10/22 01:55

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